今回のトークショーは、実写映画「
撮影現場で会って以来、2度目の対面となった沙村と三池。まずは沙村が太秦の撮影現場に訪れた際の話題からトークはスタートする。
またお互いの作品についての印象について問われると、沙村は「俺、その辺のOLよりも映画観てないんで、おこがましいんですけど」と前置きし、「三池監督の作品ってどれも必ずインパクトの強いシーンが出てくる。例え100点満点の映画じゃなくても人に話したくなる作品が多い」と語る。それに対し三池は、「全体の出来より瞬間を大切にという感じは今でもある。その瞬間の連続になるといいなとは思ってますけど」と返し、逆に沙村の印象については、映画監督が集団で作品を作るのに対し、マンガ家はすべて1人で表現できる点を上げ「羨ましい。本当は誰しもそういうものになりたい思う」と語った。すると沙村は「映画は全体像が見えてから作業に入ると思うんですけど、マンガは当初予定していた展開じゃないほうに話が転がっていったり、予期せぬキャラが人気出たりする」と、長期連載の苦労を語る。20年続いた「無限の住人」についても、「まさか20年も描き続けることになるとは思わなかった。なんで不死身にしちゃったんだろう」と、心境を述べた。
好きなキャラクターについての質問では、沙村は乙橘槇絵を、三池は尸良の名を挙げる。会場のモニターに実写映画の映像が流されると、
一方、尸良の名前を上げた三池だったが「尸良のシーンは、撮った半分しか映画になってない」と非道で残虐な尸良ゆえに、使えないシーンが多かったことを残念がる。しかし海外での公開の際には、尸良の過激なシーンも含まれてることを明かし、「尸良をしっかり観たい方は海外バージョンを見てください。きっと楽しいですよ。いろんな物が飛んできますから。DVDにもなると思います」と語った。また映画では描けなかったが、見せたかったシーンがあるかと問われると、「槇絵についてもっと描きたかった。父親と槇絵が決着をつける場面は見せたかった」と話した。
続く「映画を観て惚れ直した俳優は?」という問いに、沙村は木村と海老蔵の名前を挙げる。閑馬役を海老蔵が演じることには、少し違和感があったと語る沙村。しかし「海老蔵さんって眼力が強いじゃないですか。閑馬って俺の中でゾンビみたいなイメージなので、こんなに眼力が強い人で大丈夫かなと思ったんですけど、万次と閑馬のシーンを現場で見たら、本当に死者の息づかいみたいになっていて」と熱く語る。さらに木村については「もう本当に万次にしか見えなくて。次、万次を描いたら木村さんの顔に似ちゃうかもしれない(笑)」とコメント。さらに「木村さんってよく“木村拓哉は何をやっても木村拓哉”って言う人いるけど、スターってそういうもんなんですよね」と続け、「万次のカッコいいところと無様で汚いところの両方ができる素晴らしい役者さん」と、木村の万次に大満足の様子だった。
木村とは初めて役者と監督として仕事をしたという三池も、木村を絶賛。役との向き合い方について「誰よりも真面目に役者として万次に取り組む。滑稽なくらい真剣」と話す。木村の演技への取り組みは、撮影現場でもほかの役者に影響を与えたと話し、特に今回初の時代劇と立ち回りに挑んだ天津影久役の福士蒼汰は、撮影中、木村に影響を受けて成長していくのを感じたという。「最初はおっかなびっくりでやっていたけど、木村拓哉と芝居をしていく中で、自分が持っているもの以上のものは出ないんだって気付く。でも今の自分でも何かできるはずだ!っていうエネルギーが、木村によって引き出されて、映画の後半になると、初めてとは思えない動きになっていた」と振り返った。
さらに三池が沙村に「不死身のまま生き残って、現在の万次が何をしてるのかなと。何か一瞬、1コマでもいいので、今の万次がこんな世界でこんなことやってるっていうのを見たい」と投げかけると、沙村は「そう言われると、短編とか続編を描いてみたくなりますね」と発言し、会場の観客たちをどよめかせていた。最後は沙村が映画をアピールし、トークショーは終了。映画「無限の住人」は全国の劇場で公開されている。
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