西島秀俊とアピチャッポンが映画制作語り合う、“初タッグ作”の構想も

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第34回東京国際映画祭のトークシリーズ「アジア交流ラウンジ」が本日11月6日に東京・東京ミッドタウン日比谷で行われ、タイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセタクンと俳優の西島秀俊が対談した。

「アジア交流ラウンジ」の様子。左から西島秀俊、リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン。

「アジア交流ラウンジ」の様子。左から西島秀俊、リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン。

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左から西島秀俊、リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン、東京国際映画祭プログラミングディレクターの市山尚三。

左から西島秀俊、リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン、東京国際映画祭プログラミングディレクターの市山尚三。[拡大]

アジアを含む世界各国・地域を代表する映画人と、第一線で活躍する日本の映画人が語り合う同企画。まず最初は、西島の主演作「ドライブ・マイ・カー」の話題に。村上春樹の短編を濱口竜介が映画化し、第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞など4冠に輝いた作品だ。演出家および舞台俳優の男を演じた西島に対し、ウィーラセタクンは「今までで一番の演技でした。私はキャラクターに深入りしないようにと役者に伝えますが、西島さんはどういったメソッドで役に取り組みましたか?」と尋ねる。

西島秀俊

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西島は「濱口監督から、脚本以外にも役について膨大なテキストが送られてきました。それから『愛についてどう思いますか?』など10項目ぐらい問いがあり、役として答えを考えたり。監督は『テキストの中に答えがある』と。それをひたすら読むという作業を繰り返しました。ジャン・ルノワールやロベール・ブレッソンもやっていた演出法と言われていますが、面白い体験でしたね。いざカメラの前に立つと、そのテキストが自分を支えてくれていると強く感じました」と振り返る。また小説のキャラクターを“映画的”に見せる難しさにも言及。「小説だと感情が文章で説明されています。映画ではナレーションを入れるなどの方法がありますが、濱口監督は違う。自分の感情を見せずに、観客にどう伝えるか。そのために内面を充実させて感情の量を増やすということを常に考えていたので、正直キツい撮影でもありました」と明かした。

リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン。

リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン。[拡大]

続いて、ウィーラセタクンの新作「MEMORIA メモリア」の話へ。本映画祭のガラ・セレクションに出品されている同作はイギリスの俳優ティルダ・スウィントンを主演に迎え、南米コロンビアで撮影された。西島は「僕が偏愛する(ウィーラセタクンの監督作)『トロピカル・マラディ』のように、精霊のような何かが宿っていると感じました」と感想を伝えるとともに、タイではなくコロンビアで撮影した理由を質問。ウィーラセタクンはタイの政治情勢が混乱していたため、エスケープしたい気持ちがあったと説明したうえで「コロンビアと言うとアマゾンのイメージが強いが、実際に行ってみると町に魅了されました。タイのことを忘れて、この場所で映画制作を改めて勉強しようと。新しい冒険、今までとは違う旅でした」と語った。

左から西島秀俊、リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン。

左から西島秀俊、リモートで参加したアピチャッポン・ウィーラセタクン。[拡大]

また以前ウィーラセタクンが来日した際、西島主演で映画を撮ろうと持ちかけたエピソードも。その内容は「全編雪原・全編全裸」というもの。西島が「すごい話ですよね。キツいかもなあ、僕50歳なんでね。やりますけど!」と笑うと、ウィーラセタクンは「まだできると思っていますよ。秀さんとは日本でもタイでもない、お互いが異国になれる場所が必要だと感じるので、そこを探す旅をしています」と意欲をのぞかせた。

第34回東京国際映画祭は11月8日まで開催される。「アジア交流ラウンジ」は全世界に向けて無料配信され、終了後、アーカイブ配信も実施。明日11月7日にはポン・ジュノと細田守が対談を行う。詳細は映画祭の公式サイトで確認を。

なお「ドライブ・マイ・カー」は全国で上映中。「MEMORIA メモリア」は2022年3月4日に東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国で公開される。

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(c)2021 TIFF

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