本作はかつて東洋随一の軍事工場だった「陸軍大阪砲兵工廠」で働いていた、町工場一家の戦後の軌跡を追う物語。親子3代のファミリーヒストリーから、ある大阪人たちの破壊と再生の80年をたどる。陸軍大阪砲兵工廠は大阪城公園周辺に位置し、日清戦争以降、大型兵器の製造を担っていたが、太平洋戦争終戦の前夜に米軍の空襲で壊滅する。戦後には工廠の工員や、下請けを担っていた町工場の人々の働きが大阪復興の一因となった。なお番組は工廠跡地の戦後史や町工場への綿密な取材を実施している。
物語の舞台は、戦後、焼け跡の広がる大阪。砲兵工廠で金属加工技術を磨いてきた主人公・田口留蔵は、息子2人が戦地から戻って来ず、さらに末っ子を終戦前日の空襲で亡くしている。喪失感を払うように仕事に打ち込む留蔵は、戦後の混乱で大企業がまだ稼働再開をできない中、妻と2人で掘っ立て小屋から「田口鐵工所」を開業。その後、奇跡的に復員した次男・雅征は、家族のために“朝鮮戦争で使う兵器を作る”という苦渋の決断を下す。時は流れ、大阪万博開催が迫る1969年、雅征の長女・ミチコは、大学の仲間たちと“戦争と平和の矛盾”に葛藤することになる。
脚本・演出を手掛けるのは、紀行ドキュメンタリー「新日本風土記」、ドキュメンタリードラマ「大江戸炎上」などに参加した佐野達也。「堤真一さんを主人公にお迎えしての、大阪の物語。役者全員が関西出身。エセ大阪弁に厳しい大阪人を、きっと唸らせるはずの大阪の物語。大阪に何度も足を運び、戦後の大阪について学び……。大阪の町工場の玄関を叩いて油まみれになりながら機械に触れ……。ようやく、決定稿に至りました」と述べ、語り部を“大阪城”に設定したことを明かした。
NHKスペシャル ドラマ「大阪激流伝」
NHK総合 2025年8月下旬放送予定
佐野達也 コメント
堤真一さんを主人公にお迎えしての、大阪の物語。役者全員が関西出身。エセ大阪弁に厳しい大阪人を、きっと唸らせるはずの大阪の物語。
大阪に何度も足を運び、戦後の大阪について学び……。大阪の町工場の玄関を叩いて油まみれになりながら機械に触れ……。ようやく、決定稿に至りました。
今回のドラマでは、「大阪城」が語り部をつとめます。ちょっと風変わりな手法ですが、その「大阪城」の声に、どんな“気風”を込めるか─。悩んでいたとき、取材中に出会った東大阪の町工場のおっちゃんの言葉が、ズドンと腹に落ちました。「大阪城」が語ると、こんな感じ─。
「江戸時代の大阪の人口は40万人ほど。そのうち武士の数は、わずか2千人足らずやったらしい。これは、ごっつい城のある町としては、例外中の例外に少ない。大阪の街を創ったんは民衆や──なんて言うたら、なんやカッコよぉ聞こえるけど、とにかく大阪人は伝統的に“権力”ちゅうもんに対して、ナメてるところがありますねん」。
──ようわかるわぁ~、と感心したけど、あとで調べたら、これ、司馬遼太郎の言葉をまねたもの。それをおっちゃんは、さも自分の血肉から生まれた言葉のようにドヤ顔。まあまあ、細かいこと気にすんな。こういうしたたかさも含めて「大阪やなぁ」と、思いました。
堤真一の映画作品
リンク
ヒロ🐯Tigers♡🇯🇵王座奪還🐅🐅🔥🔥 @yasuhiro19691
提供元: ナタリー https://t.co/ZIaSASYnm8