映画「
ヤマシタトモコのマンガをもとにした同作では、人見知りな小説家・高代槙生と交通事故で両親を亡くした15歳の姪・田汲朝の同居生活が描かれる。勢い余って朝を引き取る槙生を新垣、人懐っこい素直な朝を早瀬が演じ、槙生の友人・醍醐奈々に夏帆、朝の親友である楢えみりに小宮山が扮した。
新垣は満席の観客席を見回し「うれしいですね。原作から大好きな作品で思い入れがあるので、同時に緊張もします。どういった反応があるのか楽しみ」と声を弾ませる。早瀬は「舞台挨拶だったり、お客さんと直接会うというのが初めてで……。さっきまで結衣さんにすがり付いていました」と緊張した様子。「実際どうですか?」と新垣が目線を送ると、「優しいお客さんたちで、こんなに観てくれる人がいるのかと感動しています」と胸がいっぱいの表情を見せた。
撮影時の心境を問われた新垣は、しばらく考え込んだあとに「原作で描かれる槙生の魅力をどうにか体に染み込ませて、映画に落とし込みたいと思っていましたね。撮影の前からクランクインまでずっと悩んでいたというか、どう表現するか考えていました」と言葉を紡ぐ。加えて「『よーい』がかかるときに原作で描かれていた表情を思い浮かべると、スイッチを入れてくれるような気がしました」と振り返った。
早瀬は自身の役どころを「素直で明るくて犬っぽい人。でも意外としっかりしている部分もある」と説明。「心に孤独を抱えているので演じていて困難もありましたが、朝は15歳で自分と同じ。監督が『素のままでいいよ』と言ってくれたので、肩の荷を下ろして演じることができました」と感謝を伝える。瀬田はオーディションで初めて早瀬と会ったときを思い返し「とても演技が好きなんだな、と。ほかの人のお芝居も楽しそうに見てましたよね。その姿を見て『一緒にいたいな』と思ったんです」と頬をゆるませた。
夏帆は「醍醐がいると空気が明るくなればいいなと。でも自分はそんなタイプではないんですが……」と口にするが、新垣は「そんな存在だったよ!」と声を張り、「夏帆ちゃんが現場に来ると、全体の空気が入れ替わるような華やかな空気になるんです。帰ると嵐が去ったようで(笑)」と回想。対して夏帆は「醍醐と会うと、槙生は10代の頃に戻ったようで、朝ちゃんとの会話とは違った面が見えるんです。だからこそ結衣ちゃんとどう関係を作るか考えました」と思い返す。そして新垣と芝居をすることが初めてだと明かし、「昔からの親友であるかのように、フラットに受け入れてくれたので『これは大丈夫だ』と思って。結衣ちゃんに会うのを楽しみに現場に行っていました」と晴れやかに語った。
「原作を読んだときから朝とえみりの関係に憧れていた」と発言する小宮山は、早瀬について「憩ちゃんとなら親友同士になれそうだと思いました。実際に撮影の合間にもカフェに行ったり、お昼ごはんも2人でくっついて食べたり。朝とえみりのようでした」と述懐。横で話に耳を傾ける早瀬も「今日は久しぶりに会いましたが、撮影時とあまり変わらなくてうれしかった!」とほほえんでいた。
瀬田は撮影現場での新垣と早瀬について「すごくいい距離感だと思いました。友人でも親子でもなく、共演者ではあるんですが、ライバルでもない。言葉にはしづらいんですけど……お互いにすごく大切に思っている面があって。この関係だから生まれるものが現場にあったような気がします」と打ち明ける。新垣は「撮影現場では台本を読んだり、各々の時間を過ごすこともあれば、2日目にものすごくパーソナルな会話もしたり、踏み込んだような話ができる。お芝居の間にも『今のどうだった?』と意見を聞く瞬間もあれば、一緒にお菓子を食べたりもします。すごくナチュラルに過ごすことができました」と語り、「と、私は思ってるんですが……?」と早瀬にバトンを渡す。早瀬は恐縮したように「はい!」と応えた。
最後に早瀬は「最初は緊張していたのに、ニコニコしているお客さんを見たらいつの間にか緊張がなくなって、今は寂しい気持ちです。たくさんの思いが詰まっている映画ですし、『わかり合えない人でも寄り添うだけで関係が変わるんだ』とメッセージが伝わったら」と呼びかける。新垣は、劇中の「私たちは違う人間だから、すべてわかり合うことはできない」というセリフを引用し「冷たい言葉ではなくて、相手を尊重した言葉なんです。ぶつかることもあるけど、寄り添って、日々を温かく過ごすことができるような映画になっていると思います。自分の映画でもあり、隣にいる人の物語です」と語りかけた。
「違国日記」は6月7日より全国で公開される。
映画「違国日記」本予告
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原作:ヤマシタトモコ『違国日記』祥伝社/フィールコミックスswing