「THE TOKYO TOILET Art Project with Wim Wenders」の記者会見が本日5月11日に東京・TRUNK(HOTEL)で開催され、
THE TOKYO TOILET プロジェクトは、16名の建築家やクリエイターが渋谷区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修するもの。2020年に始まり、現在までに12カ所が完成した。企画に賛同したヴェンダースは東京、渋谷、THE TOKYO TOILETで改修された公共トイレを舞台に映像制作を行う。役所は同作で主演を務めることとなった。
本会見には、プロジェクトオーナーの柳井康治、クリエイティブディレクターの高崎卓馬も参加した。柳井から「日々、公共トイレのメンテナンスをしてくれている清掃員のバックアップをしたい」「トイレ利用者の意識改革をできないか」と相談されたという高崎は、「2人でアイデアを出していきましたが、『価値観や常識を変えるためにはアートがいいんじゃないか』と。そこでヴィム・ヴェンダースさんの名前が出てきて、この瞬間それしかないと思いました。熱意を込めて彼に手紙を書いたところ、“I'm in”と返事が来たんです」と経緯を説明した。また映画に加え、ヴェンダースが撮影した写真を使ったフォトノベル、彼のパートナーであるドナータによるインスタレーションも企画していると明かす。
ヴェンダースは「素晴らしい勇敢な方々と席を連ねられることが光栄です。あの手紙は最高のクリスマスプレゼントでした。東京にはしばらく来ることができておらずホームシックでした。今回実際に改修されたトイレを目にして、大変ワクワクしています」と挨拶。現在シナリオハンティングの最中だとも話した。一方、役所は「柳井さんのこの発想で、ヴィム・ヴェンダース監督が撮る。この話を聞いて断る俳優はいないと思います。監督の作品に参加できるということで、俳優になって40年、がんばってこの業界にしがみついてよかったなと。この映画で世界中のお客さんに日本という国を紹介できればと思います」と意気込みを述べた。
オファー内容に初めは驚いたと話したヴェンダースだが、「トイレ改修には安藤忠雄のような敬愛する建築家も携わっていたし、これは社会的、都市的に意義があるもの。俳優とともに自由に物語を作れる最高の企画だと感じるようになりました。トイレは英語でレストルーム(休む場所)と言いますが、実際に改修されたトイレを見たとき、真の意味で“休める場所”だと思いました。今は4つの物語を温めていて、それを何章かにわたってつづりたいです」と述懐。また役所については「本当にたくさんの映画に出演しているのですべてを観ることはできていないですが、彼は自分自身の核を持ちながらも、まったく違うキャラクターを演じ分けられる役者。確か『Shall we ダンス?』で初めて彼を見たと思うんですが、すぐに好ましく思いました。僕がなぜ役所さんをこんなに好きなのか知るためにも、一緒に仕事をしたいですね」と話し、笑顔を見せる。
それを聞いた役所は「嫌われないようにしたいですね」と冗談を交えつつ、「先ほど楽屋で監督からキャラクターについてのお話を聞きました。主人公は、365日休まずに1日3回トイレを清掃する男です。それを聞いて、僕はなんだかとても美しい物語になるような予感がしたんです。働く彼の姿から、日本人というものが何か理解してもらえる気がします」とコメントした。
イベント後半には、THE TOKYO TOILETプロジェクトに参加した
なお本作の撮影は2022年内、公開は2023年を予定。どのプラットフォームで披露されるかは現時点で未定だ。
白央篤司 @hakuo416
えー、ヴィム・ヴェンダースが来日しているんですね。どんな映像化になるのかピンとこないけど、まあヴェンダースが今夜日本で楽しくいてほしいなと思う。
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