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本作は、古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」をもとにした長編アニメーション。室町時代に実在した能楽師・犬王と、そのバディとなった琵琶法師・友魚の友情や、彼らがエンターテイナーとして人々を魅了していくさまが描かれる。アヴちゃんが犬王、森山が友魚に声を当て、津田が犬王の父、柄本が足利義満に息を吹き込んだ。
アヴちゃんは「試写会で映画を観た人から『(犬王は)アヴちゃんじゃないとできなかったんじゃないか』と言われたんです。私もこの作品に運命を感じましたし、私がやらなあかん役や!と思って演じることができました。自分の中で新しい人格、キャラクターが生まれたような感じがしましたね」と胸を張る。森山は「日本には口承文化があったことを考えると、それを伝える役割を(友魚のような)琵琶法師も担っていたはず。琵琶を習いに行ったんですが、ギターに近いけどもっと感覚的なものだと感じました。弾くだけではなく歌うのもセットなんです。そして自分が鳴らした音に対して、どんな音の声を当てるかが大事」と話し、楽器の旋律と歌が一体化するような体験をしたと語った。
今回さまざまな音楽ジャンルを参照したという湯浅は「歴史を振り返るとき、現在に残っている物だけでその時代を考えることに違和感がありました。たくさんの人たちが、生きていくために必死でいろんなことをやっていたはず。大らかで、カラフルで、本作にはロックな要素も入れましたが、あの時代にいわゆる現代的なものがあってもおかしくないと考えています。人々はきっといろんなことができたし、やっていたし、室町なめんなよ!と思いながら作っていました」と熱い思いを口にした。
収録を振り返った津田は「まだ映像ができていない状態で声を入れたんですが、できあがりを観たら湯浅ワールド全開でしたね。こうなりましたか!と面白かったですし、豊かな作品になっていました」とコメント。柄本は「義満の雅な感じと、ヒリついた感じの高低差を考えながら演じました」と述べ、自分自身と義満の似ている点を尋ねられると「ええっ……顔がちょっと似てるなって。だから僕が演じるしかないなって思いました(笑)」とジョークを飛ばして会場の笑いを誘った。
またアヴちゃんは「この作品における友愛の描き方はある意味ドライで、そこに現実味がある」「犬王にはシンパシーを感じるし、一緒にいたいという気持ちです」と話し、「女王蜂として小さいライブハウスでパフォーマンスをしていたときは、喉が潰れるぐらいで歌うのが大事だと思っていました。室町時代にはマイクがなかった。だから収録では野外でも後ろの人まで届くように、マイクが壊れるくらいに“歌喧嘩”していました」と回想。すると森山が「ネタバレになってしまうから今は言えないけど……作中で犬王が今も現存する、ある場所を使っているんです。アヴちゃんにはマジであの場所でパフォーマンスしてほしいです。やっているところが想像できる!」と提案し、アヴちゃんを喜ばせた。
最後の挨拶で森山は「コロナ禍で僕たちは体を寄せ合い、人と関わることを求めに求めている状況です。音楽フェスも再開され始めるようですが、これはまさにフェス映画。音楽と色彩、そしてフィジカルな要素を浴びてもらいたい。そして空間にモッシュしてください」と言って、アヴちゃんと一緒に空(くう)に向かってモッシュするしぐさを見せた。またアヴちゃんが「レペゼン室町で作らせていただきました。声を当てて歌って歌詞も作って……自分のやれることを受け入れてもらいました。この作品がこれから無限に再生してもらえることがうれしいです。いつか応援上映をしたいなと思っています」と述べると、会場からは期待を込めた大きな拍手が上がった。
「犬王」は全国でロードショー。キャラクター原案を松本大洋、脚本を野木亜紀子、音楽を大友良英が手がけた。
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「犬王」でアヴちゃんに新しい人格誕生、森山未來は「空間にモッシュしてください」(写真13枚) https://t.co/of86Lx6AV9