東京ドキュメンタリー映画祭2022の長編コンペティション部門にノミネートされている「
慰安婦に関するスクープ記事を捏造とバッシングされたジャーナリスト・
また、西嶋は「都合のいい歴史だけを残そうとすることを今、日本では『歴史修正主義』と言いますが、僕は『修正』というより『隠蔽』する体質がこの国にはあって、過去の負の歴史が忘れられていくと思います。これは日本にとって困った危険な状況です。特に周辺国など外国から見たら、日本のそのような態度は、不信感を招くと思います」とコメント。「例えばドイツでは、戦時中にナチス、ヒトラーによる悲惨な事件が起きましたが、自分たちが起こした負の歴史を忘れないでおこうと国の記念日にしているんです。ヴァイツゼッカー元大統領が『過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる』と、きちんと自分たちの過去と向き合おうと言っているんです。国際社会や日本国内にいるこれからの人間にとっても、過去の歴史が消されていくということは危険なことだろうと思います」と述べた。
1997年に政府による報道への介入が始まったという証言が紹介されていることについて、西嶋は「そうですね。私が慰安婦についての記事を書いた1991年から河野談話がある1993年くらいまでは、慰安婦の問題に関して日本側が非難をすることはなかったんです」と述懐。「90年代の終わりからだんだんと日本の態度が変わってきて、2010年代に入ると、慰安婦は賠償金を目的とした日本にとってはよくない存在というイメージが定着していき、強い違和感を感じました」と続ける。
同じく慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー「主戦場」と「標的」の違いをどう説明するか、という質問に、西嶋は「『主戦場』もよくできた映画だと思います」と答えつつ「慰安婦問題をめぐるいろいろな主張を取り上げているんですが、あの映画の中には冒頭で一言しゃべっているくらいで、慰安婦の生の声というものがないんです」と指摘。「慰安婦の方たちはどんどん亡くなっているんですが、日本政府は慰安婦の証言の調査すらしていない。慰安婦の生の声を聞いてほしい。その証言をめぐって、権力とメディアの間で何が起きているかを知ってもらいたいと思います」と話した。
さらに西嶋は、本作の見どころを「植村さんのお嬢さんの声です。普通に暮らしていた高校生が、インターネット社会で突然被害者になる可能性がある。ネット社会で考えられない被害に遭った際に、どうしたらいいかということを、ひるむことなく周りに相談して解決の道を探していった彼女が語ってくれていると思います」と紹介する。
最後にメッセージを求められると「戦時中の性暴力は今現在もアフリカや中東などで行われているので、今の問題として改めて考えてほしい問題です。もう1つはメディアと権力の関係です。今、権力の影響でメディアが萎縮していると言われていますが、本当に真実を伝えているのか、もしかしたら伝えていない、伝えることができない真実があるのではないかということも含めて、メディアと権力の関係を考えてほしいです。最後に、ネット社会であなたも突然被害者になることがある。そのときにどうすればいいかということを、自分の問題として考えていただければと思います」と語った。
東京ドキュメンタリー映画祭2022は、12月10日から23日まで東京・K's cinemaで開催。「標的」は10日の12時20分、19日の12時30分から上映される。
東京ドキュメンタリー映画祭2023 @TDFF_neoneo
本日‼️
3/2(木)14:15
🎬 『標的』
▷舞台挨拶(植村隆さん)、西嶋真司監督(online)
元慰安婦だった女性の証言をスクープした新聞記者・植村隆。その後記事が植村の捏造だとするバッシングが始まる。
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