山下敦弘が新作「ランブラーズ2」語る「久しぶりに“指人形”をやれた」

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オンライン・アートプロジェクト「AICHI ONLINE」最終日となる本日3月21日、新作短編「ランブラーズ2」を発表した山下敦弘のトークイベントが愛知・愛知芸術文化センターで行われた。

山下敦弘

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「ランブラーズ2」

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2004年に公開された山下の初期代表作「リアリズムの宿」に登場する人物たちの17年後を描いた「ランブラーズ2」。死んだ友人の通夜に参列するため、彼の地元にやって来た映画監督・木下を山本浩司、脚本家・坪井を長塚圭史、俳優・船木を山本剛史が演じた。「リアリズムの宿」と同じく、山下と向井康介が共同で脚本を手がけている。

左からМCを務めた中本真生、山下敦弘。

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山下は「歳を取ると、友達や身近な人が亡くなったり、死が身近になる。若い頃は映画の最後に主人公があっけなく死んで終わる、という作品をかっこいいなと思っていたんですが、いざ自分で映画を作ってみるとそれができなかったんです。自分はこれまであんまり死を描いていなかった気がするんですけど、今回はお通夜に集まる人たちを自然に描けました」と振り返る。また、ジョン・カサヴェテス監督作「ハズバンズ」を例として挙げ、「友達が亡くなって集まってきたおっさんが飲んでるだけの映画なんですけど、好きなんです。死んでしまった友達に対してどう距離を取っていいかわからない、という気持ちは自分にもあると思うので、それを表現したいと思って。木下、坪井、船木はほぼ自分たちですし」と説明した。

山下敦弘

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本作のテーマを山下が自身のSNSで「つまらない人」と語っていたことから、МCがつまらない人の具体例を尋ねる。山下は「さっきも言ったんですが、これは自分たちの話なので、自分自身がつまらなくなってきたのかなって思う気持ちがどこかにあるのかなと。でも撮影中に長塚さんに『登場人物自体がつまらなくなってきたのか、作る作品がつまらなくなってきたのか、どっちなんでしょうね?』と聞かれたときに、答えられなかったんですよ」と述懐。映画監督である木下を一例にし、山下は「いい悪いは別として、ものを作るということが作業になって、映画っていうものが仕事になってしまったんじゃないかなと。僕自身、20年以上やっていると仕事としか言いようがない部分もありますし、言い訳の引き出しだけが増えたというか、余計な経験を積んだなと思ってしまうこともあるんです。そういう意味でのつまらなくなったおっさんということですね」と自身の心情も交えて語った。

オンライン・アートプロジェクト「AICHI ONLINE」内で行われた山下敦弘トークイベントの様子。

オンライン・アートプロジェクト「AICHI ONLINE」内で行われた山下敦弘トークイベントの様子。[拡大]

完成した本作を「自分の身の丈とぴったり合う映画」と表現した山下。「これから先、自分でもいろんな映画を撮っていくと思いますし、先ほども言ったような“作業になってしまう”ような作品でも自分の中で面白いことを見つけて撮っていくと思います。でも、ここ10年ぐらいこういう自分の身の丈に合った映画を撮っていなかったので、このタイミングで作れたことで本当に助かったなと思っているんです」と振り返る。また、「映画を作り始めた頃は、本当にスタッフも少人数で俳優も知ってる人に出てもらってと、自分の感覚に直結した“指人形”のような感じだったんです。でも企画が大きくなったり人が増えていったりすると、どんどんいろんな人の思惑が入ってきて、指人形じゃ追いつかなくなって。今回はスタッフも20人ぐらいで、自分で脚本も書いているので、久しぶりに自分の体に戻って、指人形をやれた感覚がありました」と述べた。

山下敦弘

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「同じキャストで続きを撮りたい」と山下は続編に意欲を見せるも、「内容も方向性も未定ですね……」と苦笑。「つまらないおじさんたちなんですけど、それを魅力的に見せることができましたし、これは若い頃の俺にはできないだろうなと思って撮っています。20代の自分にとっては、今の自分はつまらないおじさんに見えるんじゃないかと考えるんですが、その自分から生まれるもののベストを作りたいです」とコメントした。

※「AICHI ONLINE」の“AICHI”と“ONLINE”の間の半角スペースは左右矢印記号が正式表記

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