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中国の新鋭ビー・ガンが丸山健志と対談「学ぶべきものは貪欲に取り入れる」

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左からビー・ガン、丸山健志。

左からビー・ガン、丸山健志。

2月28日に封切られる「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」より、監督を務めたビー・ガンのインタビューコメントが到着した。

「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」は中国の新鋭ビー・ガンが28歳という若さで発表した長編2作目。父の死をきっかけに故郷・凱里へと帰った男ルオ・ホンウがかつて愛した女の面影を追って、現実と記憶、夢が交錯する旅へ出るさまが描かれる。

インタビューは映像ディレクター・丸山健志が聞き手を務める対談形式に。まず丸山がスタッフとの意思疎通の方法に関して尋ねると、ビー・ガンは「私がこれまでに手がけた2作品は実験映画と商業映画の間にある作品だと思っています。これらの世界観を私が順を追って説明するだけで、的確にわかってもらうのは非常に難しかった」と撮影を振り返る。

前半は時系列が複雑に入り組んだ2Dの映像、後半は60分長回しの3D映像という特殊な構成になっている本作。ビー・ガンは本作の物語を「文学的に表現すれば、男がとある女を回顧するにあたって、見知らぬ女から連想し、自分の記憶の奥底にある女の残像を回収していく話」と説明しながら、撮影現場における信条と方法論を明かす。「撮りたいものが抽象的であればあるほど、具体的な指示でなければなりません。例えば現場では撮る順番を『まずは女の手。次に背中、そして天井の電球、最後に男の顔』といった具合にあえてちぐはぐに指示していました。この一連の作業で主人公がある種の錯乱状態にある、自分自身の記憶を探索しているということを映像で表現することができるのです」と語った。

また丸山がウォン・カーウァイやアン・リーの影響を指摘しながら「作品を作るときに意識する自分らしさ、オリジナリティについてはどう考えていますか?」と聞く場面も。彼らからの影響に自覚的でありながら、ビー・ガンは「この問題はあまり考えていない」と言う。そして「もちろん先ほど名前が上がった監督の作品を参考にすることはあるし、彼らのスタイルや方法論で、僕が学ぶべきものは貪欲に取り入れます。しかしそのとき、あまりオリジナリティについては考えません。なぜなら、どんなに多くの文学や映画に触れたとしても、最終的な表現は自分の中から発するものであるから」と答えた。

取材の前に、対談のきっかけとなった丸山の監督作であるMONDO GROSSO「ラビリンス」のMVを観ていたビー・ガン。女優の満島ひかりが踊りながら香港の繁華街に迷い込む様子をワンカットで捉えた作品であり、丸山に対して「MVにおける視覚的・聴覚的なアプローチは、常に最高級のものを追求している。その姿勢は僕たちも同じかも知れない。何よりも直感的なところで気が合うなと思いました。ですからもっと、丸山さんの作品を観てみたいです」と話した。

「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」は東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほか全国で順次ロードショー。

※記事初出時、写真の説明に誤りがありました。お詫びして訂正します。

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