「魔法少女ダンデライオン」2.5次元俳優・植田圭輔、影の怪人・シェイドを表現!作者・水帆かえるも大絶賛

水帆かえるがSho-Comi(小学館)で連載中の「魔法少女ダンデライオン」は、敵であるはずの怪人と魔法少女がバディとなって戦うダークファンタジー。「次にくるマンガ大賞2025」にノミネートされ、「うしおととら」「からくりサーカス」で知られる藤田和日郎も称賛する注目作だ。

本作の3巻発売に合わせ、コミックナタリーではメインキャラクターのシェイドをテーマに撮影を敢行。数々の舞台で活躍する俳優・植田圭輔に、切ない過去を持つ影の怪人を表現してもらった。その後行われたインタビューでは、撮影や作品の感想に加え、正義と悪の捉え方、今年の意外な出会いについても聞いている。

取材・文 / ちゃんめいスタイリング / 中山寛己ヘアメイク / 鈴木りさ撮影 / 宇佐美亮

「魔法少女ダンデライオン」

高校生の御花見たんぽぽには、誰にも言えない秘密の友人がいる。その友人とは、影の怪人・シェイド。子供の頃からずっと自分を見守ってくれているシェイドと、このまま穏やかな日々を過ごせると思っていたが、たんぽぽが魔法少女にスカウトされ……。本来は敵であるはずの怪人と魔法少女。しかし今、シェイドとたんぽぽはバディとなって共通の相手へと立ち向かう。

植田圭輔が影の怪人・シェイドを表現
闇を背負いながらも、そばには小さな光が──

ビジュアルだけでなく、声でもシェイドの魅力を

作者・水帆かえるによれば、シェイドはやや低くハスキーな声質のキャラクター。甘みを帯びながらハスキーな声を持つ植田が、作品のPVでもシェイドに命を吹き込んだ。

植田圭輔インタビュー

2.5次元作品とは少し違い、自分らしさも混ざる感覚

──怪人・シェイドをイメージした衣装をまとっての撮影。振り返ってみていかがですか?

ライティングや衣装など、すべてが作品の世界観に沿っていて、まさにシェイドになりきるために用意していただいたような空間でした。ただ、普段の2.5次元作品のようにキャラクターの格好を完全に再現して演じるのとは少し違って、いい意味で自分の要素を残しながらの撮影だったので、自分らしさも自然と混ざっていくような感覚がありました。すごくクリエイティブで、素敵な時間だったなと思います。

──シェイドらしさを出すために、撮影時に大切にしていたポイントはありますか?

指の形ですね。シェイドは影の怪人なので、普通に手を下ろすのではなく、反対の手を少し添えたり、指先をわずかに曲げたりして、影らしいニュアンスを出すことを意識していました。

植田圭輔

植田圭輔

──植田さんが体育座りをされた際には、撮影に立ち会われていた作者の水帆かえる先生も「シェイドが空中でやっているポーズだ!」と絶賛されていましたね。

シェイドの印象的なポージングなど、原作を読み込んでチェックしてはいたんですが、特別に「真似しよう」と思っていたわけではないんです。あの体育座りの形も、図らずも自然とそうなっただけで……。でも、きっとどこかでシェイドっぽい座り方というものが、自分の中に残っていたんだと思います。無意識のうちに、それが出たのかもしれませんね。

──水帆先生いわく「笑ったときの口の形がすごく素敵で、ニヒルに上がる感じの笑い方がシェイドとも通じる」とのことです。

実は、昔は自分の笑った口があまり好きじゃなかったんですよ。この仕事を始めるまでは、笑ったときの口の形がみんなと違う気がしていて。子供の頃は、よく口を手で隠して笑っていたくらいです。だからこそ、そう言っていただけて本当にうれしいですね。

植田圭輔

植田圭輔

最初から圧倒される絵と世界観

──ここからは「魔法少女ダンデライオン」の魅力をお伺いしていければと思います。本作を読まれてどんな印象を抱きましたか?

もう、とにかく「絵がすごい!」と思いました。仕事柄、いろいろなマンガ作品を読ませていただくのですが、中には巻を重ねるごとにこなれ感や馴染みが出て、絵柄が変化していく作品も多い印象です。ですが「魔法少女ダンデライオン」は、最初からすでに絵はもちろん、世界観も完成されていて圧倒されました。

──確かに。とても繊細な筆致で、1話目の変身シーンから一気に引き込まれますよね。

第1話より、たんぽぽが初めて魔法少女に変身するシーン。

第1話より、たんぽぽが初めて魔法少女に変身するシーン。

実は、水帆先生についてもいろいろと調べさせていただいたのですが、とてもお若い方だと知って本当に驚きました。この完成度の高さは、きっと昔から絵をたくさん描かれてきた方なんだろうなと。マンガ家ではない僕が言うのもおこがましいのですが、率直にそう感じました。

──水帆先生は13歳でマンガ家デビューし、現在は大学生活を送りながら本作を連載中なんですよね。

すごすぎる……! あと、王道ど真ん中な展開もとても好きでした。僕自身、普段演じたり、舞台の演出をする際に「王道で何が悪い!」と思っているタイプなんです。だからこそ、この作品の持つまっすぐな熱や芯の部分にすごく共感して、自分の中で響く部分が多かった。作る側としても、演じる側としても、こういう作品が一番燃えるんですよね。