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映画「酔う化け」菊池真理子が題名の真意や監督に逃げられたエピソード明かす

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「酔うと化け物になる父がつらい」トークイベントの様子。左から片桐健滋、菊池真理子。

「酔うと化け物になる父がつらい」トークイベントの様子。左から片桐健滋、菊池真理子。

菊池真理子原作による映画「酔うと化け物になる父がつらい」のトークイベントが去る2月26日に東京・アキバシアターで行われ、片桐健滋監督と菊池が登壇した。

本作はアルコールに溺れる父と、新興宗教信者の母のもとに生まれた主人公が、崩壊していく家庭の中でがむしゃらに未来を見つけていく姿を描いたエッセイマンガの実写映画化作品。映画では主人公・田所サキ役を松本穂香、父のトシフミ役を渋川清彦が演じた。菊池は映画化のオファーを受けたときの心境について「大人の事情でいろいろ描けないこともあるんじゃないかなと思ったので、ただただびっくりしました」とコメント。片桐監督らには「きれいな家族愛の話にはしないでください」とリクエストしたという。監督は制作にあたって「菊池先生がお父さんに言ってほしかった言葉を物語の結論とすることと、『家族なんだからいいよね』という話にしないということを大事にしました」と話した。

松本と渋川を親子役でキャスティングした経緯を聞かれた片桐監督は「家族の物語を自分なりに父親の目線でも描ければいいなと思っていた」と前置きしたうえで、渋川が演じたトシフミについては「やっていることは許されることではないのですが、なんとなくユーモラスに見えるほうがいいなと思っていました。そこで笑顔がチャーミングで、お付き合いも長い渋川さんにお願いしました」と語る。松本に関しては「困っている顔があまりにも悲惨にならないということが重要だと思いましたし、お芝居の点でも松本さんがいいのではとプロデューサーに話しました」と述べた。

本作を初めて観たときの印象について、菊池は「(主人公は)マンガでは私の名前ですけど、映画ではサキちゃんという別の女の子。冷静に観られるかなと思っていたんですが、無理でした。ちょっと早い走馬灯を見た気分で、号泣しました」と述懐。その後のエピソードとして、菊池は「ありがとうございますとお伝えしようとしたんですけど、監督が逃げちゃったんですよ!」と片桐監督が試写後に走り去ろうとしていたことを暴露する。監督は「原作の先生に観てもらうのは、やっぱり緊張しちゃうんですよ。そもそも人付き合いもうまいほうじゃないですし、菊池先生が泣いていたので『(作品の出来は)いいのか? ダメなのか?』と自分の中でごちゃごちゃしてしまいましたし……」と恥ずかしそうに理由を話す。菊池は笑いながら「それにしても逃げなくてもいいじゃないですか。みんなに取り押さえられてましたよね」と述べ、観客を笑わせた。

また原作タイトルの末尾が「怖い」「嫌い」などではなく「つらい」であることについて、菊池は「『つらい』は、父をいいとも悪いとも言えない、という気持ちで付けたタイトルです。ということは、自分でも後から気が付いたんですが」と告白。さらに映画について「今回、監督が父の視点も入れてくれたけれども、もし娘の視点からのみの映画にしてしまったら、父親を断罪する映画にしかならなかったと思っていて。観た人が個人的に父を嫌いと言うことはいいと思いますが、見せる側がそれをやってしまうと困るなと思っていたので、監督が父親の気持ちをこういうふうに描いてくれたことは納得しているし、ありがたいと思っています」と語った。

最後に片桐監督は「家族というのは親密になればなるほど、やらなければならないことをどんどんやらなくなっていくものだと思うんです。必ずどこの家庭もどこからか水が漏れているんだ、ということを考えるきっかけになればと思ってこの作品を作りました。鑑賞後にちょっと家族のことを考えてみようかなと思っていだたければ」と本作に込めた思いを述べる。菊池は「原作者なので映画にあんまり茶々を入れるのはよくないと思いつつ、実はすごく口を出してしまいました。私のわがままを全部聞いてくれてありがとうございます!」と監督やスタッフに感謝した。「酔うと化け物になる父がつらい」は、3月6日より東京・新宿武蔵野館ほかにて全国公開される。

(c)菊池真理子/秋田書店 (c)2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会

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