第79回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され、2022年9月に日本公開された「LOVE LIFE」は矢野顕子の同名楽曲をモチーフに、愛と人生に向き合う夫婦の物語をつづった作品。国際映画祭での高い評価を受けて30カ国以上での公開が決定しており、イタリア、台湾などすでに公開された地域に続き、今後アメリカ、イギリス、中国、韓国などでも劇場公開が予定されている。
木村扮する主人公が雨の中に佇む姿が印象的な日本版ポスタービジュアルとは打って変わって、フランス版のポスターには、木村と永山が扮する夫婦と、その後方にそれぞれの元恋人を演じた
スペインの配給会社フィルマックス担当者によれば、映画内の印象的なシーンがポップなイラストで描かれたアートワークは「人生では、例え何が起こっても我々が何者であったかは残っていて、それを共有した人々の中で生き続けている」ということを伝える“つらくとも美しい瞬間と記憶のモザイク”をイメージ。四隅には「愛」と「人生」が漢字であしらわれている。デザインはAMIGOS Agencyのパウラ・アルバレスとボルハ・パクロルスキーによるものだ。
フランスではすでに多くの深田監督作が公開されてきたが、本作において初めて、フランスアートシアター協会(AFCAE)の支援作品に選出が決定。過去には濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」などが選ばれており、対象作品は現地での公開上映やプロモーションへの支援を受けられる。
フランス、スペインそれぞれの配給会社からのコメントは以下の通り。スペインでは5月19日に封切られ、フランスおよびベルギーでは6月14日に公開される。
エリック・ル・ボット(フランス配給会社アートハウス代表)コメント
「淵に立つ」以来、私はフランスで深田晃司監督の作品を配給させてもらってますが、今年は特に「LOVE LIFE」という、私を圧倒する素晴らしい作品を発表できることを誇りに思います。なぜなら、「LOVE LIFE」は彼の監督、脚本家としての才能の真髄であると同時に、もっとも繊細で、おそらくもっとも美しい作品でもあるからです。この作品を見たフランスの最初の観客とジャーナリストたちは、私たちと同じように熱狂し、この作品を徹底的に擁護して行くはずです。映画万歳!
リディア・オニャテ(スペイン配給会社フィルマックス チーフマーケティングオフィサー)コメント
フィルマックスへ「LOVE LIFE」のスペイン配給について提案いただいたのは、ヴェネツィア国際映画祭とトロント国際映画祭でのプレミア上映後でした。ですので、この映画が批評家から高い評価を得ているだけでなく、両映画祭で名声を博したことも知っていました。さらに、初めてこの映画を観たとき、さまざまな感情や感受性を内包し、そして家族、思い出、親子、何かの結末など、人生というものをすべての意味において違った視点で捉えた特別な作品だと気付きました。今後は新しい日本の真珠を求めるシネフィルの観客へ向けて、スペイン国内の多くの映画祭で上映されることを期待しています。
深田晃司の映画作品
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深田晃司 @fukada80
映画『LOVE LIFE』フランスとスペインで公開です。各国の作品へのアプローチの違いが面白いです。スペインではすでに5/19に公開が始まっていて好評なようで何より。
記事ではフランスの配給会社、スペインの配給会社、それぞれからの「LOVE LIFE」へのコメントも読めます。ぜひご一読ください。 https://t.co/EwZjTVWDfQ