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Ken Yokoyama「ステージを降りたくない」8年ぶり武道館で再会を約束

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Ken Yokoyama(Photo by JON)

Ken Yokoyama(Photo by JON)

Ken Yokoyamaが3月10日に東京・日本武道館にてライブイベント「DEAD AT BUDOKAN RETURNS」を開催した。

この公演は全国ツアー「Sentimental Trash Tour」の最終公演として行われたもの。Ken Yokoyamaにとって約8年2カ月ぶりの日本武道館公演となった。

公演にはゲストとしてSLANGが出演。彼らはハードコアナンバーを次々と投下し、場内に轟音を響かせていく。MCではKO(Vo)が「今日はありがとうございます。おめでとうございます」とKen Yokoyamaへ言葉を送り、メッセージ性の強い「何もしないお前に何がわかる 何もしないお前の何が変わる」でバンド初の日本武道館のステージをあとにした。

いよいよKen Yokoyamaのアクトへ。大歓声の中、Jun Gray(B)、Hidenori Minami(G)、Matchan(Dr)に続き、妖怪ウォッチのキャラクター・コマさんをイメージした唐草模様の風呂敷を首に巻いた横山健(Vo, G)が登場する。彼は「Ken Band、8年ぶりに戻ってきたわ!」と笑顔を見せ、バンドは最新アルバム「Sentimental Trash」の収録曲「Maybe Maybe」からライブをスタートさせた。この日のアリーナエリアはオールスタンディング。ライブハウスさながらのフロアと化したアリーナエリアでは、オーディエンスがさっそくモッシュやクラウドサーフを繰り返し、大盛り上がりとなった。曲が終わると横山はギターを床に垂直に立て、抱きかかえるようにして「Save Us」のイントロを弾き始める。するとフロアからは盛大なシンガロングが発生。彼は大きな日の丸の旗を肩に掛けると、自身のマイクをフロアに向け、さらにオーディエンスのシンガロングを煽った。

その後、ダークなメロディが印象的な「Mama, Let Me Come Home」、ポップな「Dream Of You」、オーディエンスがツイストを踊ったロックンロールチューン「I Don't Care」など、多彩な「Sentimental Trash」の収録曲を展開していく彼ら。横山は曲によってギターを持ち替え、床に座り込んでプレイしたり、華麗な速弾きを披露したりと、愛おしそうに楽曲を演奏していった。

MCで横山は、コマさんの被り物をしているファンの姿を見つけてうれしそうに「もんげー!」とはしゃいだかと思えば、8年ぶりに日本武道館のステージに立ったことについて「8年間ずっと待ってました!」と感慨深そうに語る。また「This Is Your Land」の演奏前には、「1つ言っておきたいんだけど、こうやって日の丸掲げてるからって俺たち右翼じゃねえから。『脱原発』って言ってるからって左翼じゃねえからな。俺はそんな簡単に割り切られたくねえよ。そうだろう?」と思いを吐露。そして「次は土地にこだわった曲やるわ。この場所でやるから意味があるんだよ」と言って「This Is Your Land」を演奏し始めると、フロアにはいくつもの日の丸の旗が揺れた。

「今の横山健そのものを表した」という「Yellow Trash Blues」をゆったりとプレイしたあと、横山はメンバー紹介へ。前回の武道館公演ではバンドはメンバーチェンジ前だったため、横山以外のメンバーは今回が初めての武道館のステージ。横山が現在のメンバーを武道館に連れて来たかったと言うと、Junは「51歳、初武道館。こうやって言うと演歌歌手みたいだね(笑)」と冗談を交えつつも感激した様子を見せた。

また中盤にはファンからのリクエストを受け付けるコーナーも。彼はフロアから飛び交う声を拾い「Running On The Winding Road」と、Hi-STANDARDの「Stay Gold」をプレイした。「Stay Gold」の演奏後には「Hi-STANDARDは最近ライブをやったりスタジオに入ったりしてるから別にKen Bandでやる必要はないのかもしれないけどこうやって武道館で鳴らす『Stay Gold』っていうのは初めてだと思うんだよな。ありがとう。やれてよかったよ」と感謝を述べた。そしてフィルタのかかったマイクで「自分がキャリアを更新してる証、という曲をやるわ」と前置きして、ギターをかき鳴らし「I Won't Turn Off My Radio」へ。横山の弾き語りから成る最初のブロックが終わり、バンドサウンドが加わると同時に、ステージ後方に掲げられていたフラッグが落ち、ステージの後ろには大きなビジョンが。メンバーの姿を大きく映し出した。曲の後半には「Radio! Radio!」というシンガロングが幾度も場内に響き渡り、感動的なムードが広がった。

