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新型コロナウイルスを倒す存在を生みだすべく、通販サイトで購入したカプセル怪獣を育てるサトウタクミを主人公とした本作。劇場版はYouTubeで配信された全12話の短編シリーズにシーンを加え再編集したバージョンだ。斎藤がタクミ、のんが通販で宇宙人を買った後輩・丸戸のん、穂志がYouTuberの“もえかす”、武井がコロナ禍の影響で職を失った先輩オカモトソウ、樋口が怪獣に詳しい樋口監督を演じている。
本作は岩井が樋口考案のリレー動画企画・カプセル怪獣計画への出演をオファーされたことをきっかけに制作された。岩井は「樋口くんから打診があったのは今日からちょうど3カ月前。すべては『怪獣を卵から育てたら?』というアイデアから始まりました」と振り返る。「それからあふれるようにお話ができてしまって。あれよあれよという間に物語が大きくなり、いつの間にかこのメンバーで映画を作ることに。僕にとってもなかなか不思議な体験で夢を見てるようです。ステイホームのコロナ禍で僕自身が目標を見出して救われたような、そんな気持ちです」と心境を明かした。
斎藤は「作品が最初のYouTubeの動画から劇場へと育っていく。観客の皆さんに届くことで、さらに意味を持って大きく飛躍する。そんな作品に関われたことを心からうれしく思っています」と参加の喜びを語る。撮影期間中もキャスト陣は直接会っておらず、制作はリモートで進められた。映画ではリモートで会話をしているように見えるが、キャストはカメラのほうを向いているため、相手の音声だけを頼りに演技を行ったという。のんは「実際には表情を見ずに、斎藤さんの声を頼りに演じていました。声だけだと耳が研ぎ澄まされるというか、とてもスリルのある撮影でした」と振り返った。
斎藤は、自身の役を「役割としてはキャッチャー。起こりうることを受け止めていく男性。バラエティ豊かな共演者の球を受ける。そこに設定を背負いすぎてもリアルな反応ができなくなるので、極力、素の自分のままでした」と説明。台本にないアドリブを率先して入れていたそうで「のんさんに変な球を投げるんですけど、ものの見事に打ち返される。それでもっと変な球を投げると、何か意図していなかったものが生まれる。何を投げても打ち返されました」と、共演者の視点からのんの演技に感嘆したことを明かす。また宇宙人と会話する役回りであるのんの芝居を「絶対にそこに実体を感じている人の演技。この映画を素晴らしいSF作品に昇華させたのは、のんさんかもしれない」と絶賛した。
岩井とは30年近い仲という樋口は「ついに岩井さんが怪獣映画を作る日が来た。先ほどまで、みんなで映画を観ていたんですが、岩井さんが作る怪獣映画はこうなるのか!という思いで胸がはち切れそうです」とコメント。また武井は「アスリート仲間や芸能界が自粛している中でオファーをいただいた。これは我々エンターテイナーの新しい闘いの一歩目になる作品。皆さんに観ていただけることを楽しみにしています」と語り、穂志は「俳優として何かできることはないかなと思っているときにお話をいただいた。本当に今だからできたこと。とてもチャーミングな作品。楽しみにしていてください」と呼びかけた。
のんは「この状況下ではアイデアとパワーがあれば映画を作れるんだということに感動して。映画の生命力を感じられて。完成した作品には、心にグッとくる、響いてくるメッセージが込められています。この状況下でもしっかり生きていかなければいけないんだと改めて実感しました。たくさんの人に観ていただきたいです」とまっすぐなまなざしを報道陣に向ける。岩井は「この不思議な“怪獣ごっこ映画”が皆さんに広がっていく。つらい日々が続いていると思いますが、この映画を観てちょっとでも心の癒やしや励みになったら、そんなうれしいことはない。そして何かを作り、何かを見出し、何かを手に入れていく。この映画がそのきっかけになれば」と作品に込めた思いを述べた。
このたび全7種類のカプセル怪獣のフィギュアが販売されることも明らかに。樋口は「我々の最後の潤いとなるのが物販です。こんなの売ってる!と思えるのも楽しみの1つ。岩井俊二監督の渾身の造形物であるカプセル怪獣たちが販売されます。そちらもお見逃しなく」とアピールした。
「8日で死んだ怪獣の12日の物語―劇場版―」」は、7月31日より東京・テアトル新宿、UPLINK渋谷ほか全国で順次ロードショー。売上の一部はミニシアターの支援にあてられる予定だ。また主題歌は岩井プロデュースのもと、ikireとコラボした小泉今日子が「連れてってファンタァジェン」をセルフカバーした楽曲となっている。
Atsushi Fukuda @fukudadesuga
斎藤工がのんの芝居絶賛、岩井俊二の怪獣映画を「素晴らしいSF」(写真17枚) https://t.co/xdV5vL9lB7