15の夜に読んでたマンガ 第5回 [バックナンバー]
劇画狼と「14歳」(楳図かずお)
「俺は14歳で終わる!!」と考え続ける立派な中2に成長した劇画狼少年でしたが……
2023年10月26日 17:15 7
2023年12月で開設から15周年を迎えるコミックナタリーでは、15周年に合わせた企画を続々と展開中。人間で言えば15歳とは中学から高校に上がる節目であり、服装から言葉づかいまで心と身体の成長に合わせてありとあらゆるものが変化していく思春期の真っ只中だ。マンガ読みとしても、思春期を境にそれまでと読むマンガの趣味がガラッと変わったという経験を持つ人も多いのでは? このコラム「15の夜に読んでたマンガ」では、そんな15歳の頃に読んでいた思い出深いマンガについて人に語ってもらう。
第5回は特殊出版レーベル・おおかみ書房代表の劇画狼(ゲキガウルフ)が登場。
文
15歳の頃に読んでたマンガと、読んでた当時のことを教えてください
楳図かずお「14歳」(小学館)
「中学生になったから少年誌以外のマンガも読んでみるか」と、近所の本屋でただならぬ表紙のマンガを手に取り、ページを適当に開いた瞬間に飛び込んできた、「14歳で終わる!!」と叫ぶチキン・ジョージ。
それは当時13歳の自分には強すぎる衝撃で、そのまま「見てはいけないものを見たい気持ち」を抑えきれずに読み進める中、第4章のチベットの兄弟の話と第6章UFO大飛来&集団宇宙性交の話で完全に発狂。
「俺は14歳で終わる!!」「俺は14歳で終わる!!」と四六時中考え続ける立派な中学2年生に成長した劇画狼少年でしたが、連載終盤の時期にあっけなく15歳の誕生日を迎えた際の「スコンと抜けた感」「自分の現実がフィクションに勝った感」(この感覚を的確に表す日本語はまだありません)は今でも自分の“芯”の1つです。
今の自分から、15歳の自分におすすめしたいマンガはありますか?
遠崎史朗原作、中島徳博作画「アストロ球団」(太田出版)
高校時代、現実を突き付けられることを恐れてチャレンジすることから逃げた苦い思い出が1つある。もし15歳の頃に「アストロ球団」を読んでいれば、常軌を逸した特訓とガッツでぶち当たることができたのではないだろうか。
自分は伊集院大門のように、陰腹を切って打席に立ち、そしてホームランを打つことができる人間になれているか。
いい恰好するばかりでは誤魔化せない局面で、いつもそういうことを考えている。
劇画狼(ゲキガウルフ)
特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロのマンガ家が商業誌に掲載したが単行本化されなかった未収録作品の書籍化や書評、原画展企画、イベント司会などを手がけている。
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おおかみ書房/劇画狼 @gekigavvolf
【書いてます】
『アストロ球団』に描かれているのは、ただの前時代的な根性論ではない。タガが外れた決断力と実践力に新しいも古いもない。そういうことを無限にやっています。 https://t.co/TjmkTKHM9b