コンゴ動乱とジャズ外交を描くドキュメンタリー「叛逆のサウンドトラック」公開
2026年4月15日 11:00
2 映画ナタリー編集部
第97回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた「Soundtrack to a Coup d'Etat」が、「叛逆のサウンドトラック」の邦題で8月7日より全国順次公開される。
本作はアフリカ独立と冷戦、音楽と政治、個人の夢と国家の現実が交錯する歴史の裏側を“もう1つの冷戦史”として描く映像詩。女性解放運動家で政治家のアンドレ・ブルアン(中央アフリカ共和国)、国連平和維持活動を率いた外交官コナー・クルーズ・オブライエン(アイルランド)、作家イン・コリ・ジャン・ボファン(ベルギー=コンゴ)、そして共産党の政治家ニキータ・フルシチョフ(ソ連)の視点から、多角的に歴史が捉えられる。
1961年2月、歌手アビー・リンカーンとドラマーのマックス・ローチは、新たに独立したコンゴの首相パトリス・ルムンバの暗殺に抗議するため、国連安全保障理事会に突入。約60人の抗議者が暴動を起こし、世界は“脱植民地化”という大きなうねりの中へのみ込まれていく。
当時、アフリカ諸国の国連加盟により国際政治の構図は大きく変化していた。ソ連の指導者フルシチョフは国連総会でアメリカを中心とする西側諸国を強く批判し、コンゴで進行していた新たな植民地主義的な権力奪取を非難。その裏でベルギー国王ボードゥアンは、かつての植民地コンゴの豊富な資源を失うことを恐れアイゼンハワー政権と手を組み、コンゴは冷戦の政治的駆け引きの中心となっていく。
一方、アメリカは“ジャズ外交”の名のもとにルイ・アームストロングを“アフリカ親善大使”として派遣。しかしその裏ではCIAが支援するクーデターが進行し、ルムンバ暗殺へとつながる。この事件に呼応して、黒人解放運動家マルコムXはルムンバ支持を表明し、アフリカ統一とアフリカ系アメリカ人の人権闘争を結び付けようとした。また“ブラック・ジャズ・アンバサダー”としてアフリカ各地で活動していたアームストロング、ニーナ・シモン、デューク・エリントン、ディジー・ガレスピー、メルバ・リストンらは、祖国アメリカで依然として差別が合法である現実に直面しながら、誰のために演奏するのかという葛藤を抱えていた。
監督を務めたのは「シャドー・ディール 武器ビジネスの闇」のヨハン・グリモンプレ。プロデューサーには「私はあなたのニグロではない」が第89回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされたレミ・グレレティらが名を連ねる。
©2024 ONOMATOPEE FILMS BV, WARBOYS FILMS S.A.S., ZAP-O-MATIK, BALDR FILM,RTBF, VRT, JOHAN GRIMONPREZ
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Sharma @sharma10197
@eiga_natalie テーマがめちゃくちゃ興味深い