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「僕たちは希望という名の列車に乗った」のヨーナス・ダスラーが主演を務める本作では、1970年代のドイツに実在した連続殺人鬼フリッツ・ホンカの姿が描かれる。制作のきっかけを尋ねられたアキンは「この作品はヒットした小説がもとになっているのですが、もともとはニュースレターか何かで本の出版を知りました。発売当日に買いに行き、半分読み終えたくらいで弁護士に『映画化権を取得してほしい』と依頼したんです」と振り返る。「実際に映画化するかはまだ迷っていたのですが、そのあとに『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞を獲ったので、“ゴールデングローブ”というバーが出てくる本作をやはり作らなければと思ったんです」と笑う。
続いて、会場からはダスラーを起用した理由を聞く声が上がった。アキンは「観客にこの物語の世界に付いて来てもらいたいと考えたときに、フリッツ・ホンカという人物に対してそのまま共感してもらうのは難しいと思いました」と言い、「彼は幼少期にレイプをされたり、ひどい目に遭っているが、それを描いて観客に憐憫の感情を持ってもらうようなことはしたくなかった」と説明。続けて「そこで、若い方をキャスティングしようと思いつきました。ヨーナスは撮影当時22歳くらいだったのですが、若い方には目に無垢なものが宿っていて、それはいくら特殊メイクで覆い隠してもコントロールできないものなんです。彼をキャスティングすれば、キャラクターが何をやってもその無垢さに観客が付いて来てくれるんじゃないかと考えました」と明かした。
さらに「ほかに映画化してみたい殺人鬼は?」という問いが飛ぶと、アキンは「特にいません」と笑みをこぼす。「ただナチに関しては以前より題材として興味を持っています」「ヨーゼフ・メンゲレ医師の物語がフランスで小説になっているので、ヨーナスにも渡して読んでもらいました。それで2人で映画を作ろうかと話しているので、もしかしたら実現するかもしれません」と今後の展開を述べた。またドイツでの興行成績は非常によかったと話し、「北部に行くほど数字がよかったのですが、それは彼の存在がより認知されていたから。南のほうでは興味のレベルが弱いと数字に表れていました」と分析する。
最後に観客から「今後ハリウッドからオファーがあればメガホンを取りますか?」と某シリーズ作品を例として挙げられながら質問されたアキンは、「脚本の質によります」ときっぱり。「ジャンルやスタジオ、予算で先入観を持つことはありません。素晴らしい脚本であれば引き受けたいです。限界を作るのはいつでも自分自身ですからね」と言いつつ、「ただそういう作品は、たいてい脚本がよくないんですよ(笑)」と冗談を交えてイベントを締めた。
「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」は、2月14日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。
※「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」はR15+指定作品
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