月村了衛の同名小説をもとにした本作の主人公は、ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げているという“うわさ”を耳にした新聞記者・檜葉菊乃(ひばきくの)。彼女は独自の調査によって、医大の理事である神林晴海(かんばやしはるみ)に目をつける。そして神林から巧みに追及をかわされるも、突破口はそこしかないと考える檜葉は粘り強く核心へと迫っていくのだった。
檜葉を松本が演じ、神林に鈴木が扮する。脚本は「先生さようなら」「恋は闇」の渡邉真子が執筆し、音楽を
松本は「“女性は結婚や出産があるから戦力にならない”。昔よく耳にしたこの言葉に、女性である私自身も違和感を覚えました」と吐露し、「女性が一時的に職場を離れる時期があったとしても、長い目で見れば女性が社会にもたらす力はとても大きい。私はそう信じています。この作品を観てくださる方の心に、小さくても何か残っていただけるなら、菊乃を演じる私自身にとっても大きな誇りです」と言葉を紡ぐ。
一方で鈴木は「誰と誰の、あるいは何と何の『対決』なのか、ということをずっと考えています。一つの出来事には関わる人の数だけ理由があり、理由の数だけ物語がある。一つの正解はなく、勝ち負けもない」とコメント。「霧の中を手探りで進むような、けれど確実に先に光は見えている。そんなイメージを保ちつつ取り組もうと思います」と意気込んだ。渡邉、小山、池田のメッセージは後掲の通り。
松本若菜 コメント
“女性は結婚や出産があるから戦力にならない”。
昔よく耳にしたこの言葉に、女性である私自身も違和感を覚えました。
変わらない、変えられない現実の中で、無意識に染み込んでいた実感もあります。性別を理由に、本来得られるはずの評価がいただけなかったり、選べるはずの未来が閉ざされたりするのは本当に残念なことだと思います。能力や努力の成果で評価されるべき場面が、属性や偏見によってねじ曲げられてきた。そのような体質が、長い時間をかけて根を張ってきたのだと感じます。それでも世の中は、少しずつですが変わってきているように思えます。女性が一時的に職場を離れる時期があったとしても、長い目で見れば女性が社会にもたらす力はとても大きい。私はそう信じています。この作品を観てくださる方の心に、小さくても何か残っていただけるなら、菊乃を演じる私自身にとっても大きな誇りです。ぜひご覧ください。
鈴木保奈美 コメント
誰と誰の、あるいは何と何の「対決」なのか、ということをずっと考えています。一つの出来事には関わる人の数だけ理由があり、理由の数だけ物語がある。一つの正解はなく、勝ち負けもない。
霧の中を手探りで進むような、けれど確実に先に光は見えている。
そんなイメージを保ちつつ取り組もうと思います。
渡邉真子(脚本)コメント
“正しい”世の中がいいに決まっている。
だけど、それは誰にとっての正しさなのか。立場が違えば、物事の正しさも変わるものなのかもしれない。原作を拝読した時に、そんなことを感じました。
月村先生が書かれた原作が放つメッセージは、大変感慨深く、今の時代にふさわしいもので、私も脚本を書かせていただくのに、とてもやりがいを感じるものでした。松本若菜さん、鈴木保奈美さんが演じてくださる姿をイメージしながら執筆に向かうと、どんどんキャラクターが動き出し、大変筆が進みました。
立場も年齢も違う、対立する二人の女性を、私も一視聴者として大ファンのお二人がどのように演じてくださるのか、とても楽しみです。皆様、ご期待ください!
小山絵里奈(音楽)コメント
このドラマは、静かな怒りと深い祈りが交差する物語でした。ままならない現実の中で、差別や葛藤と向き合いながら、それでも誰かの未来を守ろうとする、そんな二人の主人公の“対決”の姿に、私は、音楽で寄り添いたいと思いました。母と娘、記者と理事、そして過去と今。それぞれの選択が交差する瞬間に、言葉にならない彼女たちの思いを、そっと音楽で伝えたい。私自身も母であり、女性として社会と向き合ってきました。だからこそ、この作品に込められた痛みと希望を、音楽でそっと包み込みたかった。視聴者の皆さんが、登場人物たちの声なき声に耳を澄ませてくださることを願っています。
池田千尋(演出)コメント
彼女たちは一体何と「対決」しているのか、最初に考えたのはそれでした。
このドラマは、誰が悪いかを暴くものでも、何が正しいかを定めるものでもありません。
人は「正義」を手にした時、自分の正義以外を攻撃してしまうことがある、人は皆それぞれに違うという当たり前のことを忘れてしまう。
対決するとしたら、そんな自分自身とではないか。
人によって色んな正義がある、みんな一生懸命に生きている。
それでいいんだという思いで、これから撮影に向かいます。
ドラマにリアルな厚みを持たせてくださるだろうすばらしいキャストの皆さんの競演をぜひお楽しみください。
NHKドラマ「対決」番組情報
放送局・放送日時
NHK BS、NHK BSプレミアム4K 2026年春スタート
※全5話
スタッフ・キャスト
原作:月村了衛「対決」
脚本:渡邉真子
演出:池田千尋 / 小菅規照
音楽:小山絵里奈
出演:松本若菜 / 鈴木保奈美 ほか

西森路代 @mijiyooon
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