10代の少女が愛のためにすべてを犠牲に、中国・長沙が舞台の青春映画が目指したもの

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青春映画「ワン・ガール・インフィニット」が第21回大阪アジアン映画祭(OAFF2025)で上映され、大阪・ABCホールで行われたQ&Aに撮影を担ったシェーン・エインズワースが登壇した。

「ワン・ガール・インフィニット」場面写真

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第21回大阪アジアン映画祭のキービジュアル

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同映画祭でアジア初上映された本作は、監督・脚本・主演を兼任したリリー・フー(胡嘉穎)が自らの体験に着想を得て制作した長編デビュー作。10代の少女インジャーとトントンは、中国・長沙で時にじゃれあい、万引きをし、同じベッドで眠る刹那的な日々を送っていた。そんなある日、トントンが麻薬の売人と恋仲になったことで、2人は激しく衝突することに。そしてインジャーはトントンへの愛ゆえに、すべてを犠牲にすることを決意する。チェン・シュエンユー(陳宣宇)がインジャーを演じ、トントンにリリー・フーが扮した。

「ワン・ガール・インフィニット」の撮影を担当したシェーン・エインズワース。「過酷な映画だったと思いますが、最後まで観ていただきありがとうございます」と挨拶した

「ワン・ガール・インフィニット」の撮影を担当したシェーン・エインズワース。「過酷な映画だったと思いますが、最後まで観ていただきありがとうございます」と挨拶した[拡大]

拍手に迎えられ登場したエインズワースは「過酷な映画だったと思いますが、最後まで観ていただきありがとうございます」と挨拶。長沙の街が生々しく捉えられているという意見が飛ぶと「まず、長沙ではこのような物語を描いた例がほかにないだろうというところが一番面白いと思いました。それ自体がこの作品の撮影方法に影響を与えています」と述べ、「すごく遠くから、例えば500m離れている場所からロングレンズを使用して街を撮影しました。そうすることによって、街を圧縮して捉えることができます」と語る。また「監督も私もアメリカの映画に多くの影響を受けています。例えば『ゴッドファーザーPART II』の屋根の上から街を映し出すシーンだったり、『神様なんかくそくらえ』の遠くから野生動物を撮影するように街を捉える手法に影響を受けました」と明かした。

シェーン・エインズワース

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エインズワースとリリー・フーは米ロサンゼルスの映画学校時代に知り合った友人だそう。彼は中国に帰国したリリー・フーから、ある日送られてきた脚本を読み、本作への参加を決意した。「この映画のシナリオは監督の個人的な経験にもとづいて書かれたもの。中国の若い女性が、同性の友人と成り行きで性的な関係になるというのは珍しくないそうなんです。そういったこともあるんだと、物語に興味を持ちました。また長沙で低予算で撮るということを聞いて、自由な映画になるのではないかと興味が沸いたんです」と振り返る。また「フォレスト・ガンプ/一期一会」の脚本を手がけたエリック・ロスが本作のエグゼクティブプロデューサーを務めていることが話題に上がると「監督の脚本の先生がエリックなので、そういった関わりでエグゼクティブプロデューサーとして参加することになったんです」と伝えた。

最後に「ポップで爽やかなガールズムービーかと思いきや、後半は胸がえぐられるシーンがたくさんあり、いろんなことを考えさせられた」という感想があると、エインズワースは「その感想は本当にすばらしい! ポップな作品だと思っていたら、過酷なものだったと、そんなふうに思ってもらいたくて撮っていました」と言及した。

第21回大阪アジアン映画祭は、9月7日まで大阪・ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂で開催。

上映スケジュール | 大阪アジアン映画祭

第21回大阪アジアン映画祭

2025年8月29日(金)~9月7日(日)
大阪府 ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂

オープニング作品

  • 万博追跡(台湾)

