王子が消防士になって愛を知るミュージカルファンタジー「鬼火」監督によるQ&A

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東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門に出品されている「鬼火」が11月1日に東京・TOHOシネマズ シャンテで上映。来日中の監督ジョアン・ペドロ・ロドリゲスらがQ&Aに出席した。

ジョアン・ペドロ・ロドリゲス

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「鬼火」海外版ポスタービジュアル

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2009年の「男として死ぬ」がカイエ・デュ・シネマ誌の年間ベストテンに選出され、2016年の「鳥類学者」ではロカルノ国際映画祭の監督賞を受賞するなど、国際的に評価されているポルトガル出身のロドリゲス。「鬼火」はカンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、東京国際映画祭ではラテンビート映画祭共催のもとアジアンプレミアが行われた。Q&Aには共同脚本・美術を担ったジョアン・ルイ・ゲーラ・ダ・マタ、共同脚本のパウロ・ロペス・グラサも出席した。

「鬼火」

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「ジョアン・ペドロ・ロドリゲスのミュージカルファンタジー」と銘打たれた本作は、2069年、死の床にいる国王アルフレードが遠い青春の記憶として消防士になることを夢見た時代を思い返す物語。若き日の王子アルフレードは森林火災が頻発する環境を憂い、家族の反対を押し切って消防士として働き始めるが、そこで指導係の青年アフォンソと出会い、恋に落ちる。マウロ・コスタが若きアルフレード、アンドレ・カブラルがアフォンソを演じた。

「鬼火」

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左からパウロ・ロペス・グラサ、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス、ジョアン・ルイ・ゲーラ・ダ・マタ。

左からパウロ・ロペス・グラサ、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス、ジョアン・ルイ・ゲーラ・ダ・マタ。[拡大]

ロドリゲスは本作について「主人公がティーンエイジャーの頃から、死ぬまでの長い人生を描いた67分の短い映画。厳しい規則のある環境で育ったナイーブな青年が、王室の外に出ることで別世界を発見する。まったく違う社会があることに気付くんです」と説明。歯医者で読んだ、ある雑誌記事をきっかけに構想したそうで「それは王子が消防士になりたがっていたという記事で、そこからアイデアを膨らませました」と振り返る。脚本を書き始めたのはコロナ禍の前。2人の脚本家との共同作業を「パンデミックで私たちの生活環境は一変しました。そのことを映画に反映しないのは間違っているし、私にはできない。気候変動や性的アイデンティティ、人種差別、コロナのこと。現代における重要な課題を話し合い、皮肉を織り込んでストーリーを作っていきました」と明かす。

ゲーラ・ダ・マタが「これはメロドラマでもあるよね」と補足すると、ロドリゲスは「もちろん。彼らの愛の物語を信じられるものにすることが重要だった」とコメント。一方でグラサは本作の滑稽で笑える一面に着目し「わかりやすいコメディを作ることは簡単でしたが、この映画では外から見ているだけでは、わからない人間の複雑な内面を描きたかった」と語った。予算は少なく撮影期間も2週間と短かったが、撮影が延期となったため役者陣のリハーサルを行う時間はたっぷりとあったという。

「鬼火」

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映画には、森林火災の焼跡でアルフレードとアフォンソが裸となって愛し合う性愛の表現がある。客席から「破壊のあとに行われる性愛」という点で、第2次世界大戦直後に被爆地の広島で惹かれ合う男女を描いたアラン・レネの「二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)」との類似を指摘される場面も。ロドリゲスは同作への意識はなかったとしつつも、「このシーンでは、2人の男性が愛によってセクシャリティや人種の壁を克服し、リスタートするための道を見つけようとする。すべてが燃え、破壊され、その中から新しい何かが生まれてくるイメージは持っていました」と答えた。

「鬼火」の日本公開は未定。YouTubeには海外版予告が掲載されている。

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ウエダダダ🍉 @bura_talby

また観たいよ! https://t.co/5BhGjhXDIz

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