SMA“顧問豊作”、YO-KINGづくしの初日公演

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9月20、21日、東京・日比谷野外大音楽堂でイベント「SMA 40th YO-KING奥田民生 presents “顧問豊作”」が行われた。

「SMA 40th YO-KING 奥田民生 presents “顧問豊作”YO-KING day『キングって、エライよね』」での真心ブラザーズ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)。

「SMA 40th YO-KING 奥田民生 presents “顧問豊作”YO-KING day『キングって、エライよね』」での真心ブラザーズ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)。

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「顧問豊作」はソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)創立40周年記念企画の一環として行われたライブイベント。初日9月20日にはSMAの顧問を務めるYO-KINGがプロデュースするステージが、2日目9月21日には同社名誉顧問の奥田民生プロデュースのステージが繰り広げられた。ここでは20日の「YO-KING day『キングって、エライよね』」の模様をレポートする。

この日の東京は降ったりやんだりが続くあいにくの空模様。しかし、吉田拓郎「たどりついたらいつも雨降り」、ザ・タイガース「淋しい雨」、「駅に走る道は雨で」から始まる原田真二「てぃーんず ぶるーす」など、その天気を象徴するかのような開場SEが鳴り響く野音には実に3199人の観客が集まった。

絶景クジラ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

絶景クジラ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

「キングって、エライよね」は真心ブラザーズをはじめ、YO-KINGが参加するバンド、ユニットが続々と登場するショーケース的イベント。SMAのオーディション「HARE NOVA」を勝ち上がった大阪のガールズバンド・絶景クジラによるオープニングアクトののち、スーツに蝶ネクタイ姿でステージに現れたYO-KINGは「あんまり期待しないこと」「YO-KINGのカッコいいとことか、楽しそうなところを積極的に見つけること」と、まずはイベント観覧時の諸注意をゆるゆるとアナウンス。3199人の笑いを誘って一旦舞台袖に引っ込むも、その直後にはVillage People「Y.M.C.A.」に乗せて、Oしゃんこと奥田民生とともにステージに舞い戻り、地球三兄弟のステージをスタートさせる。

THE EARTH(地球三兄弟)(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

THE EARTH(地球三兄弟)(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

彼らのライブ1曲目は西城秀樹「傷だらけのローラ」のカバー。グループ結成時にROLLYから借り受けたまま、借りパク状態になっているというド派手なピンクのジャンプスーツ姿のTHE EARTHこと桜井秀俊が、スパ de SKYことYO-KINGのギターと、Oしゃんのベース、サポートメンバーのドラムとキーボードを背に、PAスタッフに“深いエコー”を要求しながら、この曲を歌い上げると、3人は担当楽器をくるくると入れ替えながらライブを構成した。ギターを手にしたTHE EARTHを交えてデビューシングル「呼びにきたよ」をパフォーマンスしたかと思えば、「アースの休日」ではサポートドラマー伊藤大地が口笛を、そしてドラムをスパ de SKYが担当し、THE EARTHはバイオリンを弾きつつ歌う“バイオリン弾き語り”的なスタイルを披露。その後もOしゃんがなぜか「フォーエバー、THE EARTH」と連呼しながらドラム&ボーカルを、スパ de SKYがベースを務め「すっごい汗」をパフォーマンスするなど、どこかふわっとしながらも3人のマルチプレイヤーぶりを堪能できるステージを展開した。

武田梨奈(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

武田梨奈(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

幕間、Tシャツ姿のYO-KINGとともにステージに現れたのは、SMA初のグループアイドル・アイドルネッサンスの7人。彼女たちに「(真心ブラザーズの)『どか~ん』をカバーしてるらしいね」と水を向けたYO-KINGは「あの人に気合いを入れてもらおうか」と、頭突きで瓦を叩き割るクレディセゾンのCM映像とともに、女優・武田梨奈を呼び込む。

左からアイドルネッサンス、YO-KING(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)。

左からアイドルネッサンス、YO-KING(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)。[拡大]

CMと同じスタイリングで現れた武田が無言のまま、やはりCM同様、何枚もの瓦を頭突きで叩き割ると、アイドルネッサンスは驚きながらも武田に注入された気合いを武器に本家YO-KINGを前に「どか~ん」をカバー。続けてデビューシングル曲にしてBase Ball Bearのカバー曲「17才」をかわいらしく歌い上げて野音の舞台をあとにした。

O.P.KING(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

O.P.KING(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

オープニングSE、The Beatles「Come Together」を背に登場したのは、奥田(G, Vo)、YO-KING(G, Vo)、大木温之(B, Vo / Theピーズ)、佐藤シンイチロウ(Dr, Vo / Theピーズ, the pillows)からなるバンド、O.P.KINGだ。

4人がO.P.KING名義でのライブを行うのは約11年ぶり。その復活のステージの幕を「O.P.KINGのテーマ」で開けた彼らは、大木による「おっさんばっかり」「素晴らしい季節になりました」という、つかみどころのない、しかしなぜか心に引っかかるMCを添えつつ、2003年のセルフタイトルアルバムのトラックリスト通りにセットリストを構成する。ライブ序盤には「ミサイル畑で雇われて」「Rock'N'Rollが必要だ」といったオリジナルナンバーを連発し、後半にはリトル・リチャード「RIP IT UP」「Ready Teddy」、チャン・ロメロ「Hippy Hippy Shake」などオールディーズのロックンロールナンバーをカバー。“再現ライブ”という形で自身の復活の舞台に華を添えた。

