「
本作は、政略のため10代で日本へ留学させられた大韓帝国最後の皇女・徳恵翁主の運命を、「四月の雪」で知られるホ・ジノが描いた歴史スペクタクルドラマ。「私の頭の中の消しゴム」のソン・イェジンが主演を務め、「グエムル 漢江の怪物」のパク・ヘイル、「少女は悪魔を待ちわびて」のユン・ジェムンが脇を固めた。
まず本作を撮ろうと思ったきっかけを「7、8年前に観た徳恵翁主についてのテレビドキュメンタリー」と話すホ・ジノ。「普段私はあまり泣かないのですが、徳恵翁主が38年ぶりに韓国へ帰国する場面で涙を流してしまった。本作にも登場しますが、そのシーンが長年頭から離れなかったのです。高貴な身分でありながらなぜ彼女は悲劇的な人生を送ったのか、ずっと疑問に思っていました」と語る。
実在の人物を主人公にしながら、本作は韓国で出版されベストセラーとなった小説をもとに製作されている。徳恵翁主を描くうえで、史実とフィクションのバランスに苦心したというホ・ジノは「原作を脚色する過程で、彼女が美化されすぎてしまうのではないかと心配しました。実在の人物を描く作品は、歴史的事実とフィクションの境界線をどこに置くかが難しい。本作は、彼女の感情や思いに焦点を当てて作りました」と苦労を明かした。
徳恵翁主の異母兄である英親王の妻イ・バンジャを演じた戸田は「日韓共作でもない韓国映画に、日本人1人で出演させていただきました。だから撮影現場では『本番!』という掛け声もわからなくて困りました(笑)」と撮影時のエピソードを披露。戸田を起用した理由を問われたホ・ジノは「まずはとてもお美しい方でいらっしゃるということ」と優しくほほえむ。そして「イ・バンジャさんは奉仕活動などを熱心にされていて、韓国の人々からは善良で優しい方というイメージを持たれている。だから戸田さんの人柄にぴったりでした」と戸田をべた褒め。そして「現場でも共演者やスタッフにとても好かれていて、一緒にマッコリなんかも飲んでいました」と撮影を振り返った。
イベントの終盤、ホ・ジノは「公開できると思っていなかった日本で上映できるのはとてもうれしいです。本作が描くのは歴史的に“痛み”を伴った時代。観る人によっては居心地が悪いかもしれないが、伝えたいのは政治的な問題ではなく、時代に翻弄された1人の女性の存在です。そういった視点に立って本作を楽しんでもらいたい」と挨拶。戸田が「日本ではあまりなじみのない徳恵翁主やイ・バンジャさんなど、時代の渦に巻き込まれた女性たちの思いが、少しでも多くの人に伝わってくれたらと思います」と述べイベントを締めくくった。
「ラスト・プリンセス -大韓帝国最後の皇女-」は6月24日より、東京・シネマート新宿ほか全国でロードショー。
関連記事
ホ・ジノの映画作品
関連商品
リンク
- 「ラスト・プリンセス -大韓帝国最後の皇女-」公式サイト
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
SARU @saruKmovie
イ・バンジャと書いて悪いことはないだろうけど、どんな人か知らずに書いてるとは言える? むしろ彼女が主人公のほうがまともな映画になったかも。:「四月の雪」監督の最新作プレミアに戸田菜穂が出席「現場では一緒にマッコリ」 - 映画ナタリー https://t.co/y3yyxW1BjE