「伝説の監督
2009年7月、51歳で死去したマレーシアの映画監督ヤスミン・アフマド。没後10周年にあたり、彼女の作品に携わった女優の
アマニが同監督と出会ったのは自身が17歳のときだという。ヤスミン・アフマドはすでにCMディレクターとして活躍していたが、知人を介して偶然知り合った彼女に対し、アマニは「誰?」とつれない反応だったとか。しかし「細い目」のオーディションに呼ばれ、映画の道へ進むことに。アマニは「大学には行きませんでしたが、“ヤスミン・アフマド映画大学”に進みました(笑)」とジョークを飛ばす。2人の出会いの場に同席していた姉のシャリファ・アリヤは「ヤスミンはあのとき、アマニの素を見たんだと思います。初めて会ったにもかかわらず、私たちは打ち解けていました」と振り返った。
トークでは同監督のフィルモグラフィに沿って、作品ごとにエピソードが語られていった。特に登壇者たちは、政治的な制約がある中、作品を通して問いを投げ続けたヤスミン・アフマドの勇敢さに次々と言及。テオは「当時、マレーシアでは右傾化が進み人種間の関係も悪かった。だから『細い目』のようなマレー系の少女と中国系の少年が恋に落ちる映画なんて存在していませんでした。中華系のコミュニティには常に怒りと恐怖が伴っていましたが、『細い目』はマレー系の映画作家が中華系の人々の気持ちを代弁してくれた作品です。勇気があるなと感じました」と当時の心境を振り返った。
アマニは、物議を醸すストーリーだったにもかかわらず「細い目」がマレーシアのオスカーに相当する賞を獲得したことに触れる。「細い目」の受賞に抗議する業界人もいた中、続いて同監督が発表した「グブラ」は宗教的なタブーの描写があったものの、再び最優秀賞を受賞した。「グブラ」の撮影中、彼女に向けて攻撃的な記事が書き立てられていたようで、アマニは「メイクしてもらっている間、ヤスミンはよく私のひざに頭を乗せて泣いていました。私が“母”のように思っている人が、子供のようにひざの上で『ストーリーを伝えたいだけなのに』と泣くんです」と明かす。しかしその後の「
テオがヤスミン・アフマドと自身の関係性について話す場面も。彼女は「
「伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後10周年記念 特集上映」は8月23日まで開催。長編全6作に加え、遺作となった短編「チョコレート」を含むオムニバス映画「15マレーシア」がスクリーンにかけられる。
伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後10周年記念 特集上映
開催中~2019年8月23日(金)東京都 シアター・イメージフォーラム
当日料金:一般 税込1800円
<上映作品>
「
「細い目」
「グブラ」
「ムクシン」
「ムアラフ 改心」
「タレンタイム~優しい歌」
「15マレーシア」
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ヤスミン・アフマドの映画作品
リンク
- 「伝説の監督 ヤスミン・アフマド特集」公式サイト
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ヤスミン・アフマドの勇気と社会的影響をシャリファ・アマニら称賛、90分超えトーク - 映画ナタリー https://t.co/Qygj9lQucc