前作「僕の帰る場所」では、実話をもとに在日ミャンマー人家族が居場所を求めてさまよう姿を描いた藤元。「海辺の彼女たち」では、技能実習生として来日したベトナム人女性労働者の実態を題材に選んだ。不当な扱いを受け職場から逃れた3人の女性たちが、新たな職を求めて雪降る青森の港町にたどり着くさまを描く。出演には
国内では第33回東京国際映画祭のワールドフォーカス部門で初上映。Varietyが選ぶ「東京国際映画祭で見逃せない日本映画」では5本中の1本に選ばれた。映画祭での反響を受け、全国10館以上での劇場公開が決定。また12月に開催される第42回カイロ国際映画祭インターナショナルパノラマ部門での上映も決まった。
東京国際映画祭のシニアプログラマーを務める矢田部吉彦は「我々が日ごろ知ろうとしない『もうひとつの日本』の姿がここにある。移民の受難を世界の映画が語る中、藤元監督も広い視野で日本を見つめ、観客の目を覚まさせてくれる」と推薦。ポレポレ東中野の代表・大槻貴宏、ベトナム人留学生や技能実習生の保護を行ってきたNPO法人日越ともいき支援会代表の吉水慈豊によるコメントも下記に掲載している。
大槻貴宏 コメント
出稼ぎのベトナム女性3人。本当に日本か、と思うほどの現実の惨さに途方に暮れると同時に、安っぽい優しさが吹き飛ぶくらいの彼女たちの決断に人間の強さを見る。そしてその姿が藤元監督・渡邉プロデューサーの二人とダブる。日本に住む外国人の陽の当たらない物語を無名のキャストで描いて2本。誰かに責任を押し付けるのではなく、僕たちはどう生きるのかと問い続けている。彼らが映画を撮り、上映され続けていく事が、社会の多様性に繋がっていくと信じている。
矢田部吉彦 コメント
我々が日ごろ知ろうとしない「もうひとつの日本」の姿がここにある。移民の受難を世界の映画が語る中、藤元監督も広い視野で日本を見つめ、観客の目を覚まさせてくれる。監督の視線は客観的で冷徹なものでなく、あくまで「我がこと」として、熱く真摯な姿勢で主人公に寄り添う。映画内世界は冬だが、本作が持つ熱情のリアリズム演出は観客の胸を焦がすだろう。藤元監督が世界を舞台に活躍する才能であることを証明する傑作だ。
吉水慈豊 コメント
この映画は、技能実習制度の問題点を提示しつつ、来日した若い女性たちが遭遇する過酷な暮らしを描いています。それは私が保護してきた元技能実習生が遭遇したある現実でもありました。映画を通じて、日本に働きに来た外国人は単なる労働力ではなく一人の労働者なのだということを今一度感じさせられます。
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来日した技能実習生の苦悩描く「海辺の彼女たち」2021年春より全国で順次公開 https://t.co/JMKdPpBzZ8