コンペティション部門

  • ワン・ガール・インフィニット(アメリカ、シンガポール、ラトビア)※アジア初上映
  • 世界日の出の時(中国)※日本初上映
  • 退避(カザフスタン)※日本初上映
  • アイ、ザ・ソング(ブータン、フランス、ノルウェー、イタリア)※日本初上映
  • 紅い封筒(タイ)※日本初上映
  • シャンバラストーリー(日本、アメリカ、インド)※世界初上映
  • 寒いのが好き(韓国)※日本初上映
  • 浅浅歳月(香港)※日本初上映
  • 私たちの意外な勇気(台湾)※日本初上映
  • 最後の夏(中国)※海外初上映
  • サンシャイン(フィリピン)※日本初上映

特別注視部門

  • 橋(ブータン)※世界初上映
  • D-デイ、フライデイ(韓国)※日本初上映
  • 明日が来る前に(中国)※世界初上映
  • 初めての夏(韓国)※日本初上映
  • その間(インド)※世界初上映
  • MA-沈黙の叫び(ミャンマー、韓国、シンガポール、フランス、ノルウェー、カタール)※日本初上映
  • コンチェッタ、どこにいるの?(タイ)※海外初上映
  • トゥームウォッチャー(タイ)※日本初上映
  • ウィービング(韓国)※海外初上映
  • あなたを植える場所(韓国)※アジア初上映
  • クィアパノラマ(香港、アメリカ)※日本初上映

インディ・フォーラム部門

  • 生きているんだ友達なんだ(日本)
  • 結局珈琲(日本)※世界初上映
  • 白昼夢(日本)※世界初上映 / R15+指定作品
  • カミナンって、呼ぶな。(日本)※世界初上映
  • 夢と進路(日本)※世界初上映
  • 火の華(日本)※世界初上映
  • 息子の鑑(日本)※世界初上映
  • イマジナリーライン(日本)
  • 糸の輪(日本)
  • たぶん未来が呼んでいる(日本)※世界初上映
  • ミルクレディ(日本)※日本初上映
  • よそ者の会(2025)(日本)
  • 桃味の梨(日本)※世界初上映
  • わたのはらぞこ(日本)
  • 星野先生は今日も走る(日本)※世界初上映
  • 嘘もまことも(日本)※世界初上映
  • まっすぐな首(日本、中国)※日本初上映
  • もういちどみつめる(日本)※世界初上映

インディ・フォーラム部門<焦点監督・田中未来>

  • ブルー・アンバー(日本)※世界初上映
  • エミレット(日本)
  • ジンジャー・ボーイ(日本)

特集企画<台湾:電影ルネッサンス EXPO 2025>

  • 黒犬(台湾)※日本初上映
  • 洗(台湾)※日本初上映

小特集<台湾クラシックスとTFAIのレストア成果>

  • ドラゴン・スーパーマン(レストア版)(台湾、日本)※日本初上映
  • 進学を拒絶した人生(2Kレストア・ディレクターズカット版)(台湾)※日本初上映
  • さようなら十七歳(2Kレストア版)(台湾)※世界初上映
  • 寂寞十七歳(レストア版)(台湾)※アジア初上映
  • 私たちの意外な勇気 ※コンペティション部門にも入選

特集企画<Special Focus on Hong Kong EXPO 2025>

  • レッド・キス(香港)※海外初上映
  • フルムーン・イン・ニューヨーク(デジタル・リマスター版)(香港)
  • 上海ブルース(レストア版)(香港)※日本初上映
  • 浅浅歳月 ※コンペティション部門にも入選
  • クィアパノラマ ※特別注視部門にも入選
  • 私立探偵 ※日本初上映

特別招待作品部門

  • フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編](日本)※世界初上映

神戸女学院大学国際学部協賛上映

  • 晩秋(インド)※日本初上映

特別上映 《VIPO Film Awardの成果》

  • ポストハウス(フィリピン)※海外初上映

クロージング作品

  • 好い子(シンガポール)

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