深田晃司が「復讐は私にまかせて」監督と対談「この映画は日本社会と地続き」

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8月20日に封切られるインドネシア映画「復讐は私にまかせて」の監督エドウィン深田晃司と対談。2人のインタビューコメントが到着した。

左からエドウィン、深田晃司。

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「復讐は私にまかせて」ポスタービジュアル

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本作はあるトラウマからED(勃起不全)に悩む喧嘩野郎のアジョと、伝統武術シラットを駆使するイトゥンのラブストーリーを軸にした復讐ドラマ。マルティーノ・リオがアジョ、ラディア・シェリルがイトゥンを演じた。第74回ロカルノ国際映画祭では最優秀賞の金豹賞を受賞している。

深田が映画人の交流企画の一環でインドネシアを訪問した2014年から親交があるという2人。深田は「エドウィン監督の現時点の集大成のような作品」と切り出し、最新作の感想を伝えていく。「『空を飛びたい盲目のブタ』は衝撃的で何かすごいものを観たという印象が残る作品。次の『動物園からのポストカード』も同様、明確な物語があるわけではないのです。ところが、その次の『ひとりじめ』は一転して、ストレートに物語を語るジャンル映画のような作品だったので、その振り幅にすごく驚きました。今回の『復讐は私にまかせて』は、原作があるので当然ではあるのですが、初めの2作にあった非常に強い作家性と、『ひとりじめ』で見せた娯楽性や物語性の強さが絶妙のバランスで混ざり合っていますよね」と印象を語る。

「復讐は私にまかせて」

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エドウィン

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さらに深田はアジョのEDという設定に注目し、「監督の作品では性的な要素がきちんと扱われている印象があり、それが今回は男性主人公のEDという形で組み込まれていて。チョイスした原作自体がエドウィンさんの世界にとても親和性が高いのだろうなと感じました」とコメント。エドウィンは小説を脚色するうえで、原作を読み直すことはしなかったそうで「何よりも頼ったのは、最初に小説を読んだときの記憶。特に印象に残ったアジョとイトゥンの関係を大切にしました。あえて読み直さず、忘れている部分は大切ではないのだと解釈しました」と明かす。

「復讐は私にまかせて」

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中でも原作からの大きな変更点となったのが、初めて出会ったアジョとイトゥンが激しい喧嘩を繰り広げながらも、2人の間に恋が芽生えていく場面のロケーションだ。小説では緑の多い水辺という設定だったそうだが、エドウィンは詩的ではない荒々しい場所として「砂埃の舞う乾燥した採石場」をロケ地として選んだ。「ハリウッド的ではないラブストーリーを描きたい思いがあり、本作の場合だと暴力にまみれた状況で恋に落ちることができるのかどうかを描きたかった。2人が戦うシークエンスだけを切り取ってショートフィルムを作っても、それだけで完璧なラブストーリーになるようなシーンを目指しました」と、その意図を語る。深田は「確かに、あそこがロマンチックに感じられる場所だと、ありきたりになってしまいますね。あの荒涼とした雰囲気の中で恋が芽生えるというのが、単純にかっこよかった。映像的にも採石場の空間が非常に立体的に捉えられていると思いました」と評した。

深田晃司

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最後に深田は本作の日本公開を「とても意義深いこと」と述べつつ、その理由を「映画で描かれているインドネシアの1980年代から90年代を背景にした暴力というのは、日本とは全然関係のない遠い国の痛みのように見えます。でも実は、インドネシアにはオランダの植民地だった時代があり、日本の軍政が敷かれていた歴史もある。この映画の世界もその延長線上に存在している。だから日本の観客にも、この映画は日本社会と地続きであるというふうに感じて観てほしいなと思います」と期待を込めて話した。

「復讐は私にまかせて」は東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次ロードショー。

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