ペドロ・コスタが取り組むのは“失われた映画制作”、新作「ヴィタリナ」携え来日

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第20回東京フィルメックスの特別招待作品「ヴィタリナ(仮題)」が本日11月28日に東京・有楽町朝日ホールで上映され、監督のペドロ・コスタが登壇した。

ペドロ・コスタ

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「ヴィタリナ(仮題)」

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本作の主人公はポルトガルへ出稼ぎに行った夫を追いリスボンへと向かったヴィタリナ。夫の死亡を知ったヴィタリナが、彼の痕跡を探すかのように移民労働者が暮らす地区に留まるさまを描く。ヴィタリナ・ヴァレラ演じるヴィタリナは、コスタの前作「ホース・マネー」に登場したキャラクターと同一人物という設定。第72回ロカルノ国際映画祭では最高賞の金豹賞に輝いた。

ペドロ・コスタ

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まずコスタは本作にプロの俳優が参加しておらず、全員が演技の素人であると述べる。「この作品は努力の結晶です。ヴィタリナとの信頼関係にもとづいていて、彼女を愛していると言っても間違いではないかもしれません。今も彼女に寄り添っている気持ちです」と胸中を吐露。また「出演者は自分のセリフを自分で書いているので、俳優であり脚本家でもあるんです。だから私は監督というよりもオーガーナイザー。『ここはカットしたほうが意味が通じるんじゃないか』などの助言をして調整しています」と自身の役割を説明する。

自分たちが取り組んでいる映画制作の手法は、今はもう失われてしまったと口にしたコスタ。その意味を「かつては素人に演じてもらうこともありました。しかし今ではドキュメンタリー以外ではほとんどありません。今作で試みているような、深く題材を掘り下げることは稀になってしまった。私はこのような映画から得るものが非常に大きいと考えています」と解説した。

続いて、観客から映画のアスペクト比に関する質問が。古典的サイレント映画の比率であるスタンダードサイズを採用した理由についてコスタは「数本を除いて、今までもこのフォーマットで撮ってきました。これは私の映画人生を培ってきたサイズだからです」と回答。さらに「人間を捉えるうえで適したサイズだと思っています。デジタルで撮る場合もこの比率が一番好きです」と嗜好を明かした。

「ヴィタリナ」は2020年夏に東京・ユーロスペースで公開。

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