静岡県伊東市に「金星シネマ」誕生、16席のミニシアターで“まちの映画館”目指す

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静岡県伊東市に常設のミニシアター「金星(きんぼし)シネマ」が誕生。9月14日にオープンする。

金星シネマの外観

金星シネマの外観

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「キネマ通り」という駅前アーケード街がある伊東市は映画やドラマなどのロケ地にもなったほか、かつては数多くの映画館が存在した。しかし現在、市内には映画館がなく、映画を観るためには小田原や三島、沼津などへ1時間以上をかけて移動しなければならないという。金星シネマはJR伊東駅から車で15分ほどの場所に設立される。

金星シネマのスクリーン内

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金星シネマのロビー

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140インチスクリーンと16席の客席を備えた同館では、新作と旧作を1日3、4作品上映。地域住民が通っていた眼科と耳鼻咽喉科であった建物を生かしてカフェを併設し、地元農家の野菜を直売するなど、普段の暮らしの延長線上にある“まちの映画館”を目指す。オリジナルの映画ノートも用意されており、待合室の学習机で映画を観たあとに感想を記入することが可能だ。

金星シネマの設立過程

金星シネマの設立過程[拡大]

館長は25歳の梅澤舞佳。「映画館」という場を作るため、自主映画制作を行った映画美学校時代の仲間とともに金星シネマを作り上げた。彼女は「学生時代に映画館でたくさんの映画を見た体験は私にとってかけがえのないもので、自分を救ってくれたし、今の私を形成しているものだと思います。今はサブスクで映画が簡単に見られますが、やはり映画館で見る映画はいいものだと思います。家を出て映画館に行くまでも、映画を見終わって入るご飯屋さんも、家に帰るまでも含めて、映画館で映画を見るという体験を楽しんでいただきたいです」とコメントしている。

オープンから9月29日までは「湯を沸かすほどの熱い愛」「ありふれた教室」「パターソン」「幸せなひとりぼっち」の4作品が上映。10月2日から20日までは「ある一生」「ぶあいそうな手紙」「アバウト・レイ 16歳の決断」「新聞記者」がスクリーンにかけられる。気軽に映画館を利用してほしいという思いから、料金は一般1500円となる。

上映スケジュール

2024年9月14日(土)~29日(日)

  • 湯を沸かすほどの熱い愛
  • ありふれた教室
  • パターソン
  • 幸せなひとりぼっち

2024年10月2日(水)~20日(日)

  • ある一生
  • ぶあいそうな手紙
  • アバウト・レイ 16歳の決断
  • 新聞記者

梅澤舞佳 コメント

梅澤舞佳

梅澤舞佳[拡大]

ダラけた性格でなるべく働きたくない思考の私が映画館を開業するなんて、周りの人にも驚かれますが自分が一番びっくりしています。東京で過ごした学生時代、学校に行かずシネコンやミニシアター、名画座に通い詰めていた私ですが、シネコンのゆったりした椅子と大きなスクリーンでポップコーンを抱えながら観る映画が大好きだったので、ミニシアターは窮屈に感じてしまいあまり好きではありませんでした。

映画館を作ろうと思い立ったものの、とにかくお金は無いのでミニシアター、いやミニミニシアターしか作れない。ならミニシアター嫌いの自分が「ここなら通いたい」と思えるような映画館を作ろうと思いました。席数はもっと多くすることもできましたが、席と席との間を少し空けて16席。椅子も長時間座っても疲れないものを選びました。待合室やカフェもゆったりと過ごせるよう、家具や配置などお金がないなりにこだわりました。

私自身も学生時代から書いていた映画ノートの販売もこだわりのひとつです。元病院の建物というのをヒントに、カルテのように映画館にノートを預けられます。映画鑑賞料金は今はほとんどの映画館で一般1,900円から2,000円ですが、金星シネマではいつでも気軽に、ふだんの映画館としてご利用いただけるよう一般1,500円という料金設定にしています。

映画館の工事を全て自分たちの手でやると決めたのは、お金が無いがゆえの仕方の無い選択だった訳ですが、思っていた何倍も大変で、よくこんなことをやろうと思ったなあと、甘々な素人考えだった数ヶ月前の自分を叱ってやりたいです。東京から伊東まで来て、狭い私の家でぎゅうぎゅうになりながら寝泊まりして工事を手伝ってくれた映画美学校の元同期生のみんなには本当に感謝しかないです。

もうこんな大変なことは一生やりたくないです。ただ、自分で言うのもお恥ずかしいですが始めるまでは大変だなあ、やだなあくらいにしか思っていなかった映画館の手作りが、工事が進んでいくにつれて「手作りの映画館ってあまり聞いたことがないよな」、「これは結構凄いことをしているのではないか」と、少しワクワクした気持ちとともに映画館にとても愛着が湧いてきました。全部ド素人の手作りなので壁紙はよく見ると破けているところがあるし、ペンキもはみ出してるし、映画館の壁は所々シワシワだったりします。ご愛嬌ということで笑っていただけると幸いです。

学生時代に映画館でたくさんの映画を見た体験は私にとってかけがえのないもので、自分を救ってくれたし、今の私を形成しているものだと思います。今はサブスクで映画が簡単に見られますが、やはり映画館で見る映画はいいものだと思います。家を出て映画館に行くまでも、映画を見終わって入るご飯屋さんも、家に帰るまでも含めて、映画館で映画を見るという体験を楽しんでいただきたいです。

金星シネマで映画を見て、嫌なことをほんの少し忘れられたり、明日からも頑張ろうと思えたり、何よりも映画が好きになってくれる方が一人でも増えたら嬉しいです。

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伊東市に16席のミニミニシアターが9月14日にオープン
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