ちばてつや、劇場アニメ「風のように」完成披露でマンガ家としての歩み振り返る

劇場アニメ「風のように」の完成披露トークイベントが本日5月7日、東京・プーク人形劇場にて行われた。

ちばてつやによる同名マンガを原作にした「風のように」は、養蜂一家に生まれ家族を失った少年・三平と、彼が出会った少女・チヨを軸にした中編アニメ。クラウドファンディングで集められた資金などによって製作されたヒューマンドラマで、手つかずの荒れ地を開墾する三平を野沢雅子が、開拓後に行方をくらませた三平の帰りを待ち続けるチヨを福原美波が演じる。

クラウドファンディングのコレクターを招いて行われたイベントには原作者のちばを筆頭にマンガ家の村上もとか、石川サブロウ、川三番地が出席。ちばは開口一番「皆さんが協力してくれたおかげで映画ができました。ありがとうございます」と観客に感謝の意を述べる。自分の作品は読み返さないというちばは「アニメーションで初めてこの作品に触れたようでした。新しい世界を見せてもらえた」とアニメを観た感想を満足気に語る。

作品の内容に絡めて初恋の思い出を聞かれた登壇者たち。村上は「東映のアニメ『安寿と厨子王丸』の安寿にドキドキしました」、石川は「ちば先生の『ハリスの旋風』のオチャラですかね。主人公がうらやましかった」とそれぞれに回答していく。最後に話を振られたちばは「僕は惚れっぽくて、すぐ好きになっちゃうんですけど……さっき（本編を観ているときに）隣に座っていた野沢雅子さんにドキドキしました」と述べ、照れたように笑う。

MCから自身の作品におけるこだわりを聞かれた川は「僕はくじけないでがんばる主人公を30年近く描いてきたんですが、いろんなくじけない方法があると思っているので、今後もそれを続けていきたい」とコメント。同じ質問に対してちばは「パーフェクトな人間には惹かれない。三平にしても、ジョーにしても欠点だらけだけど下手なりに一生懸命やっている。だから応援したくなるし、そういう親しみを感じさせるキャラクターを描いてきたのかなと、ふと思いました」とマンガ家としての歩みを振り返った。

イベントには監督の本多敏行、作画監督の野口征恒も登壇。またシンガーソングライターの松本佳奈も登場し、主題歌の「恋風」を披露した。

「風のように」は7月9日より東京・下北沢トリウッドにてロードショー。