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「ブルーアワーにぶっ飛ばす」主演の夏帆、自身の役には「出会うべくして出会った」

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夏帆

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ブルーアワーにぶっ飛ばす」のトークイベントが本日9月26日に東京・日本シネアーツ社試写室で開催され、キャストの夏帆、本作監督の箱田優子、映画監督の大九明子、ライターのトミヤマユキコが登壇した。

東京で日々仕事に明け暮れる30歳のCMディレクター砂田が、病気の祖母を見舞うため大嫌いな地元・茨城に帰郷するさまを描いた本作。イベントでは、夏帆と箱田は本作の衣装担当が作ったという映画オリジナルTシャツを着て登場した。夏帆は海外の映画祭で登壇したことに言及しつつ、「日本で観終わったあとのお客さんにじかにお会いするのは今日が初めてです。思いのほか緊張しますね」とはにかむ。

砂田を演じた夏帆は役について「どこか自分とリンクする部分が多かったです。時間の流れに対しての葛藤があったりと、今の自分自身とすごく重なるところがあって。砂田の役に向き合うというよりは、自分自身と向き合う時間だったなと思います」と当時を振り返る。また「10代のころから仕事を続けてきて、どこか20代の私自身で勝負したりぶつけられるような役を演じてみたいなと思っていたところでこの役をいただけました。出会うべくして出会えた役なのかなと思います」と思い入れの強さを語った。

「もう言うことないですね」と夏帆の完璧なコメントに笑う箱田は、制作について「今でしか撮れないものが映っていたらいいなと。ブルーアワーという時間自体が1日で2回訪れる、夜明けなのか日暮れなのかという時間。そんな曖昧な時間の中でどう生きるかということを書きたいと思っていました」と述べる。続けて「実際演じてもらう人にもリアルに劇中で揺さぶられてほしかったので、そういうのも含めて夏帆ちゃんに演じていただいてよかったです」とほほえんだ。

DVDで最初に本作を鑑賞したという大九。「タイトルやビジュアルなどで観る前からお客さんの気持ちをわしづかみにしようとする貪欲さみたいなものを感じていました」と印象を明かし、「(映画では)わずかな時間をすごくクロースアップしていて。それをどう乗り切るのか、どう自分のものしていくのか。主人公はブルーアワーというおとぎの森のようなところをずっとぐるぐるしていた人だったのかなとか」と感想を述べていく。本作をダイナミックな映画と評した大九は「人物としてのダイナミズムもあるし、映像の美しさや迫力もある。いろんな意味で楽しめる映画だなと思いました」とたたえた。

続いて「労働系女子のフィクションの最前線に躍り出ていると思った」と考察したのは少女マンガに描かれる女性の労働をテーマに研究するトミヤマ。昨今における働く女性が主人公のマンガでは、王子様は“救い”の存在としては登場しないことを説明し、「王子様に救ってもらうような手垢の付いた物語は読者がもう求めていないので、王子様ではない誰かが救いになることがとても多いんです」と話した。「女同士の絆だったり、年齢性別関係ないコミュニティだったりが救いになるという話がすごく増えてます。この映画には王子様はいないんですが、だからこそガチで救いにきているのがかえってわかりました」と専門家としての見解を伝えると、夏帆は感嘆の表情を見せる。

普段の映画撮影現場について振り返った夏帆は、「役者用の待合室がすごく苦手で、そこには基本的にはいないですね。行く先々で自分の落ち着ける場所を見つけるのは得意です」と歩き回って過ごしていることを明かす。「野良猫みたい」とツッコまれる夏帆の隣で箱田は、「撮影期間がすごく短かったのもあるし(夏帆は)横で並走していてくれたような感じでした。こんな距離感」と夏帆と顔を向き合わせ笑顔を見せた。

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」は、10月11日より東京・テアトル新宿、ユーロスペースほか全国でロードショー。

(c)2019「ブルーアワーにぶっ飛ばす」製作委員会

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