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第31回東京国際映画祭にて、今回より新設されたGALAスクリーニングに選ばれた本作。東野圭吾の同名小説をもとに、愛娘の脳死を宣告された離婚寸前の夫婦が、前例のない最先端テクノロジーで娘を回復させようとする姿を描く。篠原が狂気的な行動で我が子を守り抜こうとする播磨薫子、西島が薫子の常軌を逸した姿に苦悩する夫・和昌を演じた。
舞台挨拶に先立ち、六本木ヒルズアリーナにて行われたレッドカーペットセレモニーに出席したキャスト陣と堤。マイクを取った篠原はオファーを受けた決め手として、原作をすでに読んでいた夫・市村正親の後押しがあったことを明かす。「『こんなにいい作品をやらないのは損だよ』という言葉に揺り動かされて。自分でも読み直したんですが、たった2時間の世界の中で、こんなにもいろんな登場人物がいろんな感情になれる作品を逃したらもったいないと思い、やらせていただきたいという気持ちになりました」と語った。
劇場で行われた舞台挨拶では、篠原が本作で3度目となる西島との共演について「お互いが家族を持ってから、家族をテーマにした作品で初めてご一緒させていただきました。内容が実生活と重なるので、すごくいろんな話をしましたし、考えさせられるものがありましたね」としみじみと述べる。西島は「はい」と同意しながら「篠原さんが実人生で積み重ねられたことの重みと演技の深さを感じました。今回の作品は子供についての物語なので、実人生ごと役に向かわれたのかなと思います」と分析した。
坂口は自身が演じた、和昌が経営する会社の研究員・星野について「僕から見ても肩に手を置いて『力を抜いて』って言いたくなるぐらい走っちゃう役。でも星野なりの正義をちゃんと見せたいと思いました。徐々に周りが見えなくなっていったりとか、歯車がちょっとずつずれていく調整を現場では考えてましたね」と回想。星野の恋人・真緒役の川栄は自身の役どころを「播磨家の中で起きていることを一番客観的に見ている人物」と解説し、演じるうえで堤から「菩薩のような優しさを持つ人物」とオーダーされていたと語る。MCから「星野のように仕事に没頭する男性をどう思うか?」と問われると「もうちょっと気を抜いてよ、って言っちゃうかもしれないですね」と苦笑いを浮かべた。
薫子の妹・美晴を演じた山口は「監督から、薫子とは対照的な役でいてほしいと言われたので、深すぎる悲しみの中に没入していく薫子さんを日常に引き戻したいと思ってました。薫子の太陽にはなれないけど、裸電球ぐらいの温かみで包み込めるように、薫子の前では明るくいるように努めました」と話す。和昌の父・多津朗を演じた田中は「きっとおじいさんの中にも戻せない時間に対する悔しさはあったんだと思います。歳を取るということが、ただ時間を重ねるということではなく、私たち1人ひとりが時代の質問を受けながら生きているんだと、この作品に参加している最中に思いました」と語った。
堤は、本作の撮影はほぼ順撮りで行われたと説明したのち「このストーリーにおける感情は順番に醸成されていくものだと思ったんです。物語の始まりから順に追わせていただいて、大変ぜいたくなやり方です。丁寧に感情を作れるようにやってきたつもりです」と自信をのぞかせた。撮影中の楽しかった思い出を問われた坂口は「播磨家での撮影中、カットがかかると子役の子たちがセットとかに興味がわいて、はしゃぐんですよ。その様子を篠原さんと西島さんが実の親のように見ていて。2人も一緒にはしゃいだりする様子を見ると、心が和やかになりました」と思い返す。MCが「自分にも子役が懐けばいいのにと思いませんでしたか?」と問うと、坂口は「僕も西島さんに懐いてました!」と笑顔を浮かべながら返し、会場の笑いを誘った。
最後に堤は「たくさん作品を撮ってきましたが本当に自信をもってお届けできる作品。この作品は結論が1つではありません。観た人によってはいろんなお考えがあるでしょうと思います。私自身も原作を読んで『他人事じゃないな……』と思ったことが始まりでした」と述懐。篠原は「ハラハラドキドキしてクライマックスがどうなるかわからない作品になってます。最後まで、思いっきり泣いてください!」と観客に呼びかけ、会場を後にした。
「人魚の眠る家」は11月16日より全国でロードショー。第31回東京国際映画祭は11月3日まで開催される。
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