劇場アニメとTVアニメ、それぞれの改変への思い
上映後、登壇した竹宮は「大変緊張しました」とほっとしたような表情。「私自身の(生み出した)キャラクターが今度はどうなるのっていう心配っていうか。親心みたいなもので緊張しました」と改めて映像を楽しんだ様子で、「こんなに感動的だったんだって思いました」と感想を述べた。
月刊マンガ少年(朝日ソノラマ)で連載された「地球へ…」。少年マンガを読んで育ったという竹宮は「ついに少年マンガ誌で描けるということに、いろんな可能性を感じた」と当時を振り返る。SFという題材にした理由については「どうしてもこのチャンスを逃したくない。一度きりだから、普通だったらいけないかもしれないことを描いてしまおうという気持ちだった」と明かした。連載当初は「宇宙戦艦ヤマト」のリバイバルや、「スター・ウォーズ」の上映でSFが流行っていたことから、流行の流れは意識したのかと問われると、肯定しつつ「(流行が作品を)後押しするようなエネルギーだった」と回想。パリへの旅行中には、日本より先に上映されている「スター・ウォーズ」も観に行ったと懐かしんだ。
1980年に公開された劇場アニメ版の話題も展開。「映画って尺が長くないわけで、その中にすべてを収めることができるんですかというのが最初の疑問だった」と制作当初の心境を語る。また設定の改変への印象を尋ねられると「(複雑な世界を)説明するのに改善は必要だったと思っています」と尊重。また原作と比較して劇場アニメとTVアニメ版のラストがわかりやすく作られていたことに対し「言葉できちんと説明されていて、非常によかった」と称えた。
「少年」は「可能性」
劇場アニメを経て、2007年に再びアニメ化されることが決まったときは「また!?」と自身も驚いたと述べる竹宮。TVアニメ版の監督・
竹宮の作品には少年の主人公が多いと指摘されると、竹宮は「私にとっては少年が一番描ける存在なんですよね。自分を乗せやすい」と答える。そして「『少年』という言葉を別の言葉に置き換えるとしたら、『可能性』だなと思う」と話し、「可能性を持っているキャラクターっていうのを、ずっと自分のテーマとして作っていこうと思っていましたね」と続けた。髙橋氏は、ミュウは大人になることを拒否している存在のように受け取ることができ、当時のアニメファンが「地球へ…」を読むことで、自分が肯定されていると感じたのではと考えを巡らせる。それを受けた竹宮は、「人っていうのは、ちゃんと大人になるかというと、そんなことはなくて。たぶんずっとその人のままなんじゃないかなと私は思ってます」と微笑んだ。
「地球へ…」が持つ変わらぬメッセージは
「地球へ…」のテーマは「人と人がわかりあえるのか」と解釈した髙橋氏。世界の平和が揺らぐ昨今の情勢に触れ、現代の人に作品がどう届くと思うかを、竹宮に問う。竹宮は「地球へ…」が現在の人に向けて作られた作品ではないとしつつも「希望を持った可能性のある少年たちが、どうやって生きていくのか。規定の路線を跳ね返して、どうやって自由に生きるのか。なかなか窮屈な世の中ではあるけれど、それが希望になればいい。そんなふうに思って、『地球へ…』を読んでほしいなと思います」とまっすぐな眼差しで答える。そして「(作品の持つメッセージは)今も昔も変わらないと私は思っています」と言葉を紡いだ。
終盤には、会場に来ていたヤマサキ監督が突然壇上に呼ばれる一幕も。ヤマサキ監督は、竹宮にはアニメ制作中に何度も助けられたと言い、「(竹宮に)『大丈夫だから勇気を持ってやってください』って励まされました」と懐古した。最後に竹宮に、創作に向き合う人々へのメッセージを求められる。「(マンガやアニメなどの創作だけではなく)自宅で小さな刺繍を作っている人たちも、やっぱり同じことをしてるんだなって思いますので、できるだけそれを楽しんで。いろいろ想像して、自分の未来の可能性を広げていただきたいなと思います」と客席に温かい視線を送り、イベントは終了した。
「東京アニメアワードフェスティバル 2026(TAAF2026)」開催概要
日程:2026年3月13日(金)~16日(月)
会場:東京都 池袋エリア
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チャッキーくん @chuckiekun
上映後の竹宮惠子先生のお話しは素晴らしかった!
あと先生が割と近くでご覧になっていて
先生はどんな思いでご覧になってるのだろう?
と一度チラッと見てしまった。
すみません🙇♂️ https://t.co/AdvlgAyHkS