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中国ドラマ女優放談 Vol. 1(前編)
中国ドラマを彩る女優たち|ヤン・ミー、ティファニー・タン、リウ・シーシーはなぜファンの心をつかむのか?
1980年代生まれのトップ女優たち──楊冪、唐嫣、劉詩詩
2025年2月21日 18:15 12
リウ・シーシー(劉詩詩)は可憐な花(島田)
──続いてお話しするのは、1987年3月10日生まれの
小酒 彼女の作品を最初に観たのは、「宮廷女官 若曦(ジャクギ)」(2011年中国放送)で、インパクトがすごく強かったです。なんとなく、それまで出会った強い中国の女優さんとは違った印象を受けて。
──「若曦」から中国ドラマを観るようになったという人が周りにもけっこういます。
小酒 あれからもう何年も経っていて、お休みしている時期もあったので、彼女を知らない人は、ぜひリウ・シーシーを知ってほしいなと。
島田 煌びやかで華やかな女優さんというイメージじゃないんですよね。可憐な花というか。そこが彼女の魅力だと思います。
小酒 私は彼女のよさって、普通っぽく見せることもできるし、すごく美人に見せることもできるところだと思っているんです。役によっては素朴だったり、地味に感じることもありますし、ゴージャスに感じることもある。女優さんとしては得なタイプだなと。「風中の縁」で演じていたのは、狼と育った娘で、お姫様系の役じゃなかったんですが、そういうのも似合っていた。劇中でエディ・ポン(彭于晏)とのラブシーンがあったんですが、妙にリアルで色っぽいなと思った記憶があって。すごくドキっとしたんです。そういうリアルな演技もうまくて、映画だとよりそれを感じられる気がします。
島田 まだ日本には入ってきていないんですがニー・ニー(倪妮)と共演した2020年の作品「流金岁月」がけっこう話題になっていましたよね。女性を中心に描かれるロマンシスもすごく彼女に合っているんじゃないかと思います。
小酒 同じ2020年の「亲爱的自己」も女性ドラマ的な部分がありました。そのあたりのドラマが日本には入ってきていなくて、彼女の作品が紹介される機会が少ないので、もっとプリーズ!みたいな気持ちはあります(笑)
島田 現代ドラマはセールス的にちょっと難しいというのもあったかもしれないですけど、最近は日本にもどんどん入ってきているから、ちょっと前の作品も観てみたいなと思いますよね。
小酒 そうそう。みるアジアさんの後継の配信サービスが今後始まるそうなので、そちらにぜひお願いしたいところです。
──彼女の出演作の中でお薦めの作品を挙げるなら、どの作品ですか?
島田 今お薦めするならやっぱり「一念関山(いちねんかんざん)-Journey to Love-」かなと思います。今まではかわいらしいイメージだったんですが、この作品で彼女が演じているのは貫禄のあるスパイ。すごみが利いていて、かっこよくてびっくりしました。いい感じに歳を取って、かわいらしさのうえに、経験が積み重なった演技をしているなと感じました。
小酒 私も今、お薦めするなら「一念関山」なんですが、まだ観たことないという方には「若曦」もお薦めしたいです。タイムスリップものとしては「宮 パレス ~時をかける宮女~」と同じ時代背景で同じ歴史人物がモデルなのでよく比較されますが、また全然面白さが違って、「如懿伝」と「瓔珞」のように見比べて楽しむのもありです。リウ・シーシーの魅力を再確認するという意味でも、「一念関山」から戻って「若曦」をまた観るのもいいかなと思います。若い頃ならではのフレッシュな彼女の魅力がとても出ていた作品。イケメンがたくさん登場して、今思えばハーレム設定なんですが、その中心にいるリウ・シーシーがよかったからあそこまで大ヒットしたと感じます。
※後編に続く。
参加者プロフィール
小酒真由子
映画界・出版界での会社勤めを経てフリーライターに。雑誌「月刊スカパー!」、「見るべき中国時代劇ドラマ」「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」「華流ドラマガイド」などのムック本、Cinem@rtなどのWeb媒体でアジアから欧米までドラマについて執筆している。
島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆するほか、中文翻訳もときどき担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「アジア俳優名鑑」「中国エンタメニュース」を連載中。「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」(キネマ旬報社)、「見るべき中国時代劇ドラマ」(ぴあ)などにも執筆している。
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