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1989年から新潟県阿賀野川流域の民家に住み込みながら撮影を始め、新潟水俣病が発生した川筋に住む人々を記録した「阿賀に生きる」。長編デビューとなった本作で佐藤はニヨン国際ドキュメンタリー映画祭の銀賞など国内外で高い評価を受けた。以降、2007年に49歳でこの世を去るまで多数のドキュメンタリーを発表したほか、テレビ作品の編集・構成、映画論の執筆など多方面で活躍。京都造形芸術大学の教授、映画美学校の主任教師として後進の指導にも尽力した。
今回のレトロスペクティブでは、知的障害者とされる7人のアーティストたちの活動を通して芸術表現の根底に迫った「
また「阿賀に生きる」とその10年後の人々を捉えた「
濱口は「佐藤真はインタビューすることを恐れない。インタビューの一つ一つが説明に堕することがないのは、人の声自体を「できごと」として捉える感性ゆえだろう。一度お会いしたかった」と佐藤への尊敬の念をにじませ、深田は「生きていると佐藤真監督の映画のことを不意に思い出す。阿賀の景色、花子の笑顔、パレスチナの難民たち。それら映像の記憶の断片はノスタルジーから遠く現在と生々しく接続している」と述懐。三宅は「あるショットから次のショットへ、そのすべての変化が、新たな発見として、新たな応答として、そして新たな問いとして迫ってくるように受け止めています」とつづっている。全文は下記の通り。サイードと親交の深かった作家の大江健三郎が「エドワード・サイード/OUT OF PLACE」に寄せたコメントも到着している。
「暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE」の予告編はYouTubeで公開中。このたび解禁されたポスターのデザインは、グラフィックデザイナーの加瀬透と本田千尋の制作スタジオ・khôra 場が手がけた。配給はALFAZBET、パラブラが担当する。
特集上映「暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE」予告編
暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE
2024年5月24日(金)~ 東京都 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか
<上映作品>
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「エドワード・サイード/OUT OF PLACE 4K」
「阿賀に生きる」※特別上映
「阿賀の記憶」※特別上映
「SELF AND OTHERS」※一部劇場のみでの公開
大江健三郎 コメント
「エドワード・サイード/OUT OF PLACE」について
エドワード・サイードの「不在」の風景のなかを、ゆったりと美しいカメラが、いつまでも追ってゆく。パレスチナ、イスラエルの苦しみのひだひだが照射される。人々の色濃い思い出を横切るサイード。そしてサイードの「希望」が私らの頭上に現われる。
濱口竜介 コメント
佐藤真の映画ではカメラが人物の前に回ることが多い。対立でもなく、対峙でもなく、被写体の前で立ちすくむカメラ。そんな印象を受ける。答えのない過酷な生を、人々の声が和らげる。佐藤真はインタビューすることを恐れない。インタビューの一つ一つが説明に堕することがないのは、人の声自体を「できごと」として捉える感性ゆえだろう。一度お会いしたかった。
深田晃司 コメント
生きていると佐藤真監督の映画のことを不意に思い出す。阿賀の景色、花子の笑顔、パレスチナの難民たち。それら映像の記憶の断片はノスタルジーから遠く現在と生々しく接続している。
三宅唱 コメント
なぜそう撮ったのか。なぜそう繋いだのか。なにを撮らずにいたのか。なにを撮れなかったのか。あるショットから次のショットへ、そのすべての変化が、新たな発見として、新たな応答として、そして新たな問いとして迫ってくるように受け止めています。自分なりに考えてきたつもりでも、いままた見直すと、まだまだぜんぜん受け止められていないことに気づき、新たな問いばかり見つかります。レトロスペクティヴの開催を嬉しく思っています。
高見温|On Takami @Soldi79710444
阿賀に生きるはぜひ https://t.co/VDATCYayUh