杉咲花の主演映画「
金原ひとみの小説をもとにした本作は、27歳の由嘉里を主人公とする物語。擬人化焼肉マンガ「ミート・イズ・マイン」をこよなく愛する彼女は、次々にオタク界隈から離脱する仲間を見て不安と焦りを感じ、婚活を始めることに。しかし合コンで惨敗し、歌舞伎町の道端で酔い潰れていたところを美しいキャバ嬢・ライに助けられ、新たな世界に導かれていく。杉咲が由嘉里、南琴奈が希死念慮を抱えるライ、板垣李光人が既婚者ホストのアサヒを演じた。
杉咲の主演作「市子」や「52ヘルツのクジラたち」などを鑑賞していたという松居。彼は「『トイレのピエタ』の頃から嘘のない芝居をする方だという印象があり、いつかご一緒できたらと思っていました。由嘉里はさまざまな人と出会って新しい景色を見ていく役。由嘉里を通じて、彼女の抜けるような明るい芝居を見たかったんです」とオファーの理由を明かす。また松居は「テストのあとに本番があり、しかも画角を変えながら何度も撮影するのですが、杉咲さんは食事のシーンで毎回全力で食べるんです。おなかいっぱいになっちゃうだろうから「テストは(食べる)フリでいいですよ」と言うんですが、「わかりました」と答えつつもいっぱい食べちゃう。杉咲さんは嘘がつけないからこそ、素敵なお芝居ができるんだろうなと感じました」と回想。さらに松居は杉咲について「現場で芝居をする以外の、映画を作るという行為に関わってくれた。芝居がうまいというのはもちろんそうですが、それ以上に映画に体重をかけて、座長として責任を持とうとしてくれるところが、作品の中に存在感として表れているのでは」と口にした。
食事シーンの演出には、特にこだわりがあるという。松居は「食べることは生きることにつながると思うので、この映画にとっては重要なこと。キャストの皆さんには“この役の食べ方”の解像度を上げたいと話しました。その結果、ライはすごくゆっくり食べていて、生に執着してない感じが表れている。(蒼井優演じる)ユキは食べ物を折りたたんで口に運ぶ、見たことのない食べ方をしていました」と語った。観客からは、物語の舞台となる歌舞伎町に関する質問も。松居は「歌舞伎町という街が、この作品を引っ張ってくれた」と話しながら「夜の歌舞伎町での撮影は、思い出したくないくらい大変でした(笑)」と打ち明ける。続けて「0時を超えた歌舞伎町で撮影するので、飲み終わりの方や出勤中の方、いろんな方がいました。人止めをしていても、カメラに近付いてくる人がいたり。でも杉咲さん、南さん、板垣さんにスイッチが入って芝居をし出したら、酔っ払いたちも静かにそれを見つめるようになって。大変でしたが、あの場所で撮影することができてよかったです」とエピソードを披露した。
観客の「(登場人物が)誰も否定をしないところが温かいと思った」という感想に対し、松居は「由嘉里の(推しキャラクターの)ぬいぐるみは、ライにとってはよくわからないもの。でも由嘉里が大事にしているから、ライも生物としてぬいぐるみを扱うんです。さまざまな登場人物がいますが、“優しさ”は大事にしました」と言葉を紡ぐ。また印象に残っている何気ない会話シーンを尋ねられた松居は「由嘉里が『ミート・イズ・マイン』についてアサヒに教えるやりとりは、途中から台本にないんです。アサヒが言い間違えたことを由嘉里が指摘して、笑っちゃう感じを見ていたら、2人が本当に存在している感じがして。撮影できてよかったなと思いました」と回答した。
「ミーツ・ザ・ワールド」は10月24日に全国ロードショー。
映画「ミーツ・ザ・ワールド」予告編
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【イベントレポート】杉咲花は全力で食べる!「ミーツ・ザ・ワールド」松居大悟が語る“嘘のない芝居”
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