映画ナタリー

橋口亮輔「また映画を作ろうという励みに」、毎日映画コンクール大賞獲得を喜ぶ

444

第70回毎日映画コンクール表彰式の様子。左から橋口亮輔、塚本晋也。

第70回毎日映画コンクール表彰式の様子。左から橋口亮輔、塚本晋也。

本日2月16日、第70回毎日映画コンクールの表彰式が神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールにて行われ、日本映画大賞に輝いた「恋人たち」の監督・橋口亮輔をはじめ、塚本晋也原田眞人原恵一らが喜びを語った。

アニメーション映画賞を受賞した「百日紅~Miss HOKUSAI~」の監督・原は「巨匠の監督やクラシックとしての評価が確定したような名作、名優が数多く受賞している賞に名を連ねることができるのはありがたい。この作品に力を注いでくれたスタッフやキャストに感謝しています」と挨拶し、「原作者の杉浦日向子さんは一度も会うことなく亡くなられてしまいましたが、彼女が20代のときに描いた素晴らしい作品を映画化できたことをうれしく誇らしく思っています。杉浦さんは異界へ軽々と行ってしまうような不思議な方。今日もきっとどこかで見てくれていると思います」とコメント。

駆込み女と駆出し男」で脚本賞を獲得した原田は「僕が中学生の頃に初めて脚本を最後まで読み通して、すごいなと思ったのは、今回特別賞を受賞された橋本忍さんの『切腹』でした。その橋本さんと同じタイミングで受賞できて非常にうれしいです」と笑顔に。さらに原田は「樹木希林さんにも感謝しなければならない」と前置きしながら「この作品では樹木さんに柏屋源兵衛という役をやっていただいたんですが、彼女は『こんなに長いセリフ、私嫌だわ』って言っていろんな人に分け与えていったんですよ。それが映画にとってプラスになったと思います」と語り、会場の笑いを誘う。

監督・主演・脚本など1人6役を務めた「野火」で監督賞を受賞した塚本は「いやあ、手にした瞬間に緊張があふれてきました」とトロフィーをじっと見つめる。「野火」の映画化をかねてから望んでいたといい、「立派な監督になったらいつか作ろうと思っていましたが、3年くらい前に戦争へ近付いていく危機感と恐怖を感じて無理やり作りました。戦争の痛みを知っていらっしゃる方が減ってきましたが、これからも上映を続けていきたいと思います」と真摯に語った。

最後に、7年ぶりのオリジナル長編監督作「恋人たち」が日本映画大賞に輝いた橋口が、篠原篤ら同作の出演者たちに囲まれて壇上に立つ。橋口は「この会場に着いたときに、係の人に『整理券を取って並んでください』と言われました(笑)」と茶目っ気たっぷりに挨拶。そして「『ぐるりのこと。』では日本映画優秀賞をいただきました。表彰式のときに大賞を獲った『おくりびと』の滝田洋二郎監督に舞台袖で『すみません、大賞を獲っちゃって』と声をかけられて、内心とても悔しかったです!」と続け、「映画人の誰もが憧れる賞を受賞できて本当にうれしい。低予算で無名の俳優が8割を占めているこの映画が、こうして作品賞を獲るなんて夢にも思いませんでした。また映画を作ろうという励みになります」と受賞を喜んだ。

さらに橋口は「胸の中にいろいろな思いを抱えて1人で耐えている人は、僕以外にもいっぱいいるに違いない。その人に観ていただきたいと思って作りました」と本作に込めた思いを明かす。またラストシーンに登場する青空については「生きていかなきゃならないですから。嘘でもいいから笑って、『よし!』と言って生きる。ささやかな希望ですが、そうやって日々をつないでいけたら」と言及した。

そのほか表彰式には、日本映画優秀賞に輝いた「岸辺の旅」のプロデューサー松田広子、撮影賞を獲得した「ソロモンの偽証」2部作の藤澤順一、美術賞を受賞した「日本のいちばん長い日」の原田哲男らが出席した。受賞結果一覧は下記の通り。

※第70回毎日映画コンクール
オープニングセレモニーのレポートはこちらから

※第70回毎日映画コンクール
表彰式のレポート第1弾はこちらから

第70回毎日映画コンクール 受賞結果一覧

日本映画大賞

恋人たち

日本映画優秀賞

「岸辺の旅」

外国映画ベストワン賞

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

監督賞

塚本晋也野火

脚本賞

原田眞人駆込み女と駆出し男

男優主演賞

塚本晋也「野火」

女優主演賞

綾瀬はるか「海街diary」

男優助演賞

加藤健一「母と暮せば」

女優助演賞

長澤まさみ「海街diary」

スポニチグランプリ新人賞

野田洋次郎「トイレのピエタ」
藤野涼子「ソロモンの偽証 前篇・事件」「ソロモンの偽証 後篇・裁判」

田中絹代賞

桃井かおり

撮影賞

藤澤順一「ソロモンの偽証 前篇・事件」「ソロモンの偽証 後篇・裁判」

美術賞

原田哲男「日本のいちばん長い日」

音楽賞

坂本龍一「母と暮せば」

録音賞

小川武「恋人たち」

ドキュメンタリー映画賞

「沖縄 うりずんの雨」

大藤信郎賞

「水準原点」

TSUTAYA映画ファン賞 日本映画部門

「幕が上がる」

TSUTAYA映画ファン賞 外国映画部門

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」

特別賞

櫛桁一則(「シネマリーン」支配人)
橋本忍(脚本家)

映画ナタリーをフォロー