第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に出品された「
中村文則のデビュー小説を「百円の恋」の武が実写化した本作は、拳銃を拾い、次第にその魅力に取り憑かれていく大学生の西川トオルを主人公とした作品。村上がトオル、広瀬がトオルと同じ大学に通うヨシカワユウコを演じた。
数年前に舞台で共演した俳優から「虹郎に合う本があるよ」と薦められ、原作小説を購入していた村上。「買ったんですけど、忙しくて読まずに積読してた」と回想し、奥山から主演オファーを受けたことについて「宿命だと思いました。でもトオルが虹郎にピッタリと言われると複雑」と述べ笑みをこぼす。自身の役柄を「この作品の中で唯一の天使、陽の存在」と紹介する広瀬に、武が「ユウコが出てこないとつらいよね」と同意する場面も。
原作に忠実に作られた映画だが、「ある場面で原作には出てこないユウコを出してます。それを観た中村さんも『こういうのがないと暗すぎますよね。助かります』と言ってくれて」と語る武。同シーンは、中村が原作者として初めて脚本にセリフを書き足した場面でもある。武と村上は現場でも脚本ではなく原作を読み返し、指針にすることが多かったという。
広瀬は「会うたびに目つきが違う。近寄りがたいオーラがあって」と撮影現場での村上の雰囲気に圧倒されていたことを述懐し、「だから現場ではあまりしゃべってないんです。取材のときにエピソードがなさ過ぎて困りました」と笑う。トオルの家となる東京・高島平近辺のアパートに住み込んで役作りを行った村上は「風呂がなかったので、3駅隣りの銭湯まで行ってましたね」と振り返り、武も「あの近所をフラフラしてたよね。完全にトオルくんになってました」と当時の様子を明かした。
武が原作でもっとも引き込まれた場面という、トオルが刑事と対峙する喫茶店での撮影エピソードも語られた。リリー・フランキー演じる刑事の長ゼリフを中心とする、7ページ半に及ぶ同シーン。武が「リハーサルもやってないし、リリーさんは撮影前もフラッと現れる方。そのシーンだけ本読みしたんですが……」と話し始めると、村上は「だるそうでしたね。本読み超嫌いって顔でした(笑)」と言って笑いを誘う。さらに武は、脚本に忠実でありながら所作などでアドリブを差し込むリリーの芝居に「これが噂の“初リリー”か……」と驚嘆したことを打ち明けた。
最後に、村上が「こういうとがった作品には、なかなか出られない。中村さんにとって、デビュー作の『銃』は宝物。この映画には、純粋に『俺はこれが作りたい』と思っている純度の高い人たちが集まった。自分も、濁りなくただトオルを生きるという意識で演じました」と熱っぽく語り、イベントを締めくくった。
「銃」は11月17日より東京・テアトル新宿ほか全国にてロードショー。
※「銃」はR15+指定作品
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