映画「
村井理子によるエッセイをもとにした同作では、“ダメ兄”の死によって再会した家族が、彼の人生の後始末に奮闘する4日間が描かれる。柴咲が絶縁状態にある兄の訃報を聞いた主人公・理子、オダギリが“ダメ兄”を演じ、満島が兄の元嫁・加奈子役で出演。青山と味元が加奈子の娘・満里奈と息子・良一にそれぞれ扮した。
公開を迎えた心境を問われると、柴咲は「自分の作品を『観て』とアピールするタイプではないんですが、友人たちに勧めたいです」とコメント。「普段から密に付き合っている人たちは、ほかの人には話せないような家族の悩みを打ち明けてくれるし、私も話したりします。友人たちの事情も知っている分、この映画を『1回は観て』と伝えたい」と言葉を紡いだ。
「今だからこそ聞きたいことは?」というトークテーマでは、青山が満島を見やり「撮影期間は1カ月ほどでしたが、すごく安心できる存在になりました。ほかのキャストさんとの距離の縮め方に秘訣はありますか?」と質問。満島は「難しい……」と悩んだあと「人と関わるときには自分自身を消して、『この人は楽しいかな?』と相手の気持ちを考えながら話すことが多いです」と答える。そして「俳優は1人で抱えているものや、宝物にしているものをたくさんの人の前で見せるようなお仕事。キャストはそれを共有するメンバーだから、撮影が終わっても大切な存在です。私の中の満里奈は姫乃ちゃんしかいないからね」と口にすると、青山は「すごく素敵です」とニッコリ。満島は「涙を流す場面が3つくらいあるんですが、撮影直前に『行ってくる!』と言って、監督からすぐOKをもらって帰ってくる。すごかったよ!」と青山をたたえた。
味元は「撮影では2日間しかご一緒できなかったのですが、独特なオーラがあります」とオダギリに目線を送るも、「いじられてる?(笑)」とツッコミが。続いて味元が「尊敬している人はいますか?」と聞くと、オダギリは「自分と真逆のタイプの人は尊敬するけど、言ってみれば“相手”という存在はどんな人でもリスペクトしたほうがいいと思っています」と応じる。加えて「あと、やっぱり親ってすごいですよ。どんなときも自分の味方になってくれるじゃないですか」と切り出し、観客を見ながら「お客さんの中にも“親”をやっている人たちはたくさんいる。1人ひとりが我が子を大事に思っているんです。だからここにいる皆さんを尊敬したほうがいいですよ!」と言葉に力を込めた。
中野は柴咲に「監督として足りないものはありますか?」と問いかける。「公開ダメ出しってことですか?(笑)」と苦笑いする柴咲は「現場では素直なリアクションをされるので、芝居がよかったときの反応はうれしいんですけど、イマイチだったときはオーラがズーンって感じ。首を傾げながらこっちに来るときもあるんです」と笑顔で訴える。中野が「(感情が)出ちゃうんですよ……」と落ち込む様子を見せると、「でも監督がもう一度やりたい何かがあるからそういう反応になるわけで。期待には応えたいんです。だから何度でもやりますよ!」とフォローしていた。
タイトルにかけて「持ち運びたいもの」にトークテーマが移ると、柴咲は「猫を飼っているのですが、旅行には連れて行けないので似たようなぬいぐるみを持っています。“ぬい活”です」、オダギリは「虫刺され薬。刺されるのがとにかく嫌で」とそれぞれ話す。さらに満島は「テレホンカード。公衆電話が好きで、見かけたら入って誰かに電話しています」と笑顔に。青山が「ヘッドフォン。持ち歩くバッグが小さめで、無理やり入れて朝ごはんのおにぎりが潰れたときも……」と嘆くと、味元は「ハンカチとティッシュと、紙とペンと……あと糖分」と大人な回答で周囲を驚かせていた。
最後に柴咲は「ご覧になった人の感想で『自分は家族をあきらめていないことに気付きました』というものが印象に残っています。だからこそ怒ったりしてしまうこともあるんだなと、自分の過去を振り返ってそう思いました」と回想する。そして「家族は自分をどう生かすかという“心の鏡”。そういう見方でこの映画を楽しんでもらえたらうれしいです」と語りかけ、イベントを締めた。
「兄を持ち運べるサイズに」は全国で公開中。

映画ナタリー @eiga_natalie
【初日舞台挨拶レポート】「兄を持ち運べるサイズに」柴咲コウが“ぬい活”宣言、オダギリジョーは観客をリスペクト
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満島ひかり、青山姫乃、味元耀大、中野量太も登壇!
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