15の夜に読んでたマンガ 第9回 [バックナンバー]
ネムレス・うてなゆきと「百日紅」(杉浦日向子)
図書室で見つけた、難しい漢字タイトルの本にびっくり「えっ漫画だコレ!」
2023年12月20日 16:30 7
2023年12月25日で開設から15周年を迎えるコミックナタリーでは、15周年に合わせた企画を続々と展開中。人間で言えば15歳とは中学から高校に上がる節目であり、服装から言葉づかいまで心と身体の成長に合わせてありとあらゆるものが変化していく思春期の真っ只中だ。マンガ読みとしても、思春期を境にそれまでと読むマンガの趣味がガラッと変わったという経験を持つ人も多いのでは? このコラム「15の夜に読んでたマンガ」では、そんな15歳の頃に読んでいた思い出深いマンガについて人に語ってもらう。
第9回はブレイクコアアイドルのネムレスが登場。
文
15歳の頃に読んでたマンガと、読んでた当時のことを教えてください
杉浦日向子「百日紅」(筑摩書房)
私が通っていた高校には保健室登校ならぬ図書室登校があり、本が好きな自分にとって、図書室は教室から逃げられる聖域(サンクチュアリと読む)でした。
ある時、何気なく目が止まった一冊の本。この漢字知ってる、さるすべりって読むんでしょ。
タイトルの難しそうな漢字がたまたま読めた私は、その本を開いて衝撃に打たれました。えっ漫画だコレ!
森鴎外や武者小路実篤と並ぶ、地味なハードカバーの分厚い本がまさかの漫画!
実際、図書室を利用しているほとんどの生徒が、そこに漫画が並んでいることに気が付いていなかったように思います。
なんの前知識もなく手に取った「百日紅」は何もかもが衝撃的でした。
筆で描かれたような浮世絵タッチの絵柄で、第一話はいきなり生首の話!二話も生首の話!三話で死体が動き出す話!うぉー好き好き、こういうの大好きだぞ!
江戸時代バージョンのちょっと不思議な「日常系」漫画なのか、と掴みはじめて、三話でようやく登場人物があの葛飾北斎だとわかるんです。
絵を描いたり、描かなかったり、動き出した死体を箒でしばいたり……やべー!めちゃくちゃおもしれー!図書室にあった杉浦日向子全集はすぐに全部読み終えてしまいました。
大人になってからも、手元にあのコレクションが欲しいと何度か思いましたが、ハードカバーの全集はなかなか手が出せずに、単行本や文庫版などを少しづつ集めています。
今の自分から、15歳の自分におすすめしたいマンガはありますか?
榎本俊二「えの素」(講談社)
コロコロコミックをとっくに卒業して、どこか宙ぶらりんになっていた15歳の私にはやく「えの素」を読ませたい!
おおきくなってもうんちやおしっこで爆笑していいんだよ。大丈夫、安心して。掲載誌はモーニング(講談社)だよ。
ネムレス(ねむれす)
ブレイクコアアイドル。うてなゆきによるセルフプロデュースプロジェクトとして、デジタルハードコア、ブレイクコア、ファンコットなどを軸に、ナードでギークに畳み掛ける新生”ボスラッシュコア”を提唱。北はスウェーデン、南はうどん県まで精力的にライブ活動を行う。上野野音では原寸大の戦車を出現させ、そのライブはMVとして公開された。
アート制作では、東京mograg galleryで毎年開催される企画展「アイドルと芸術」に5回連続で出展し、来場者を巻き込んだインスタレーション作品で注目を集める。ライブハウス・難波ベアーズのPA卓前にイラストをライブペイントで制作。2021年2月、大阪excubeで初個展を開催した。グループ展への参加や、バンドのジャケットやマーチのデザインなど、アウトプットを続けている。
ロゴデザインはNC帝國によるもの。アパレルではストリートアーティスト・CRODとコラボするなど、常に新しい刺激を求めて活動している。
尊敬する動物はイカ。将来の夢はファミ通(KADOKAWA)に載ること。
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