第77回カンヌ国際映画祭に出品された本作は、1950年に南イタリアのナポリに生まれ、人魚の名でナポリの街を意味する“パルテノペ”と名付けられた女性の生涯を描いた人生讃歌。聡明で誰からも愛される彼女には、深い絆で結ばれる兄・ライモンドがいた。パルテノペが年齢を重ねて美しく変貌を遂げていく一方、ライモンドの孤独が暴かれていく。そして彼女に幸せをもたらしていた美は、悲劇を招く刃に。それでもパルテノペは、愛と自由を求め人生を歩み続ける。
パルテノペを演じたのは、本作で映画デビューを果たし、イタリア版アカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で新人賞を獲得した
ギリシャの詩人ホメロスによる長編叙事詩「オデュッセイア」に登場する人魚パルテノペ。人魚たちは船乗りを惑わせ海に沈めていたが、英雄オデュッセイアに恋をしてしまった人魚パルテノペは、彼を誘惑できない悲しみのあまり自ら命を絶ち、その亡骸がナポリの街になったという逸話がある。
パルテノペを演じるにあたり、ナポリについて学んだというダッラ・ポルタは「パオロ・ソレンティーノ監督は、私が特に読むべき2冊の本を薦めてくれました。1冊は『海はナポリを濡らさない(Il mare non bagna Napoli)』(1953年 / アンナ・マリア・オルテーゼ著)で、もう1冊は『死にゆく者(Ferite a Morte)』(2013年 / セレーナ・ダンディーニ著)です。どちらもナポリという街の、特に1960年から1970年代、あるいはそれよりもさらに昔の様子について書かれた本です。これらの本のおかげで、ソレンティーノ監督の想像力が生み出したムードに浸ることができました」と述べ、「彼がこの映画に込めた思い、そしてこの街の匂いや音、人々に呼び起こされるさまざまな感情やメランコリックな雰囲気。彼は私に多くの要素を深く理解してほしかったのだと思います。私はナポリ出身ではないので、本はそのような雰囲気をつかむのに役立ちました」と語った。
本作を鑑賞したライターのISOは「画面の隅から隅まで、いかなる瞬間も煌めきが絶えない。今年観たどんなスペクタクルよりも壮麗なナポリの姿がそこにはあった」とコメント。映画批評家の児玉美月は「瞳に映るわかりやすい『美』ばかりが持て囃されるこの世界で、しかし彼女は束の間の夢のような人生を旅しながら学問の魅力を知り、そして何者にも揺るがされることのない知性を獲得してゆく。パオロ・ソレンティーノが紡ぎ出す映像美は言わずもがな、この映画の真価はまたそこにもあるように感じられる」と伝えた。そのほか苅田梨都子、清田隆之、SYO、鈴木涼美、武田真一、
「パルテノペ ナポリの宝石」は8月22日より東京・新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次公開。製作にはラグジュアリーブランドとして知られるサンローラン傘下のサンローラン プロダクションが名を連ねた。
※「パルテノペ ナポリの宝石」はR15+指定作品
映画「パルテノペ ナポリの宝石」本編映像
ISO(ライター)コメント
画面の隅から隅まで、いかなる瞬間も煌めきが絶えない。
今年観たどんなスペクタクルよりも壮麗なナポリの姿がそこにはあった。
苅田梨都子(RITSUKO KARITAデザイナー)コメント
夏の日差しと広大な海を前に、サンローランの煌びやかな衣装に目を奪われる。
清田隆之(文筆家 /「桃山商事」代表)コメント
夜がとても長かった時代の、今が今でしかなかった時代の、自由と孤独をめぐる物語。
景色と言葉がすべて詩的で、散文的に生きがちな私の中に重たい余韻が残りました。
児玉美月(映画批評家)コメント
はからずも周囲の運命まで左右してしまうほどの美しさを持って生まれた一人の女性“パルテノぺ”。
瞳に映るわかりやすい「美」ばかりが持て囃されるこの世界で、しかし彼女は束の間の夢のような人生を旅しながら学問の魅力を知り、そして何者にも揺るがされることのない知性を獲得してゆく。
パオロ・ソレンティーノが紡ぎ出す映像美は言わずもがな、この映画の真価はまたそこにもあるように感じられる。
SYO(物書き)コメント
美しい人が、幸せとは限らない。
知的な人が、全能の訳ではない。
愛はずっと、わからないままだ。
我々は観て、彼女は他者を見て
果てに等しく人間の真理を知る。
鈴木涼美(作家)コメント
花火のような若さや美しさを楽しみながらも、
ただ美しい女として消費されるだけの人生を是としなかった、
聡明な女の一生は、スキャンダラスではないが、けして退屈でもない。
美しくありたいけれども美しいだけで終わりたくない、
多くの私たちの欲望が彼女の選択を支持する。
武田真一(アナウンサー)コメント
残酷なまでの美しさと、若さの空虚さ。
成長するということはどういうことか? 生き続けるということは?
言葉では言い尽くせない問いに映像と物語で応える。これぞ映画。
すべてのシーンが光と音で織り込まれた輝くタペストリーのよう。
一瞬一瞬が、野生の宝石のような心震える作品!!
松尾諭(俳優)コメント
最後まで目が離せないナポリの情景、そしてイタリアの超新星セレステ・ダッラ・ポルタの美。
物語が進むにつれ増していく彼女の圧巻の美しさを目撃して欲しい。
映画ナタリー @eiga_natalie
人魚の名を持つ主人公が海から現れる、パオロ・ソレンティーノ「パルテノペ」新映像
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💬ISO、苅田梨都子、清田隆之、児玉美月、SYO、鈴木涼美、武田真一、松尾諭のコメントも到着
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