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オリヴィエ・アサイヤス来日でマヨルカ島のロケ回想、新作を「コメディ」と位置付ける

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「冬時間のパリ」トークイベントの様子。左から樋口泰人、オリヴィエ・アサイヤス。

「冬時間のパリ」トークイベントの様子。左から樋口泰人、オリヴィエ・アサイヤス。

冬時間のパリ」のトークイベントが12月2日に東京のアンスティチュ・フランセ東京で開催され、監督のオリヴィエ・アサイヤス、樋口泰人、坂本安美が登壇した。

フランス・パリの出版業界を舞台に、迷える大人たちの愛の行方を描いた本作。樋口が「オリヴィエ作品の中で初めてのコメディと言ってもいいのではないかと思えた」と口火を切ると、アサイヤスは「最初からコメディにするつもりはなかったのですが、脚本ができあがった時点で『これは僕の作品の中でコメディとして紹介できるものになったのでは』と思いましたね」と話す。続けて「この作品はある意味、初監督作『無秩序』につながるようなもの。時間が経っているのに30年の隔たりを感じないんです。新しく作り上げていく作品は毎回、過去作の理解を深める補完的な存在のような気がします」と語った。

海辺のシーンではスペイン・マヨルカ島で撮影を実施したという。悪天候に悩まされたと振り返ったアサイヤスは「このシーンが明るい光の中で撮れなかったら、語りたかったストーリーが台無しになってしまうんじゃないかとすごく不安でした」と回想。続けて「ですが、島の端の海岸線を歩いていたら、太陽が差し込んできて。今すぐ撮らなければと急ぎました。奇跡的に太陽があるべきところに来てくれたんです」と裏話を明かす。

そのエピソードを聞いた樋口が「これまでの作品もそんなに機動性豊かな撮影スタイルでしたか? それとも何年もの積み重ねで得た軽やかさでしょうか?」と尋ねる。「実用的な感覚やセンスを持つのは映画制作にとって重要」とアサイヤスは言い、「映画を撮り続けていって得られるのは教養やスキルだけではありません。自分の持っている本能をどれだけ信じられるかということ。理性的に無理と思わずに、行動に移すということの重要性を学びました」と述懐した。

また、役者への演出については「感情面で重要なシーンであればあるほど、私は役者に指示は一切出しません。そこで表出してくるものは彼らの自発的な感情であってほしいからです」とアサイヤスは説明。さらにノラ・ハムザウィ演じるヴァレリーの「浮気してるのね」というセリフを引き合いに出し、「あの感情の込め方は自分の予想を大きく超えてきて、息をのみましたね」と思い起こす。それに対し坂本は「感情があってそれを言葉にすると言うより、言葉が感情を引き出しているような。脚本の言葉を信じて発していることで、彼女からふっと感情が引き出されていた感じがします」と分析していた。

「冬時間のパリ」は12月20日より東京のBunkamura ル・シネマほか全国で順次ロードショー。

(c)CG CINEMA / ARTE FRANCE CINEMA / VORTEX SUTRA / PLAYTIME

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