BOOM BOOM SATELLITESラストライブで涙、天国の川島道行と最後のセッション

昨年10月に川島道行（Vo, G）が脳腫瘍のため亡くなったBOOM BOOM SATELLITESが、バンドの27年の歴史に幕を下ろすラストライブ「FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE」を6月18日に東京・新木場STUDIO COASTで行った。

3月にベストアルバム「19972016」がリリースされたのに合わせて開催が発表されたこのライブは、ファンとコミュニケーションが取れるライブでバンド活動を締めくくりたいという思いから企画されたもの。川島との別れを惜しむようにしとしとと雨が降る中、会場はバンドの最後の姿を見届けるべく集まったファンで超満員となった。またライブの模様は全国7都市の映画館にてライブビューイングも実施された。

会場が暗転すると雑踏の音が流れ、一瞬静まったと同時に川島のブレスが場内に響く。1曲目はライブ初披露となる、川島の遺作となったラストシングル「LAY YOUR HANDS ON ME」。ステージとフロアを遮るように張られた紗幕に、川島の歌声に合わせて動く波紋が映し出された。今回のライブは、メンバーの背後のスクリーンと手前の紗幕にそれぞれ映像を投影し、立体的で臨場感のある映像演出を実現。中野雅之（Programming, B）のほかサポートメンバーの福田洋子（Dr）、山本幹宗（G）も演奏に参加し、川島の立ち位置には誰もいないままマイクスタンドとギターアンプが置かれていた。

2曲目の「NINE」では川島のマイクスタンドに、彼が歌う姿を思わせるシルエットが映され、まるで4人で演奏しているかのような光景に。その後シルエットは紗幕いっぱいに広がり、オーディエンスから大きな歓声が上がった。「DRESS LIKE AN ANGEL」にてアグレッシブな演奏と刺激的な光の演出でフロアを沸騰させたのち、「BACK ON MY FEET」で紗幕が開く。その後、彼らはライブで定番の「MORNING AFTER」や代表曲「KICK IT OUT」などを、川島が歌唱するライブ映像をバックに熱演。過去の川島と現在の中野たちが熱いセッションを繰り広げる。

場内を派手なレーザーが飛び交う中、トランシーな「FOGBOUND」で観客に高揚感をもたらしたのち、再び紗幕が降り、ここからライブは厳かな雰囲気に。「BLIND BIRD」が始まると、上空から撮影された幻想的な都会の夜の映像が流れ、「See you in heaven far away. I'll meet you there」という川島の歌声が響く。ラストシングル「LAY YOUR HANDS ON ME」の2曲目「STARS AND CLOUDS」では宇宙に浮かぶ星々や、青空に浮かぶ大きな白い雲が会場を囲むように壁に映し出され、爆音で鳴り響く美しいノイズを観客はじっと聴き入った。そしてバラード「STAY」で川島の伸びやかな歌声が会場を包み、そこに彼の魂が存在し続けていることをアピールするように、マイクスタンド付近に青白く光る球体が浮かび上がった。そしてその球体はギターを弾く人間の形に変わり、曲が終わるとまぶしい白い光の中に消えた。

その後ライブ初披露となる「FLARE」「NARCOSIS」を、川島が最後にレコーディングしたコーラスと共にパフォーマンス。まるで川島の最期の走馬灯をファンに追体験させるように、世界中で撮影された川島と中野の過去の映像が次々と紗幕に投影される。最後に紗幕が開くと同時に、涙ぐむ観客の頭上に天井から白い羽根が舞い落ち、2013年の東京・日本武道館公演で川島が発した「最後に言いたいことがあります。BOOM BOOM SATELLITESでした！ ありがとうございました！」という言葉が深いエコーと共に響き渡った。

27年間の活動のすべてを出し切った中野は、集まった満員のオーディエンスに向けて、顔を押さえて涙ながらに「長いこと支えていただいて言葉がありません。本当にBOOM BOOM SATELLITESのことを大事にしてくれてありがとうございました。あなたたちは、僕と川島くんが一番大切にしてきた誇りです。これからも僕たちが作ってきた音楽を大事にしてください」と挨拶。メンバーがステージを去ってからも彼らを称える拍手は止まず、終演を告げ帰宅を促す場内アナウンスが流れ始めたが、影アナが最後に定型文を崩して「長い間BOOM BOOM SATELLITESを応援いただき、本当にありがとうございました！」と語り、フロアに一層大きな歓声が沸いた。