終盤のMCでは横山が「2016年になっても自分自身が音楽をやれてるなんて思ってなかったわ」と言う。またゲスト出演したSLANGについては「KOちゃんもここに立たせたかったんだよ、俺」と話し始め、「あの人さ、震災があってすごく動いて、動き方を俺に教えてくれて、教わったおかげで俺ができることがいっぱいあったんだわ。そういう人がお客さんの中にもいっぱいいると思うんだわ。だから今日は(SLANGが)出るべきだと思った」と、ゲストとして招いた理由を説明した。さらに「まだまだこの倍くらいやりたいけど、もうちょっとでお別れの時間だわ。また(日本武道館で)やりたいなあ。曲やらなきゃと思うんだけど……降りたくないんだよ、ステージ」と名残惜しい気持ちを明かす場面もあった。

横山はステージにしゃがみこむと「明日でちょうどあの日から5年じゃねえか。たまたまなんだけど、なんかストーリーがあるんじゃないかって気になってくるよな」と口を開く。しかし浮かない表情を浮かべると「東北の人から何通もメールもらってさ、『3月11日が近いから3月10日は行けないよ』って。俺らは明日で5年経つから、その1日前の今日やるってことになんとなくストーリー感じてたけど、それどころじゃねえ人ってたくさんいたんだわ。ちょっと考えてなかったなと思って……」と言葉を詰まらせながら続ける。そして「もし、東北に友達がいたら……」と言うもすぐに「やっぱいいや、自分で言うわ」と前を向き、“震災後のパンクスの歌”として「Ricky Punks III」を力強くプレイした。

横山が「あと1曲やって帰るわ。また武道館で会おうぜ!」とファンに約束してから始まったラストナンバー「Believer」ではフロアからこの日一番の盛大なシンガロングが発生。横山は自身のマイクだけでなく、Jun、Minamiのマイクも次々とフロアに向け、バンドの演奏に合わせたファンの合唱にうれしそうに耳を傾けていた。

アンコールを受け、意気揚々と再びステージに姿を表した4人。「How Many More Times」を演奏すると「子連れの人たち、もし機会があったら子供たちに『健、今日こんなこと歌ってたよ』って教えてくれるかな。そうやって日本のロックは続いていくズラ!」と熱弁し、Ken Bandのテーマソングである「Let The Beat Carry On」を投下し、ステージを去った。そして「そんなに呼ばれてないけど来ちゃった(笑)」とみたび登場した横山。彼は「最高だな」とこぼすと、「最後はハッピーにスカダンスをして帰ってくれ!」と言い、バンドはアルバムのラストナンバー「Pressure Drop」をプレイ。横山の言葉通り、明るくなった会場でファンはスカダンスを踊り、ハッピーなムードの中、Ken Yokoyamaの8年ぶりの日本武道館公演は締めくくられた。

Ken Yokoyama「DEAD AT BUDOKAN RETURNS」
2016年3月10日 日本武道館 セットリスト

SLANG

01. 十二月ノ業
02. 黒煙の輪郭
03. 焼却炉
04. Scum
05. Black rain
06. SWINDLE
07. 何もしないお前に何がわかる 何もしないお前の何が変わる

Ken Yokoyama

01. Maybe Maybe
02. Save Us
03. Mama, Let Me Come Home
04. Last Train Home
05. Dream Of You
06. I Don't Care
07. Your Safe Rock
08. This Is Your Land
09. Yellow Trash Blues
10. Running On The Winding Road
11. Stay Gold
12. I Won't Turn Off My Radio
13. Ten Years From Now
14. Cherry Blossoms
15. We Are Fuckin' One
16. I Go Alone Again
17. A Beautiful Song
18. WALK
19. Punk Rock Dream
20. Ricky Punks III
21. Believer
<アンコール>
22. How Many More Times
23. Let The Beat Carry On
<ダブルアンコール>
24. Pressure Drop

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