「ダンジョンエルフ ~ダンジョンに宝箱があるのは当たり前ですか~」1巻

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「ダンジョンエルフ」この世界には絶対裏がある。人知れずダンジョンに宝箱を補充するエルフの物語

PRリバー・スラン「ダンジョンエルフ ~ダンジョンに宝箱があるのは当たり前ですか~」

ダンジョンの中に当たり前のように存在する“宝箱”。しかしその宝箱はいったいいつ、誰がどうやって置いたのか……?「ダンジョンエルフ」の主人公・スネイルは、冒険者を助け世界の均衡を保つために、ダンジョンに宝箱を届ける存在。はじまりの森の草むらから、勇者一行でも全滅を覚悟する死地、民家の中まで、人知れず宝箱を置いていく。good!アフタヌーン(講談社)で連載中だ。

/ 太田祥暉

RPG好きなら誰もが頭をよぎる疑問「なぜダンジョンには宝箱があるのか?」

子供の頃にRPGをプレイしたときの記憶を思い出すと、当時は気にならなかったけれど、よくよく細部を考えてみると「あれはどういうことだったんだ……?」という描写がある。例えば、高レベルになってようやく入ることができたダンジョンの最深部に置かれたアイテムの存在だ。当時は誰か別の冒険者とかが落としていったものなのだろうと解釈していたが、坂を登って、降って、下手すればダイビングまでしてようやく辿り着ける場所でアイテムを落とすなんて冒険者がいるだろうか。そもそも剥き出しで置いているわけではなく宝箱の中に入っているのだ。加えて、そのアイテムがなければその後の冒険がうまくいかない!なんてこともあるのだから、あまりにも作為的すぎる。もし落としていった先人がいたとして、その後の攻略にはとても手を焼いたはずだ。パーティだったのであれば、落とした者が戦犯として追放されてもおかしくはない。そう思うと、本来であれば宝箱の裏に何者かの存在があることを、当時から頭の片隅で考えてもよかったのではないだろうか。

「ダンジョンエルフ」第1話より。

「ダンジョンエルフ」第1話より。

おそらくその何者かは、主人公側・敵側、どちらにも対抗できる力を持っている(そうでないと未踏のダンジョンにまで宝箱を置けないので)。そして、ダイビングや空中浮遊など、一般人では立ち入れないような場所に辿り着ける技を会得している。さらに、モンスターや伝承などダンジョンの攻略に必須な知識もふんだんに持っている。――となると、長命でなければいけない。つまり、エルフがファンタジー世界の裏側にいることは必然であったのだ!

という「ファンタジー世界の裏側」を描く物語が、本作「ダンジョンエルフ」である。主人公のスネイルは、宝箱を置くべく、雪山から空の都、孤島、新規ダンジョン、廃海賊船まであらゆるところに姿を現すのだ。

絶対にこのファンタジー世界には裏がある

スネイルの冒険は、僕らがRPGでダンジョンに辿り着くよりももっと過酷で魅力的である。僕らがRPGをプレイするときは、初めて訪れるダンジョンであっても、ある程度の順路が示されているし、行き詰まってしまった最悪の場合、攻略本や攻略wikiを参照すればいい。しかし、スネイルの場合は生身のリアルプレイだ。行き詰まったら即死の危険もあるし、野宿も辞さない。モンスターを倒して食料を自給自足し、知識をもとに進む方法を推理。どうにかして、ボスモンスターの元に辿り着いて宝箱を置かねばならないのだ。

「ダンジョンエルフ」第1話より。

「ダンジョンエルフ」第1話より。

しかも、そのダンジョンというのが先に書いたようにジャンルに富んでいることもタチが悪い。ワンパターンであればスネイルもすぐに突破できるものの、毎回悩むハメになってしまうのだから(ワンパターンだと読者としても面白くないので、必然ではありますが)。今回はこう来るのね、とか、この世界にはまだこんな方向性が眠っていたなんて!と、どのエピソードでもハラハラドキドキすること必至だろう。

……とはいえ、なぜスネイルは宝箱を世界各地のダンジョンに置いているのだろうか。RPGの記憶に立ち戻ってみると、物々交換だとか、何かしらのミッションをクリアした者にアイテムを渡すNPCの存在には納得ができる(NPCにとってアイテムを渡す理由があるのだから)。しかし、各地のダンジョンに宝箱を設置する理由が「勇者(プレイヤー)に冒険を円滑に進めてほしいから」ではただの慈善事業者になってしまう。絶対にこのファンタジー世界には裏があるのだ。

そんな裏に関しても少しだけ描かれている本作だが、果たしてこの先はどうなっていくのか……。RPGあるあるのようで少しずらした世界観設定が面白い「ダンジョンエルフ」から目が離せない……!

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「ダンジョンエルフ」第1話を試し読み!
©リバー・スラン/講談社

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