猪瀬直樹の著書「昭和16年夏の敗戦」を原案にした本作は、1941年の真珠湾攻撃前に、対米戦をあらゆる角度から検証するために作られた「総力戦研究所」を舞台にした物語。国の指示によって集められた若手官僚、報道人、軍人など日本中のエリートたちは、軍事、外交、経済などの各種データをもとに、日米が開戦した場合の戦局を正確に予測し、内閣の面々に報告することになる。しかし彼らが導き出したのは、“圧倒的な敗北”という残酷な結論だった。
池松が演じるのは、主人公の研究員・宇治田洋一。東京大学法学部を首席で卒業後、産業組合中央金庫(現:農林中金)の調査課長として働く彼は、総力戦研究所による模擬内閣のシミュレーションにおいて内閣総理大臣役を命ぜられ、次第に「国を破滅に導く対米戦に踏み切るべきではない」という思いに駆られていく。池松は「唯一の被爆国の戦後に生まれたことの責任が、私自身にもきっとあるはずだと信じて、石井監督のもと、素晴らしいスタッフ、キャストと共に、毎日祈るように撮影しています」と語った。
石井は日本のこれまでのドラマや映画は、戦争被害者の視点に立った作品が多いことに言及。そのうえで「『なぜこの国は無謀な日米開戦に踏み切ったか』にフォーカスしたものはほとんどありません。あまりにも事態が複雑でドラマ化が困難だったのも一因でしょうが、ここまで手出しできなかった理由は、正直に言ってしまえばほとんどタブーに近かったからだと思います」と述べる。そして「開戦前夜の人間たちの様々な葛藤は、今の私たちにとって決して無関係ではありません。当時の日本社会に漂っていた不気味な『空気』は、確実に引き継がれて今の社会にも存在するからです」とつづった。
池松壮亮 コメント
なぜこれほどまでに平和は遠いのか。
平和だけでなく、
なぜこれほどまでに良き未来への道のりは険しいのか。
2025年に今作を撮影する日々の中で、この問いが頭から離れません。
この国に生まれ、戦後80年という年に俳優として今作に出逢えたことは、大きな大きな使命と責任をもたらしてくれるものでした。
言論や精神や命までも戦争のために国家の統制下に置かれた時代に、研究員の彼らは感情論ではなく、精神論ではなく、事実に辿り着き、事実に畏怖し、結論を出しました。この世界に無数にある黙殺の歴史の物語となっています。
世界歴史史上唯一の被爆国の戦後に生まれたことの責任が、私自身にもきっとあるはずだと信じて、石井監督のもと、素晴らしいスタッフ、キャストと共に、毎日祈るように撮影しています。
どうかよろしくお願いいたします。
石井裕也 コメント
これまで作られてきた日本の戦争ドラマ・映画は、終戦間際に一般市民が不幸な目に遭う、いわゆる戦争被害者の視点に立つものが多かったと思います。私が知る限り、その大元となった「なぜこの国は無謀な日米開戦に踏み切ったか」にフォーカスしたものはほとんどありません。あまりにも事態が複雑でドラマ化が困難だったのも一因でしょうが、ここまで手出しできなかった理由は、正直に言ってしまえばほとんどタブーに近かったからだと思います。
開戦前夜の人間たちの様々な葛藤は、今の私たちにとって決して無関係ではありません。当時の日本社会に漂っていた不気味な「空気」は、確実に引き継がれて今の社会にも存在するからです。日本を代表するキャスト、スタッフと共に今この作品が作れたことの大きな意義を感じています。
norikichishio @norikichishio
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