AOEQ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

AOEQ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

4番手に登場したのは、YO-KINGと藤原ヒロシのアコースティックユニット、AOEQ。YO-KINGとともにステージ中央のスツールに腰掛けた藤原は「こんなコミックバンドの祭典だとは思ってなかったよ」と笑いを誘ったのち、西岡恭蔵「プカプカ」のカバーを織り交ぜた4曲でそのメロウな歌声とサムピックによる確かなギタープレイを披露。雨もすっかり上がり、虫の音も響き始めた野音の3199人を魅了した。

「キングって、エライよね」のトリを務めるのは、もちろん真心ブラザーズ。「スタートレック」のテーマに乗せてサポートバンドMB'sの面々8人を引き連れてステージに現れたYO-KINGと桜井は、ごあいさつとばかりに「新しい夜明け」「空にまいあがれ」「JUMP」というキラーチューン3連発で自身のライブの幕を切って落とす。

真心ブラザーズ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

真心ブラザーズ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

これに沸き上がる3199人の歓声を前にしたYO-KINGは「いや、これ気持ちいいね」と微笑。続けて雨が止んだことに触れ「(濡らさずに済むため)桜井さんが高いほうのギターを弾いてます」と笑いを誘えば、その桜井はこの日のMB'sのキーボードを奥野真哉が務めていることに言及。コーラスにうつみようこがいることから「(ステージ上の)20%がソウル・フラワー(・ユニオン関係者)」「そのうち中川(敬)さんが歌うようになるんじゃないかな?」と、これまたノンキなMCを繰り広げた。

真心ブラザーズ(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

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最新シングルナンバー「I'M SO GREAT!」を終えると、YO-KINGは「次は『どか~ん』をやるつもりなんだけど」とひと言。ステージに改めて武田梨奈を呼び寄せると「さっきはひと言もしゃべるなって言われて」と笑う彼女とMCを繰り広げ、彼女の正拳突きによる瓦割り演舞ののち、“武田とコラボレーション”して「どか~ん」をプレイするも、なぜか奧野が暴走。ショルダーキーボードを片手にステージ最前列で歌うYO-KINGを追い回す。

直後のMCでYO-KINGから「反省会をしよう!」「キーボード、奧野真哉!」と名指しで反省を促され、昔のよしみか、うつみの「すみませんでした!」との謝罪を誘った奧野だが「ENDLESS SUMMER NUDE」ではテクニカルなプレイを披露。続く「EVERYBODY SINGIN LOVE SONG」では、今度はMB'sのホーンセクション、マウンテンホーンズがステージ最前列へと繰り出し、ダンサブルなこの曲を盛り上げてみせる。そして「拝啓、ジョン・レノン」では激しく明滅するストロボの中、桜井がエモーショナルなインプロビゼーションを野音の客席へと叩きつけた。

YO-KING(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

YO-KING(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)[拡大]

「RELAX~OPEN~ENJOY」のアウトロではステージ奧の巨大スクリーンに、6月に逝去したMB'sのキーボーディスト、小川文明が出演した真心のライブ映像が流れ出し、ステージのプレイに小川のオルガンソロが重なり合う。これに呼応するかのようにYO-KINGが何度も空を指さしながら見上げる感動的な光景が繰り広げられたところで、ライブ本編は終了。大歓声の中、10人はステージをあとにした。

それでも鳴り止まないアンコールに応えたのは、この日のホスト、YO-KING。「デビュー25年ですが、忘れられないライブがまた1つ増えました」と語った彼はアコースティックギターを手に「HEY! みんな元気かい?」をプレイ。3199人のハンドクラップが鳴り響く中、この曲を歌い上げて「キングって、エライよね」の幕を閉じた。

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SMA 40th YO-KING奥田民生 presents “顧問豊作”
YO-KING day「キングって、エライよね」
2014年9月20日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

絶景クジラ

01. サヨナラ空
02. 春紫苑

地球三兄弟

01. 傷だらけのローラ
02. 呼びにきたよ
03. アースより愛を込めて
04. 絵
05. アースの休日
06. うかんでくる
07. すっごい汗

アイドルネッサンス

01. どか~ん
02. 17才

O.P.KING

01. O.P.KINGのテーマ
02. ミサイル畑で雇われて
03. Rock'N'Rollが必要だ
04. OVER
05. BAD BOY
06. RIP IT UP~Ready Teddy
07. Hippy Hippy Shake
08. 通り過ぎる夏

AOEQ

01. shabon out
02. プカプカ
03. 消えない虹
04. fun days

真心ブラザーズ

01. 新しい夜明け
02. 空にまいあがれ
03. JUMP
04. I'M SO GREAT!
05. どか~ん
06. ENDLESS SUMMER NUDE
07. EVERYBODY SINGIN LOVE SONG
08. 拝啓、ジョン・レノン
09. RELAX~OPEN~ENJOY
<アンコール>
10. HEY! みんな元気かい?

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※記事初出時、一部楽曲の表記に脱字がありました。訂正してお詫びいたします。

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