「インターネット上の著作権侵害に対するCODA 国際執行プロジェクトに関する報告会」が本日7月29日に東京・参議院議員会館で行われ、甘利明、山田太郎、
CODAとは、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構の略称。日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的に、経済産業省と文化庁の支援によって設立された団体だ。今回は、2021年度から本格的にスタートした海賊版サイト等に対する国際執行の強化を目的としたプロジェクトに関する報告が行われた。
来賓として出席した衆議院議員の甘利は「デジタル上の権利侵害というのは一企業では手に負えない。官民連携、国際連携というのが網の目になって初めて効果が出せる。CODAが中心となって国際的な著作権侵害に対応する仕組みを作り、ファスト映画等々効果が上がってきている」と呼びかけた。
CODAの代表理事である後藤からは、海賊版サイト対策の現状と課題についての説明が。後藤は日本のマンガ、アニメ等のコンテンツが世界の海賊版サイト業者からターゲットにされていると話しつつ、「日本のコンテンツホルダーは権利侵害に権利行使してこないと思われている。ローリスク・ハイリターンで“おいしい”とみなされているのが現状」と述べる。さらに2019年においてオンライン上で流通する日本コンテンツの海賊版の被害額は、3333億7038万8130円から4300億3142万514円であると推計されていることを明かした。
後藤は「今非常に厄介なのが、運営者、サーバー、視聴者がすべて海外のケース。日本に視聴者がいないことで権利者も気が付かないだろうとやりたい放題やられている。特に中南米においてアニメーションが多く侵害を受けている」と言及。続けて後藤は中国で運営者の行政摘発に成功した“漫画BANK”の事例を挙げながら、運営者の特定など今後強化していきたい項目について語った。
弁護士の中島は「コロナ禍でお家時間が増えて、インターネットのアクセス数が非常に高くなった。その結果海賊版サイトへのアクセス数も鰻登りになってしまった」と分析。「海賊版を撲滅できるかということにおいては今年、来年が勝負の年になる」と伝えた。またファスト映画の被害額が今年6月の時点で950億円を超える推計であることも発表。
弁護士の前田は“海賊版対策に必要なもの”というテーマで講じる。ファスト映画事件において、日本人が日本から違法動画をアップロードしていた事件にもかかわらず、アメリカ合衆国の裁判手続きが犯人特定のきっかけになったことを指摘。「国内事件ですら、国内で完結しない」と述べつつ、日本コンテンツの海賊版被害の現状に触れて「ますます国際化が進展していく」と説明した。
弁護士の小山はリモートで出席。ファスト映画事件では、被告が著作権侵害申告を行った映画会社をリストアップし、それらの会社を避けて投稿作品を選定していたという一例を挙げる。小山は「法整備だけでは著作権侵害を防ぐことはできない。著作権法改正にもとづいて、十分かつ迅速に権利行使をしてくことが重要」と自身の見解を示した。
パテサロ® @patesalo
CODAが海賊版サイトに対するプロジェクトについて報告、ファスト映画摘発事例も紹介 (ナタリー) https://t.co/mcsmb6N6ky