Nicori Light Tours×大阪音楽大学|ロックバンドと学生がコラボで楽曲制作、異色プロジェクトの経緯を公開インタビュー

大阪音楽大学が興味深いプロジェクトを実施している。そのプロジェクトの内容は、ロックバンドNicori Light Toursを特別講師に招き、バンドと生徒たちが複数回にわたるディスカッションを通じて、ともに1つの楽曲を作り上げていくというもの。制作総指揮を執るのは、ミュージックビジネス専攻特任教授の原一博氏だ。ミュージックビジネス専攻とは、音楽ビジネスに関する教養や知識を身につけ、将来アーティストマネジメントやコンサートプロモーター、レコード会社のA&Rなどを目指す学生のための専攻であり、その中で、原ゼミは楽曲制作などのクリエイティブの研究を行っている。

音楽ナタリーでは、このプロジェクトがどのように立ち上げられ、どのように進行していったのか、Nicori Light Toursと原特任教授に話を聞いた。なお、このインタビューも授業の一環として公開取材というスタイルで行われた。

取材・文 / 石原かんな撮影 / 井原完祐

Nicori Light Tours×大阪音楽大学プロジェクトとは?

Nicori Light Toursが所属していた音楽事務所で、以前、原一博特任教授が音楽権利の仕事を担当しており、これが両者の出会いのきっかけに。原は、彼らの音楽性はもちろん、メンバー1人ひとりの人柄にも魅力を感じ、いつか一緒に何かできないかと考えていたという。2025年から大阪音楽大学で教壇に立ち始めた原は、大学教育で重視される課題解決型学習・PBL(Project Based Learning)を進めるにあたって、学生とNicori Light Toursがともに楽曲制作に取り組むというアイデアを思いつく。バンドが大阪出身であること、そして大阪では首都圏に比べ、学生がプロのアーティストや音楽関係者と接する機会が少ないことも、このプロジェクトを後押しした要因だった。「学生がアーティストと直接関わり、そして制作に携わることで大きな刺激や新たな発見が生まれるはず」。そんな思いから立ち上げられたのが、原ゼミ3・4年生によるNicori Light Tours×大阪音楽大学プロジェクトだ。

講師

Nicori Light Tours

Nicori Light Tours

Nicori Light Tours(ニコリライトツアーズ)

Janne Da Arcの元メンバーであるyou(G)、kiyo(Key)の2人を中心に、ɑyumu(Vo)を迎えて2021年に結成。ツアーや音源制作を重ね、7カ月連続で配信リリースを行うなど精力的に活動している。ロックの熱量と繊細さを併せ持つ楽曲が魅力で、観客との一体感を大切にした迫力あるライブはファンからの支持も厚い。2月7日に大阪・OSAKA MUSE、21日に東京・Veats Shibuyaにてワンマンライブを開催する。

原一博特任教授

原一博特任教授

原一博(ハラカズヒロ)

大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻特任教授。1970年、大阪生まれ。関西学院大学卒業後、「紙のプロレス」編集部(株式会社ダブルクロス)に入社。その後、テレビ / 音楽業界へ転身し、関西テレビの音楽番組「ミュージャック」やライブイベント「LiveJack」のプロデュースを手がける。一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻博士前期課程を修了。現在は音楽出版社に勤務する傍ら、大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻の特任教授として教壇に立つ。

Nicori Light Tours公開インタビュー
Nicori Light Tours公開インタビューの様子。

Nicori Light Tours公開インタビューの様子。

コラボプロジェクト立ち上げの経緯

──今回のプロジェクトの話を最初に聞いたとき、どう思いましたか?

kiyo(Key) 僕たちは普段、東京にいるのですが、地元の大阪を盛り上げたいという思いはずっとありました。Janne Da Arcの頃も日本武道館より大阪城ホールを目標にしていたぐらいで。だから大阪でこうした機会をいただけるのは本当にありがたいし、素直にめちゃくちゃうれしかったですね。

ɑyumu(Vo) 自分のことを若いほうだと思っていたのですが、気付けば33歳で。10~20代の人と関わる機会って意外と少ないので、いい刺激になりそうだなと。

you(G) 専門学校でギターを学生さんに教えるような機会はあったんですが、楽曲をゼロから一緒に作る経験はなくて。とにかくワクワクしましたね。

Nicori Light Tours

Nicori Light Tours

──具体的にどのようにプロジェクトをスタートされたんですか?

kiyo まず学生の皆さんに10人前後のグループに分かれてもらい、それぞれ僕らと直接話すところから始めました。今の学生さんの間でどんな音楽やSNSコンテンツが流行っているかなど、いろいろ教えてもらいました。

ɑyumu 僕は教えてもらうことばかりで。TikTokで流行っていたM!LKの「ビジュイイじゃん」とか(笑)。

原一博特任教授 ɑyumuくんなんて、僕たちから見たら、十分若いのに。

原一博特任教授

原一博特任教授

you 本当ですよ。僕なんて、学生さんたちに教えてもらったもので、いまいちピンと来ないものが多くて(笑)。それはさておき、みんなが将来どういう道を考えているのかとか、業界のアルバイトをしている人もいましたし、話を聞くだけでも新鮮でした。僕たちはミュージシャンを目指してがんばってきましたが、みんなにも音楽との関わり方について、それぞれの夢があって。キラキラしているなあって。

 youさん、「マネージャーを目指すのはやめとき」って言ってませんでした?(笑)

you 違いますよ。「ちょっと大変です」って言っただけです(笑)。

 いずれにしても、大阪の学生がアーティストや音楽業界の関係者と話をする機会はそう多くありませんので、楽曲制作以外の部分でも意義深い時間になったと思います。