「
本作は、古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」をもとにした長編アニメーション。室町時代に実在した能楽師・犬王と、そのバディとなった琵琶法師・友魚の友情や、彼らがエンターテイナーとして人々を魅了していくさまが描かれる。キャラクター原案を松本大洋、脚本を野木亜紀子、音楽を大友良英が手がけた。
犬王役のアヴちゃんは主演のオファーがあったときのことを「想像していなかったです。1分間くらいビビりました」と振り返る。森山は、アヴちゃんが出演するならば自分も参加したいと思ったと言い、「10年以上前からプライベートでも付き合いがあって。アニメーションで会えることに縁を感じました」と当時の心境を吐露。また映画の見どころを「能は世界最古のミュージカルで、(映画は)歌と踊りの怒涛の波です。ミュージカルっていろいろな種類がありますが、この作品のすごいところは、一番大事な言葉や思いが音楽と踊りに込められているところ」とアピールした。
歌の収録ではアヴちゃんがディレクションを行っていたそうで、森山は「ブースに湯浅さん、大友さんがいて、その間にアヴちゃんがいました。『(歌っているときは)目をつぶるな!』と言われたり」と楽しそうに明かす。湯浅も「大友さんとニコニコしながら『いいね』って。録音ってこういうふうにしていくのかなと(笑)」とアヴちゃん主導の収録について話した。アヴちゃんは「マイクがない時代の歌なので、明日しゃべれないかもしれないと思うくらいに毎回歌いました。ひたすら喧嘩を売るような感じで」と回想する。
続いてアヴちゃんと森山は、それぞれの第一印象をフリップで発表した。「広大な砂漠」と書いたアヴちゃんは「しゃべっていくにつれて、1人でバンドをやっているみたいですごいと思った。簡単な言葉で言うと、当時はギラギラしていて。破滅的なところを見せてもらったときに、広大な砂漠だと思いました」と述べ、「ギブアップせず、砂漠のままこんなにレベルアップしていてすごい」と森山を見やる。一方、森山はアヴちゃんを「物の怪」と表現し、「舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の打ち合わせをしていたとき、大根(仁)さんが『すごいの出てきたよ』とYouTubeで見せてくれたのが女王蜂でした。アヴちゃんを見たときに、それまで練っていた構想がガラガラと崩れ去って、このままでは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』なんてできないと思いました」と衝撃的な“出会い”を語った。
「犬王」がバディものであることにちなみ、登壇者たちが自らのバディだと思うものを伝える場面も。アヴちゃんは「自分を受け止めてくれる、一番息ができる場所」という理由で「ステージ」と述べ、森山はプライベートな空間として機能している「車」を挙げた。湯浅は「ボディ」とフリップに書き、「歳を取るといろいろあります。今日は調子いいよ、今日はいけないかもみたいな、自分の体の使い方がわかってきたときは面白かった」と話した。
最後にアヴちゃんは「この映画に出るためにここまでやってきたんじゃないかと思うことがたくさんありました。ライブと違って遠征費もあまり掛からないし、何回も何回も観てほしい」と胸中を伝える。そして新型コロナウイルスが収束した際には、応援上映を行いたいと力強く口にした。
「犬王」は5月28日より全国でロードショー。
関連記事
湯浅政明の映画作品
リンク
河出文庫 @kawade_bunko
「犬王」アヴちゃんと森山未來の第一印象は?「広大な砂漠」「物の怪」(写真13枚) https://t.co/41Y2w4VdlZ