7月13日に兵庫・神戸文化ホール 中ホールにて「
これは、1973年にオープンした神戸文化ホールの開館50周年を記念して行われる公演。神戸文化ホールでは2023年から3年にわたり「開館50周年シリーズ」を実施しており、2023年は「港町讃歌」、2024年は「劇場讃歌」、2025年は「人間讃歌」をテーマにプログラムを展開している。「クレイジーキャメル」は「劇場讃歌」のテーマのもと上演される演目だ。
「クレイジーキャメル」は2012年にフランス・パリにて、パリ日本文化会館の開館15周年記念作品として初演され、その後、国内外で上演が重ねられている大駱駝艦の人気作。作中では、思春期の少年と少女の恋物語を軸に、身体を金色に塗った“金粉”のダンサーたちの踊りがヴィヴァルディの「四季」に載せて展開する。作品について麿は「“舞踏仕立ての金粉ショー”と名乗っておりまして、金粉というものの質感の面白さを観ていただきたいなと。ある時は近未来のロボットのようにも見え、またある時は三十三間堂の仏像たちが立ち上がって踊り出すようにも見えます。内容としては、中学1・2年生の中二病にかかる時期の少年少女の気持ちを踊りにしており、僕は“少年にフラれる少女”役(笑)。大駱駝艦のほかの作品に比べればわかりやすいほうではないかと思います。この作品を、神戸文化ホールの50周年の節目の演目として呼んでいただいたことがとてもうれしい」と話した。
初演から12年経ち、上演を重ねることで変化してきた部分はあるかという記者からの質問には「根本的なものはそんなに変わらないですね」と麿。「ただ“女学生(を演じる麿自身)”も歳をとりましたから、(過去の舞台写真を見ながら)今こんなにこんなに脚が上がるかな?という思いはありますが……(笑)。でも自分の思いと身体とのギャップみたいなところに味わいを感じるというか。身体がシャキシャキと動いていたらわからなかったことが、この歳になってわかる部分があり、“こういう領域もあるんだ”ということが、少しでも伝われば良いかなと。上演を重ねるうえでの違いといえば、そういう変化でしょうね」と語る。さらに麿は「日本の芸事、特にお能や舞では、“老”にフォーカスが当てられる部分がありますよね。“翁”のように、出てくるだけで時間を感じる存在だったり」と続け、「大袈裟になりますけど、生老病死への意識というか、踊りながら最後は死ぬこととか……最近はそういうことへの思いもあります」と心境を語った。
また麿は、神戸・六甲山上で毎年開催されている現代アートの祭典「神戸六甲ミーツ・アート」にて、8月、森山未來(AiRK)キュレーションのオープニングイベントに出演することも決定している。演目は2020年に制作されたフランソワ・シェニョーとの作品「GOLD SHOWER」をベースにした作品となり、新池(トレイルエリア)に展示される川俣正の作品を舞台に上演される。こちらについて麿は「森山未來くんからオファーがありまして、参加することになりました。装置の問題があり、『GOLD SHOWER』をそのまま上演することはできないのですが、『秘儀 - GOLD SHOWER』という別バージョンとして上演します」と説明した。
最後に7・8月と神戸での公演が続くことへの思いを問われると、麿は「神戸に何か、“呼吸”が聴こえてくるような感じがしますね。電脳の社会の中でアートや舞台表現が細々となっているようなところもありますが、神戸文化ホールや『六甲ミーツアート』など、神戸の方々の努力で、身体表現やアート、ダンスなどが神戸に息づいてきている感じがするなと。そこに加担させていただくことがうれしいです」と力強く語った。
大駱駝艦・天賦典式「クレイジーキャメル」
2024年7月13日(土) ※公演終了
兵庫県 神戸文化ホール 中ホール
スタッフ
振鋳(振付)・演出・美術:
出演
麿赤兒 / 村松卓矢 / 田村一行 / 松田篤史 / 塩谷智司 / 小田直哉 / 坂詰健太 / 荒井啓汰 / 高桑晶子 / 鉾久奈緒美 / 藤本梓 / 梁鐘譽 / 齋門由奈 / 谷口舞 / 谷口美咲子 / 石井エリカ
※U-25チケット、高校生以下割引あり。
神戸文化ホール【公式】 @KBH422
【会見レポート】麿赤兒が2カ月連続神戸で踊る、「思いと身体とのギャップに味を感じる今だからこそ」 7月13日(土)、神戸文化ホール https://t.co/3JkXQCGhTS #大駱駝艦 #麿赤兒 https://t.co/B5UvZ0gMR6