ホセ・ルイス・ゲリン来日、“発見を楽しんだ”新作「ミューズ・アカデミー」を語る

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本日11月18日、「シルビアのいる街で」などで知られるホセ・ルイス・ゲリンの監督最新作「ミューズ・アカデミー」の上映会が東京・スペイン大使館にて行われ、ゲリンと映画評論家のヴィヴィアン佐藤がトークを行った。

ホセ・ルイス・ゲリン

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「ミューズ・アカデミー」ビジュアル

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大学の哲学科の授業を題材とし、ダンテの「神曲」を皮切りに、文学、詩、そして現実社会における“女神”について議論が交わされていくさまを追う本作。実在するイタリア人教授ラファエロ・ピントらによる果てのない議論や、そこから生まれるドラマが、フィクションとドキュメンタリーの境目をあいまいとする独特の手法で描かれる。

ホセ・ルイス・ゲリン

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まずゲリンは「ある大学教授と学生たちが行っている“ミューズ・アカデミー”という授業を映画にしてほしいと頼まれたことから制作が始まった」と説明。最初は映画のことを考えず小さなカメラを持参したが、ゲリン自身がその授業を楽しみ、議論に重みが出てきたと感じたことから、映画として完成させようと決意したという。出演しているのはすべて実在の人物たち。ゲリンは「皆さんそれぞれ実生活があるが、そこからファンタジーに発展していく。ですからこの作品は、誘いはあるけれど、ドキュメンタリー映画祭には出さないと決めています」と話す。

左からヴィヴィアン佐藤、ホセ・ルイス・ゲリン。

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作品の舞台は、教室という公な場所から始まり、そこから台所や車の中といった私的な空間へと移っていく。ゲリンは「自分は親密な空間に入る権利がないのではと考えた。だから例えば車の窓を通して人物を撮ったら、外の風景が重なりながら親密な会話が聞こえてくる。人物のアップを風景が汚し、それによって観客が想像できる空間を作れると思いました」と撮影の意図を解説し、それに対して佐藤は「奇跡を撮っているようだった」と感嘆の声を漏らした。

前もって決め事を作らず、撮影と編集を繰り返しながら脚本を練っていったというゲリン。「映画とは常に発見していくもの。物語を先に書いてしまうと、どういう映画になるか自分で想像でき、限界を作ってしまうことになる。でも今回の場合は撮影した素材を見返すたびにたくさんの驚きがあり、編集のたびに発見を楽しむことができました」と語り、カメラを構えていた自身を「一番最初の観客でした」と例える。また役者が予想外のセリフを放ったシーンを挙げ、「ちょっとカメラが震えてしまいました。私は監督として、彼女が発した“言葉”という挑戦状を受け止めなければと思いました」と刺激的な撮影を振り返った。

「ミューズ・アカデミー」は、2017年1月7日より東京・東京都写真美術館ほか全国で順次ロードショー。また本作の公開に合わせ、ゲリンの特集上映「ミューズとゲリン」も実施される。

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(c)P.C. GUERIN & ORFEO FILMS

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