「アイドラトリィ」3巻

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「アイドラトリィ」サバ番を勝ち抜いて最愛の推しをデビューさせる!究極の“推し活”を描く頭脳型アイドルマンガ

PR大鷹シン・ホマレ「アイドラトリィ」

最愛の推し・槻城ふわりを推すことが生きがいのアイドルオタク・陽見循菜。そんなある日、ふわりの所属するアイドルグループが突然解散することに。失意の中、ふわりがアイドルオーディション番組に挑戦すると知った循菜は、彼女をその頂点に導くため、自らオーディションに出場することを決意する。「アイドラトリィ」は、マガジンポケットで連載中。

/ ナカニシキュウ

大鷹シン・ホマレ「アイドラトリィ」1巻
大鷹シン・ホマレ「アイドラトリィ」1巻
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アイドル×(死なない)デスゲーム×頭脳戦

マンガを含む創作ストーリーというものは、しばしばある種の思考実験としての側面を持つことがある。「特定の状況下において、人がもし極端な行動選択をしたらどうなるか」という“実験結果”の一例を見せることで、読者に「自分もチャレンジしてみようかな」と思わせたり、あるいは「自分はその選択をする人間じゃなくてよかった」と感じさせたりする。そしてもちろん、単に“異常な生態”を面白がらせもする。「アイドラトリィ」は比較的その色彩が濃い1作だ。

本作の主人公・陽見循菜はアイドルオタクの女子高生。推しの槻城ふわりに人生のすべてを捧げる勢いでオタク活動に没頭する充実の日々を送っていたが、ある日突然ふわりの所属グループが解散してしまう。この世の終わりかのごとく絶望するも、循菜は持ち前の情報処理能力を遺憾なく発揮し、ふわりがサバイバル形式のオーディション番組に参加する意向であることを嗅ぎつける。そこで彼女が取った行動は、「自分もオーディション候補生となって、ふわりを確実に勝たせるサポートをする」というアクロバティックなものだった。

サバイバル番組のプロデューサー宅に無理やり押し入り、参加させろと迫る循菜。

サバイバル番組のプロデューサー宅に無理やり押し入り、参加させろと迫る循菜。 [高画質で見る]

一見荒唐無稽なようでいて、ズブの素人とメジャーアイドル経験者が同じオーディションに参加するケースは現実でもまったく珍しいことではなく、動機はさておき状況そのものは十分にあり得る範囲内のものだ。ここで行われる“実験”は「自分ではなく他人を勝たせるためにオーディションを攻略するとしたら?」という“推し活の極北”とも言えるようなものだが、現実世界においても本当にやろうと思えばできるっちゃできるシチュエーションと言える。そうした最低限のリアリティを担保するからこそ、実験は実験としての意味を持つのである。

そのように、近年隆盛を極めるサバイバルオーディション番組をモチーフとした作品ではあるが、あまり“アイドルもの”とは決めつけないほうがいい。どちらかというと脱落式のオーディションを戦略的に勝ち抜いていく面白さを描いた、“人が死なないデスゲームもの”のような楽しみ方が中心になるだろう。その意味では“アイドル版「ブルーロック」”のような側面もあり、そこで繰り広げられる頭脳戦や心理戦が見どころになるという意味では“アイドル版「カイジ」”のような要素も備える作品である。

不正行為も辞さない過剰な狂信性

循菜の取る戦略がことごとく正攻法ではないところも、非常に“実験的”で興味深い。例えば視聴者投票によって合否が決まるパフォーマンス審査では、愚直に歌やダンスのスキルを向上させるのではなく、“いかに投票したくなる演出を施すか”にフォーカスするのが循菜のやり方だ。やっていることはほとんどプロデュース業である。その精度を上げるために番組ADの弱みを握って協力させ、本来は候補者が知り得ないはずの内部情報を提供させるなど、不正行為も辞さない。そのあたりも“真っ当なアイドルもの”とは一線を画す。

番組ADの弱みを握り、取引を持ちかける循菜。

番組ADの弱みを握り、取引を持ちかける循菜。 [高画質で見る]

循菜の目的は自分が合格することではないので、最悪不正がバレて失格になったとしても痛くも痒くもないのである。その設定が「だからこれだけ大胆に振る舞えるんだな」と一定の納得感を生んでいる。もっとも彼女の行動は不正どころか不法行為にまで及んでいるのだが、そこはこの際フィクションとして積極的に黙認すべきだろう。むしろ、それだけ危ない橋を渡ってでもふわりを勝たせようとする彼女の狂信性こそが本作の肝である。彼女以外にもプロデューサーの新条絢子やライバル候補生の初宮リサなど、本作には基本的にどうかしている人間しか出てこない。

「アイドラトリィ」という作品タイトルは、「偶像崇拝」を意味する英単語「idolatry」から取られている。「idol」が「偶像」を指すのは言うまでもないとして、「-latry」という接尾語はどうやら「崇拝、過度の敬虔さ」といった意味を持つようだ。つまり“過剰であること”をニュアンスとして含む語ということであり、まさに本作にふさわしい絶妙なワードチョイスと言える。

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「アイドラトリィ」第1話を試し読み!
©大鷹シン・ホマレ/講談社

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