「秘密法人デスメイカー」1巻

このマンガ、もう読んだ?

「秘密法人デスメイカー」かわいい表紙は“詐欺”です! 読むなら自己責任のブラックコメディを正直レビュー

PR鰻田まあち「秘密法人デスメイカー」

人間界のヒーローが大好きで、彼らに“ぶっ殺される”ことを夢見る怪人のデュアルホーン。夢を叶えるべく人間界にやってきたが実在するヒーローはおらず、デュアルホーンはヒーローを自身で生み出すことにしたのだが……。鰻田まあちがSNSで発表し話題となり、現在はヤンチャンWebで連載されている悪の組織のブラックコメディだ。

/ 小林聖

鰻田まあち「秘密法人デスメイカー」1巻
鰻田まあち「秘密法人デスメイカー」1巻
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1巻の表紙は詐欺の類いなので注意してほしい

最初にお伝えしておきたいのだが、このレビューの冒頭に「秘密法人デスメイカー」1巻の書影が出ていると思う。これを見て、ほのぼの人外系コメディだと思った人は、手遅れになる前に本編かこのレビューを確認しておいてほしい。これは表紙詐欺の類いだ。

本作は人間界にやってきた怪人・デュアルホーンが立ち上げた宗教法人デスメイカーの日常を描いたギャグマンガだ。

1巻表紙において右にいる、手でハートマークを作ろうとして無視されているキャラクターがそのデュアルホーンだが、彼女は公式のキャラクター紹介で「ヒーローに殺されることで性欲を満たそうとする」と書かれている。そして、第1話ではデュアルホーンが特撮ヒーローもののビデオで抜いているシーンから始まる。

「秘密法人デスメイカー」第1話より、特撮ヒーローもののビデオに興奮するデュアルホーン。

「秘密法人デスメイカー」第1話より、特撮ヒーローもののビデオに興奮するデュアルホーン。

左側の女の子はデュアルホーンの下で働く人間のしんとちゃん。本作では比較的良心的なキャラクターだけど、第2話の導入ではゲロを吐いている。

そして一番タチが悪いのが、平和そうな感じで映っているオムライス。本編を知らなければ「美味しそう」で済むのだが、本編を読むと怪人・ハエオムライスが作ったものだろうと察せられる。ハエオムライスはデュアルホーンが生み出した怪人で、いろいろあってハエとオムライスが混ざっている。オムライス作りが上手で、性格も悪くないのだが、ウンコに固執するし、口の中にはチキンライスが詰まってる。本編を読んだ後だと、こんなに美味しそうなオムライスを見て、食欲が失せる。

「秘密法人デスメイカー」第1話より、デュアルホーンが生み出した怪人・ハエオムライス。

「秘密法人デスメイカー」第1話より、デュアルホーンが生み出した怪人・ハエオムライス。

そんな感じで、書影から受ける第一印象は悪質なマッチングアプリユーザーの自撮りくらい本物と違う。ただ、中身そのままのカバーデザインにしたら、たぶん正気の書店は並べるのをためらってしまうと思うので、必要悪だと飲み込んでもらいたい。

文字に起こしていいのか不安になるエピソードがてんこ盛り

さて本作は、ヒーローに殺されるために人間界に来たデュアルホーンが、特撮ヒーローとはフィクションの存在であることに気づいて絶望。部下の勧めで自分を殺すカッコいいヒーローを自ら生み出すことにする、という物語だ。それで生み出された怪人第1号が前述のハエオムライスである。

「秘密法人デスメイカー」第1話より。人間界のヒーローはフィクションであることを知り落胆するデュアルホーン。

「秘密法人デスメイカー」第1話より。人間界のヒーローはフィクションであることを知り落胆するデュアルホーン。

読み切りの反響を受けて連載になったのだが、作者はXで「読み切りwebで公開されてるけどあれ日和られて滅茶苦茶妥協させられたのが癪なんで宣伝したくない」とコメントしている。冒頭から特撮ヒーロー番組で気をやっている話で日和っているのなら、日和らず原液で出した場合、秋田書店の編集者が何人かギロチンにかけられていると思う。

実際、第2話以降のエピソードでも文字にしていいのか迷う描写が盛りだくさん。第7話あたりは下手に触れるとレビューを書いただけのこちらまで延焼しそうだし、第10話は秋田書店がきらら編集部にきららジャンプ殺法で殺されても文句は言えない。あと、個人的な苦情だが、第6話で「どうせこの漫画読んでる奴も大半は何の目標もなく惰性で生きてるようなのばっかですよ」と唐突に刺してくるのはやめてほしい。こちらは44歳にもなってフラフラとこんなレビューを書いている身なのだ。山岸凉子作品とか読んで心をえぐられるなら本望だが、ギャグマンガ読んで心が死ぬのは割に合わない。

「秘密法人デスメイカー」第6話より。

「秘密法人デスメイカー」第6話より。

といった感じで内容が伝わっているのか不安だが、あまり忖度せずに内容を紹介していくと、コミックナタリーで今まで一度も使われたことのない単語が飛び出したりしてしまうので、これ以上踏み込めない。仮に踏み込んで書いたとしても何も伝わらない気もする。レビューとしては身も蓋もないが、気になったら自己責任で本編を読んでもらうしかない。

なお、特に話が進むにつれ編集部のタガがはずれてきたのか、より一層どうかしている話が増えている印象なので、本格的に怒られるエピソードが出てくる前に連載を追っておくのがいいだろう。秋田書店は適切に日和って、公表して差し使えないラインに収めるためにがんばってほしい。

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「秘密法人デスメイカー」第1話を試し読み!
©鰻田まあち(秋田書店) 

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